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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

ゆかし(YUCASEE)は一体どうしたのか - ブランディング戦略があさっての方角に大暴投

2009-04-09 | 株式・為替マーケット全般
最近、YUCASEEのメディアへの情報発信が目立つ。
一度ならず「格の低い」メディアでの露出を見て直感した。

これは、私には何らかの「焦り」を示すものとしか思われない。
YUCASEE運営側は何を焦っているのだろうか。

他のネットメディアに転載されているということは、
YUCASEEの運営側がそれを許可もしくは推奨したことを意味する。

YUCASEEの本来的な位置づけから考えて、
『日経ヴェリタス』や『Casa BRUTUS』或いは『Grazia』
クラスの読者層の媒体に露出を限定しなければならない筈だ。
(そうでなければブランド価値を毀損する)
ネットであれば一休かシンワアート等のみ限定だろう。

彼らが適切なメディア選別を行っていないと云うことは、
隠された「不都合な事実」が存在することを示唆する。

全てをポジショントークとして解釈する投資家の病かもしれないが、
何か知られたくない裏事情があると考えるのが至当であろう。

ひとつの仮説は「マドフ事件」の影響である。


さわかみファンドは5割超の下落=ゆかしメディア(Searchina)
http://www.excite.co.jp/News/economy/20090331/Searchina_20090331145.html

”「サラリーマン向けの長期投資ファンド」を標榜するさわかみファンドは31
 日、2009年3月の月次成績を発表した。基準価格は07年7月10日のピークで
 ある2万245円から、09年3月31日時点で9679円と約1年半でまさに52.1%
 も下落している。
 「じっくり長期投資、とにかく買い」というポリシーでさわかみ投信の澤上
 篤人氏はマスコミ露出度は日本一を誇るが、ファンドのリターンだけは誇れ
 ないようだ。
 これに対して、富裕層向けのファンドである「ヘッジファンド」は好調だ。
 アメリカのレイド・キャピタル・マネジメントをご存知だろうか?
 米Forbes.comによれば、昨年度、運用資産を年間で87倍にしたとのこと。
 アメリカの住宅ローンのバブルを見抜き、不動産市場の下落に掛けてのが大
 きな勝因だ。
 ただ、このヘッジファンドが欲しいと今更思ってももう遅い。投資家に儲け
 を分配して、もう解散したのである。次の募集は、コネがある人にのみ投資
 チャンスがあるようだ。「富裕層向けのファンドに投資をする方法は色々あ
 る。一口500万円あれば、世界中のヘッジファンドの中からお奨めを紹介で
 きる」とは投資助言会社のアブラハム・プライベートバンク株式会社の田中
 氏。
 自分がサラリーマンだからといってサラリーマン向けの投資信託を買う必要
 はない。金融商品は要はリスクとリターンのバランスなのだから。
 (情報提供:YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア))”

 → この書き手の金融リテラシーはゼロです。
   もし私がYUCASEE運営体の幹部であれば、
   即刻この記事を差し止めるでしょう。

   「ヘッジファンドは好調だ」などという不用意な文言は、
   国内の金融機関であれば使用するなと社員教育しています。

   だいたい「金融商品はリスクとリターンのバランス」だと
   本当に理解しているのであれば、年間で87倍になるファンドは
   「投機的」なものである
とすぐ判断できる筈ではないのか。
   (デリバティブか高レバレッジ活用、もしくはその両方である)

   金融リテラシーのある人物であれば、
   「過去のトラックレコードで未来を予想する」のが
   いかに愚かな行為であるか骨身に沁みて分かっている。

   この程度の記事に食い付いてくるのは金屑虫の連中だけである。
   YUCASEEのコミュニティーの質は確実に下がるだろう。

   私は、今回の件でひとつの仮説を立てた。
   「マドフ事件で窮地にあるHFがゆかしメディアを取込んだ」
   というものである。日本ではマドフ事件は他人事だった。
   事情を知らない人間が多数おり、絶好の草刈場なのである。


Bloomberg/ジュネーブ、泣き面にマドフ事件(business-i)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200902110019a.nwc

”米巨額詐欺事件に関与したとされるバーナード・マドフ容疑者の昨年12月
 11日の逮捕以来、スイスのジュネーブ市にあるミシュランの二つ星レスト
 ラン「ドメイン・ド・シャトービュー」ではキャンセル待ちがなくなった。
 同市に本拠を置く金融機関やファンドがマドフ容疑者への投資で約100億
 スイスフラン(約7799億円)を失い、予約も消えたのだ。
 同レストランのマネジャーによると、半年前からの休日パーティーの予約を
 金融機関関係者が取り消した件数は12件以上。ジュネーブではこのほか、
 5900スイスフランの高級スキー板「Zai Spada」の売り上げが
 低迷。プライベートジェット機が同市の国際空港に着陸する回数も、1月は
 急激に減った。
   ◆7億ドル超す評価損
 プライベートバンクなどに助言するスコーピオ・パートナーシップのマネジ
 ングパートナー、セバスティアン・ダビー氏は「スイスの富裕層向け資産運
 用担当者はマドフ事件で目が覚めた」と語る。
 事件はジュネーブに、ことのほか打撃を与えた。同市の金融8社がマドフ容
 疑者に資金運用を託していた。
 アルプスとジュラ山脈にはさまれ、レマン湖畔に位置する同市は人口が20
 万人足らずにもかかわらず、140のプライベートバンクと600の独立系
 資産運用事業者を抱え、3万4400人を金融業が雇用している。
 ジュネーブ金融センターの責任者、スティーブ・ベルナルド氏によれば、同
 市では1兆6000億スイスフランが運用されておりその資金のうち0.6
 %(100億スイスフラン)がマドフ容疑者のファンドにつぎ込まれていた
 という。
 しかも被害を受けた資金の多くは、ジュネーブのバンカーがその手法を編み
 出した、顧客から集めた資金をまとめて複数のヘッジファンドに投資するフ
 ァンド・オブ・ヘッジファンズ(FOHF)を通じて投資されていた。
 マドフ事件の影響を受けて、欧州最大規模のヘッジ・ファンド、ユニオン・
 バンケール・プリヴェは7億ドル(約641億円)、資産運用会社ノッツ・
 シュタッキは7億3700万ドルの評価損を計上したとみられる。
 また、スイスのプライベートバンク、バンク・ベネディクト・ヘンチも56
 00万スイスフランの資金を失う可能性にさらされており、米ヘッジファン
 ド、フェアフィールド・グリニッジ・グループとの合併を白紙に戻した経緯
 がある。フェアフィールド・グリニッジ自体も75億ドル近くをマドフ容疑
 者に投資していたという。
 ロンドン・ビジネス・スクールのヘッジファンド・センターでプロジェクト
 マネジャーを務めるドラゴ・インディチ氏は、マドフ事件で一部のFOHF
 にリスク管理と透明性に問題があった事実が露呈した
と指摘。FOHFのい
 くつかは今後、付加価値を生み出せなければ廃業に追い込まれるだろうとい
 う。
 同氏は「ロンドンやニューヨークならFOHF事業への依存度が低いので、
 技術的なミスで済むだろうが、ジュネーブではそうはいかない」と語る。
   ◆開口一番ぼやき
 こうして事件は、金融危機とそこから波及した世界的なリセッション(景気
 後退)に既に苦しんでいたジュネーブに衝撃を与えた。
 スポーツ用品会社のクリスチャン・デュナン氏は、ジュネーブのバンカーに
 よる高級品を消費する意欲は減退したと指摘する。高級スキーだけでなく、
 高級時計も販売不振だと嘆く。「高級品である、5万スイスフランの時計と
 6000スイスフランのスキー板の潜在購入層が最も打撃を受けた。株安と
 マドフ事件の被害で、今年は売れない」と語る。
 前出の二つ星レストラン、ドメイン・ド・シャトービューのマネジャーによ
 れば「カルティエ」など高級ブランドの時計メーカー幹部は同レストランで
 かつては月に4回は食事していたが、現在は1回あるかないかだという。
 〔中略〕
 ヘッジファンドコンサルティング会社、ラベン・パートナーズの取締役、ジ
 ェローム・ラッサン氏は、人々の自信喪失について「多くの人がマドフ容疑
 者関連の損失に不安を感じ、それに捕らわれている。人々はジュネーブの堅
 実な金融システムが資産を守ってくれると信じていたからだ」と分析する。
 (Warren Giles,Alan Katz)”

ヘッジファンドの実態は「不透明ファンド」であり、
同時に「実は高レバレッジファンド」でもある。
よくよく調べておくことだ。

お手軽なハイリターンなどあり得ないし、
ヘッジファンドごとのパフォーマンス差は莫大である。

客観的かつ信頼できる情報提供が殆どないのもこの分野の特徴なのだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

YUCASEE運営体の幹部とスタッフは、
下の著作を最低3回は熟読する必要があると思う。





『ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態』(ロバート・フランク,ダイヤモンド社)

次のプロモーション本と比較するとレベルの違いは歴然。
数十倍から数百倍の格差はあるのは間違いない。







Comments (25)
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今後1年以内の景気下げ止まりの予想、急角度で上昇中 - 富裕層が投資機会を窺っている

2009-03-10 | 株式・為替マーケット全般
ここ数ヶ月、金融市場を巡る報道の色調に変化が見られます。

軍事史に喩えるならバトル・オブ・ブリテンで
英国軍が独空軍の猛攻を凌ぎ切った時期、
日本史で言うなら第2次長州征伐時の幕府軍の先鋒隊が
長州勢の新式銃の前で無様に崩れている状況です。

これから国内外のマーケットでは
意想外の出来事が次々と勃発するでしょう。
ターニング・ポイントの忍び足が聞こえてきます。


マス富裕層の4割、金融危機は「投資の好機」=調査(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367634.html

”金融資産1000万円以上を保有する「マス富裕層」の約4割は、現在の金
 融危機を投資の好機ととらえている──英金融大手HSBCが日本の個人を
 対象に行った調査でこんな結果が明らかになった。
 同社は、金融資産1000万円以上1億円以下を保有するマス富裕層向けの
 金融サービス「HSBCプレミア」を展開しており、対象となる顧客層の意
 識の変化などを調べるため、昨年12月16─17日に調査を行った。対象
 は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む30─60代の男女929人で、
 金融資産1000万円以上の「マス富裕層」と1000万円未満の「マス層」
 に分けて分析した。
 調査結果によると、現在の金融市場の状況を「資産を増やすチャンス」とみ
 るマス層は15%だったが、マス富裕層は39%で「マス富裕層の積極的な
 投資意欲が示された」
(HSBC)。リスク回避や資金流出が顕著な新興国
 への投資についても「関心がある」と回答したマス富裕層は55%で、マス
 層の37%を上回った。マス富裕層の間では、新興国の中でもインドへの関
 心を示す割合が56%と最も高く、ベトナム、中国、ブラジル、南アフリカ
 が続いた

 また、金融危機の教訓として「金融危機以前に比べ、より積極的に金融市場
 についての情報収集を行いたい」とするマス富裕層は60%に及び、マス層
 の34%を大きく上回った。具体的には、マス富裕層の55%が「金融機関
 の格付けや評価、時価総額、決算内容の情報を気にするようになった」と回
 答している。”

 → これは首都圏だけの調査である上に
   本当の富裕層と「超」富裕層が抜けています。
   是非海外の各国でも調査して欲しいものです。

   近年の富裕層やその予備軍は賢く有能な人物が多いので、
   (バブル期と違い、不況と国際競争で鍛えられている)
   鋭く本質を見抜いた意見が多いのです。

   中国よりインドとベトナムの将来性に着目していること、
   不況の最中にある今こそ好機と見ていること、
   全くもって同意見です。


インタビュー:中国で建機稼動が活発化=日立建機(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367047.html

”日立建機の木川理二郎社長は26日、ロイターとのインタビューで、4兆元
 の景気刺激策に期待がかかる中国について、旧正月が明けて10日ほどたつ
 2月20日ごろから状況が変わり、建設機械の稼動が活発化し始めたと語っ
 た。
 出荷も増えつつあるという。しかし、本格回復につながるかどうかを見極め
 るには、国家予算が提出される3月上旬の全国人民代表大会(全人代=国会)
 が終わるのを待つ必要があると指摘した。
  <追加の景気対策に期待>
 木川社長は「春節(旧正月)が明けた2月9日ごろから建設機械が動き始め
 たが、例年に比べてペースが緩やかだった。しかし2月20日ごろから安徽
 省や四川省、沿海部で活発化し、1月以前とはまったく様相が変わった
」と
 述べた。同社の建機は一部にGPS(全地球測位システム)を搭載しており、
 稼動状況を把握できる
。昨年夏場から今年の旧正月前まで稼働時間は前年実
 績を下回っていたが、公共工事が始まり、2月20日ごろから上回るように
 なったという。木川社長は「それに伴って建機の出荷も増えてきた」と語っ
 た。
 しかし木川社長によると、中国が本格回復に向かうかどうかは、3月5日に始
 まる全人代がカギになるという。「経済成長8%の達成を支えるために、(4
 兆元の対策以外に中国政府が)さらに何をやっていくのかを決めるだろう。本
 格的に(経済が)動くのはここからだ」と述べた。現時点で日立建機は、中国
 における来年度の油圧ショベルの需要を、今年度見通しほぼ横ばいの4万6
 000台程度と見込んでいる。
 〔中略〕
 2010年3月期の設備投資は今年度見通しの590億円から200億円程度
 に減らす。しばらく需要の急回復が見込めないことから、2011年3月期の
 設備投資はさらに減額する。木川社長は「ピーク時の需要に戻るには2014
 年ぐらいまでかかるだろう」と語った。”

 → コマツも日立建機も「中国銘柄」としての側面があるので
   これは想定内ですが参考まで。
   中国政府が必死にインフラ整備を行っても
   回復の足取りは弱いことが予想されます。


景気が1年以内に谷をつける確率は49.7%=経済企画協会(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-369029.html

”社団法人・経済企画協会が10日発表した、3月ESPフォーキャスト調査
 (民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、景気が今後
 1年以内に谷をつける確率の予想平均値は49.7%となり、前年12月の
 41.7%、1月の44.0%から徐々に上昇している

 日銀による金融政策については、エコノミスト33人中10人が次回政策変
 更は利下げと回答し、そのうち4人が3月頃の利下げを予想した。また、次
 回の変更が利上げとの予想は23人で、全員が変更時期を2010年2月以
 降とした。 
 2009年度の日本の実質国内総生産(GDP)見通しの平均は、前年比マ
 イナス4.11%となり、前月のマイナス2.58%から下方修正された。
 2009年(暦年)の米国のGDP予想もマイナス2.27%となり、前月
 のマイナス1.75%から下方修正となった。
 2010年度の日本のGDP見通しはプラス1.11%と、前月のプラス1.
 20%から下方修正された。米国についてはプラス1.42%となり、前月
 のプラス1.47%からやや下方修正となった。 
 09年1─3月期GDPの年率ベースでの見通しの平均は、前期比マイナス
 10.41%となった。4─6月期はマイナス1.81%、7─9月期はマイ
 ナス0.24%と、徐々にマイナス幅が縮小する見通し。10─12月期に
 はプラス0.70%とプラス圏入りし、その後は1%台の成長が続く見通し
 となっている。 
 〔中略〕 
 失業率の予想平均は、今年1─3月期に4.49%、4─6月期に4.92%
 に急上昇し、7─9月期に5.21%と5%の大台に乗せる見通し。前回調
 査では今年10─12月期に5%に乗せる見通しだった。今月調査では、
 2010年4─6月期の予想平均が5.54%とピークを付け、その後も5
 %台半ばで推移すると見込まれている。”

 → これはアナリスト予想の集計ですが、
   率が急角度で上昇しているのに注意。
   順調に推移すれば夏には60%に達するでしょう。

   2010年の成長率見通しが下方修正されることと、
   失業率の高止まりが気になりますが
   漸くかすかな明かりが見えてきた、というところ。


ソロス氏「金融市場は底入れ」自然治癒へ(Searchina)
http://excite.co.jp/News/economy/20081229/Searchina_20081229024.html

”米著名投資家のジョージ・ソロス氏はこのほど、東欧エストニアのメディア
 取材に対し、「世界の金融市場は底入れした」との認識を示した。外匯通が
 29日までに伝えた。
 ソロス氏によれば、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たん以降、一旦は
 まひした世界の金融システムは再び機能し始め、自然治癒の状態に入った。
 ただ失業や企業経営の悪化など、金融危機の実体経済への影響は今後も続く
 としている。
 中国社会科学院・国際金融研究センターの張明秘書長もソロス氏とほぼ同様
 の見解。金融市場には今後もいくつかの試練が待ち受けており、安定するま
 でには時間がかかるものの、リーマンが破綻した9月のような大きな混乱が
 起こるとは考えにくい。世界各国が相次ぎ対策を打ち出したことで、銀行の
 信用体系は回復に向かっている。ただ実体経済への影響は始まったばかりで、
 全治には少なくともの3-5年が必要とみている。”

最も早い時期に出たポジティブな視点です。

でもソロス氏は、つい十日ほど前に
「世界の金融システムは実質的に崩壊」と
ロイターで語っているのでやや一貫性に欠けます。

… まあ兎も角、下げ止まるのが第一です。
そうすれば自ずと有望セクターの姿が見えてきます。





『ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ』(ジョージ・ソロス)


パン・ローリングがソロスの漫画を出していて吃驚!





『マンガ 史上最強の投機家ソロス――“イングランド銀行を潰した男”の哲学』

学生向けか忙しいジャーナリスト向けですね。

向上心のある方には当ウェブログの左に出ている『ソロス』がお薦め。
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さわかみ投信の澤上篤人社長「自分だったら代替エネルギーか資源に投資する」- 日本の政治の無策を後目に

2009-01-16 | 株式・為替マーケット全般
自分で運用した方がパフォーマンスは良いだろうと
確信しているので、投信を買う予定はないのですが
(コストは度外視しても応援したいファンドであるのは確か)
さわかみ投信の澤上社長の達観した姿勢は尊敬に値します。

日本の政治に期待することなく、
自力で未来を切り拓こうとしていること、
不安に駆られて預貯金や日本国債に飛びついている素人と違い
円高を奇遇として寧ろ良い投資機会と見ていること、
見習うべきところだと思います。


09年資産運用:株投資の好機、インフレ想定で=さわかみ投信(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-358907.html

”投信情報サービス会社トムソン・ロイター・リッパーによると、さわかみ
 投信の旗艦ファンド「さわかみファンド」は、08年末残高が1665億
 8700万円(前年末比34%減)と、ETFを除く日本株分類で3番目
 の規模。長期の個人投資家に支えられ資金流入が続いており、08年は約
 270億円の流入超となった。08年の騰落率は東証株価指数がマイナス
 41.77%だったのに対し、同ファンドはマイナス42.17%だった。 
 インタビューの詳細は以下のとおり。 
 ──2009年の日本の株式市場をどうみるか。 
 「方向は上。それしかない。長期投資では、まず5年先を推測してみる。
 どんな社会になるのか、どんな経済状況になるのか。そうすることで今や
 るべきことがわかるし、それを早くからやっておくことだ」
 「世界的にみて現在は確かにひどい状況にある。しかし、これに対し各国
 政府はかつてない規模の景気対策を打ち出している。(大雑把にいえば)
 5年もの期間をみれば、どこかでよくなっているとみるのが普通だ。個人
 的には5年といわず結構早い時期に、年内にもその兆候は出てくるとみて
 いる」
 「一方でよく考える必要がある。かつてない規模の景気対策を世界各国が
 とり、5年先に景気が相当回復しているとする。その時にはインフレの足
 音が聞こえているかもしれない。インフレ方向なら株の評価は上がる。投
 資をしようと考えるなら、投資ができるなら、今は何が何でも株を買って
 おかなければならないという状況にある
と考えている」
 〔中略〕
 ──日本の政治をどうみるか。仮に政治家だったら。 
 「政治の(支持率)低迷やごたごたなどに興味はない。景気回復に期待す
 ることもない。あまりに将来に対して(日本の政治は)無策だ。(投資と
 同様に)冷静に5年くらいのスパンで考えてやるべきことをやっておくべ
 きなのに、そうはなっていない」
 「前から言っていることだが、自分だったら代替エネルギー関連に30兆
 円を投じて世界の最先端をいくのもいい。今なら2兆円の減税などやらず
 に円高を活かして資源(鉱山)を買うだろう
」”

 → 澤上社長は中長期投資のスタンスなので
   株式を買いに入るのがやや早過ぎだと思いますが
   こうした視点は個人投資家にとって重要です。

   また、目下の金融市場の苦難にも関わらず、
   資金流入が続いているというのは大変なことです。
   大規模な資金流出と顧客のクレームに苦しむ運用会社は、
   必死で親会社の天下り経営陣の鼻息を窺うよりも
   さわかみ投信に学んだ方が遥かに賢いです。


経財諮問会議:麻生首相「緊急雇用創出を」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/money/news/20090117k0000m010096000c.html

”麻生太郎首相は、職を失った非正規雇用労働者らへのセーフティーネット
 (安全網)充実や、政府・地方自治体による緊急の雇用創出策の具体化を
 急ぐよう指示した。緊急の雇用創出策のモデル案を各省庁から募り、内閣
 府が年度内にとりまとめて公表する。
 会議では、景気の底打ちが見えない状況を踏まえ、民間で十分な雇用の受
 け皿が確保できるまでの間は、地方自治体を中心とする公的部門が「つな
 ぎ雇用」を用意する必要があるとの認識で一致。民間メンバーと二階俊博
 経済産業相から、地域の高齢者や児童を預かり世話をする「フレキシブル
 支援センター」の新設▽観光地でのガイド▽行政文書を電子化するデータ
 入力作業--などの案が示された。
 〔中略〕
 農業や介護、環境、観光など成長分野で新規雇用の創出を進める中長期的
 な戦略も年度内に策定する方針。このほか、正社員と派遣社員など非正規
 社員の待遇格差の是正に向けた検討も進める。”

 → これが「将来に対してあまりに無策」の政府です。
   支持率が落ちるのも当然ではないでしょうか。
   製造業の雇用が失われたのなら、類似の業種で
   新たに雇用を生み出した方が賢いに決まっています。

   口先や雰囲気で支持していた愚かな有権者は、
   少しは学習したことでしょう。


ホンダ:F1技術者をHVに投入(毎日新聞)
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2008/12/19/20081220k0000m020080000c.html

”ホンダの福井威夫社長は19日の毎日新聞などとのインタビューで、急速
 に進む円高に強い懸念を示した。また、撤退を決めたF1の技術者をハイ
 ブリッド車(HV)開発に登用し、開発体制を強化する
考えを強調した。
 〔中略〕
 --今後はHVなどに注力する考えですね。
 ◆ガソリン価格は一時に比べて下がったが、価格が安く、燃費の良いHV
 は必要。品ぞろえを増やしたい。F1でリチウムイオン電池の開発をして
 いた技術者が数十人いるが、即戦力として、電池の開発を進めてもらう。”

ホンダはF1を撤退しようとも、
「金の卵」である環境技術にはより一層注力する考えです。
未来が拓けている分野には、賢い企業は絶対に踏みとどまるもの。

経済原理や産業政策に対する無知も、
我々の大きな課題に違いありません。
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真壁昭夫教授「為替取引は掛け率の低い万馬券」と - 日本の金融の「専門家」のレベルは大丈夫なのか

2009-01-15 | 株式・為替マーケット全般
著書を拝読したことがあるだけに、ショックを受けました。
素人が言うのであれば理解できるのですが。。
胴元が20%以上も巻き上げる馬券と同じ訳がないでしょうに。

ソロス氏やジム・ロジャーズ氏のコメントの方が
百万倍は含蓄がありますし、勉強になります。
何よりもマーケットと闘っている者の鋭さがあり、
真壁教授ののどかな論考と比較すると
ブロイラーと比内地鶏くらいの違いがあります。


投資が落ち込むなか、為替投資だけが急増する“二極化”への警鐘(diamond.jp)
http://diamond.jp/series/keywords/10060/

”わが国の個人投資家は、プロでさえ尻込みするような金融市場の混乱のなか
 で、リスクの高い為替取引を積極的に行なっている。「日本の個人投資家は
 リスクに勇敢に立ち向かっている」という彼の印象は、あながち的外れとは
 いえない。
 もともと為替レートは、債券や株式などの金融商品と比較しても変動が大き
 い。また、ほとんど24時間、世界のどこかのマーケットが開いているため、
 いつでも取り引きができるメリットがある。
 その一方、寝ている間でも、世界のどこかで重大な出来事が発生すると、相
 場は突然、大きく変動することもある。為替取引はそれだけリスクが大きく、
 市場の動向をフォローするためには、多くの時間とエネルギーを必要とする
 金融商品なのである。
 しかも、市場での投機取引の割合が圧倒的に高いため、短期的にはヘッジフ
 ァンドなど大手の投機筋のオペレーションによる影響が大きい。大手ヘッジ
 ファンドなどが多額の円売りを仕掛けると、どうしてもその方向に相場が大
 きく動く可能性が高いのだ。
 ただし、価格変動性が大きくリスクが高いということは、「上手くやれば大
 儲けができる商品」とも言える。有体に言えば、“掛け率の低い万馬券”の
 ようなものと考えると分かり易いだろう。〔以下略〕”

 → 事実誤認が余りにも多いので、驚愕しました。
   このページの主な誤りだけで4つはあります。
   他人に「警鐘」を鳴らしている場合なのでしょうか。

   1)為替取引のリスク … 通貨とレバレッジによって違います
   2)価格変動性 … 通貨によって全く違います
    (尚、為替取引では「価格変動」とは言いません)
   3)株式などより変動が大きい … 真っ赤な嘘です
   4)投機取引の割合が大きい … 統計で証明されていません
    (そもそも「投機」の客観的な定義は存在しません)

   為替市場にリスクがあるのは当然です。
   他の市場と比較してよりハイリスクだと主張されるのなら、
   客観的なデータやロジックを用意すべきでしょう。

   為替取引が爆発的に拡大している理由は明白です。
   流動性・取引の機動性・取引コストの低さにおいて
   あらゆる金融商品の中で最高水準にあるだけでなく、
   金利差益という圧倒的なメリットがあるからです。

   例えば資源の豊富な豪州に投資したいと考えたとき、
   FXより低コストで収益性に優れる商品が他にあるでしょうか。


09年資産運用:株投資の好機、インフレ想定で=さわかみ投信(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-358907.html

”「ひとつあまり話題にならないが、気をつけてみていかなければいけない
 ことがある。世界各国がかつてない規模で景気対策を行うことで、各国は
 財政赤字に陥る。このため国債が大量発行されるわけだが、大量に市場に
 供給されるということは、どういうことになるか。価格が下がるというこ
 とだ。年金運用などは厳しい状況になるのではないか。(株式の)長期投
 資をしていた人はいいが、年金だけをあてにしていた人達は大変な状況に
 なるのではないか」”

澤上社長の談話の方が遥かに面白いです。
市場と真剣に対峙していない言説は所詮、
伸びきった麺のように緊張感に欠けるもの。

… でもさわかみ投信、数値を見ると
やはり下げ局面に弱いですね。。
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中国投資(CIC)の楼継偉董事長「これ以上、海外投資する勇気ない」- 接近する世紀の大資産バーゲン

2008-12-10 | 株式・為替マーケット全般
十年に一回の大バーゲンセールが近づいていると確信しています。
(雰囲気としては2002年の頃の日本に近い)
米企業の3Qが明らかになってくる年明け、
超優良資産を激安で購入できるかどうか。

強い円でバルクセールの海外資産を買い込めるのです。
これを好機と言わずに何と言うのでしょうか。





『週刊東洋経済』2008年 12/13号

今週の『東洋経済』誌のコラムでは「無学無名」氏が
日本版SWF推進派をこきおろしていますが
(まあ、本当にペンネームがぴったりの方ですね)
今ほど海外投資の重要性が高まっている時期はありません。

極めて有利な条件で海外投資できるのは必定です。
投資先の実力とリスクをじっくり見極めたいところ。
時間は充分にあります。

GPIFなどの公的年金は日本国債の比率を一気に下げ、
その分を海外投資に振り向けるべきです。

絶好の買い場が接近していることは、
下の報道を見ても明らかです。


中国:政府系ファンド「これ以上、海外投資する勇気ない」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/money/news/20081205k0000m020155000c.html

”【北京・大塚卓也】中国の政府系投資会社である中国投資(CIC)の楼
 継偉董事長(会長)は3日、「海外の金融機関はいつ破綻(はたん)する
 か分からず、これ以上投資をする勇気はない」と述べた。香港で講演した
 もので、4日付中国各紙が報じた。
 CICは昨年、米投資会社のブラック・ストーングループへ30億ドルを
 投資したほか、証券大手のモルガン・スタンレーに50億ドルを投資し、
 発行済み株式の約10%を取得したが、その後表面化した金融危機による
 株価の下落で多額の含み損を抱えている。
 楼董事長は「欧米主要国政府の政策の方向性がはっきりしない上、(金融
 機関の破綻処理時の)救済対象は債権者だけで、投資家は救済対象になっ
 ておらず、この種の投資には自信が持てない」と指摘。今後は金融危機に
 よる株式市場などの低迷で、企業価値が過小評価されている企業への投資
 に重点を置く方針を明確に示した。”

 → 「投資の初心者が高い授業料を払っている」図式です。
   今、銀行で豪ドルやウォンを猛烈に買い進めている
   日本の個人の方が、CICより投資リテラシーが高いです。

ゴールドマンの不動産投資ファンド、市況悪化で大幅損失発生も(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-352328.html

”ゴールドマン・サックス・グループの不動産投資ファンド「ホワイトホー
 ル」が市況の悪化による打撃を受けており、不動産相場のピーク時の投資
 に大幅な損失が発生する可能性がある。米紙ウォールストリート・ジャー
 ナル(WSJ)が報じた。
 ホワイトホールは、1996年にニューヨークのロックフェラー・センタ
 ーを取得したことで知られるファンド。
 同紙が関係筋の話として伝えたところによると、資産総額48億ドルのフ
 ァンド「ホワイトホール2007」は額面1ドル当たり約0.50ドルと
 なっている。
 同ファンドによる2008年のラスベガス・カジノ、ストラトスフィアや
 過去2年間の一連のホテルへの投資は、利益を上げるのが困難とみられて
 いる。
 また、ニューヨーク・マンハッタンの開発事業やその他の多数の不動産に
 も投資しているが、商業不動産相場の下落により、これらすべての価値が
 低減している可能性があるという。
 同紙によると、ホワイトホールの問題は、第4・四半期に約20億ドルの
 損失計上が見込まれるゴールドマンの問題を反映している。
 さらに、ゴールドマンはホワイトホールの不動産投資に由来する評価損を
 計上する可能性があるという。
 ゴールドマンのコメントは得られていない。”

「ホワイトホール」が損失拡大のブラックホールと化しています。
しかし地球が滅亡しない限り、不動産価格がゼロになることは
まずあり得ません。

かつてのバブル期とは完全に立場が逆転しました。
今度は日本が優良資産を(感謝されつつ)買い集める番です。
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