昨年10月末に3兆円規模であった国内のBRICs株投信残高が
あっと言う間に4兆円に迫っているようです。
国内投資家のキャピタルフライトはひたひたと進行中、
年金基金も日本株から新興国株へとシフトする動きがある模様。
ホームカントリーバイアスの修正に向かって動いているのは
個人投資家も機関投資家も同じであるようです。
唯一の例外は案の定、GPIFだけのようです。
馬鹿みたいなリスクテイクは不要ですが
ノルウェーやカナダの運用体制を研究して
リターンを0.1ポイントでも上げようという考えはないのでしょうか。
もし想定外の資源高が起きれば資産が減価してしまうのですが。。
3月末国内投資家保有のBRICs株投信残高が4兆円目前(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201004060084.html
”国内投資家が保有するBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)株関連ファン
ド(国内籍)全体の3月末純資産残高は前月比13.0%増の3兆9565億130
0万円となった。
3月はBRICs諸国の株式市場はいずれも上昇したほか、円安も進行。株価と為替
面のサポートを受け、残高はいずれも堅調に推移した。ただ資金流入面でみると、新
規の大型設定のあったBRICs株ファンド・カテゴリー以外は、資金流入を牽引す
るファンドは見当たらず、むしろ価額上昇で解約が膨らむ傾向もみられた。販売会社
によると、分配型や比較的に短期間でキャピタルゲインを狙えるテーマ型を選好する
投資家の間では、分配型ではないロシア・東欧株ファンドや以前から保有している中
国株ファンドなどに対し、保有を見直す動きも出ている。
3月の資金フローは約505億円の流入超(2月は約1827億円の流入超)となり、
全体では潤沢な資金流入のようにもみえるが、流入超になったカテゴリーはBRIC
s株(純流入額は約644億円)と中国株(同約22億円)のみとなった。
同残高は、トムソン・ロイター傘下の投信情報サービス会社リッパーが集計したBR
ICs各国の株式に投資するファンド残高と、BRICs2カ国以上の株式に投資す
るファンド残高をロイターが合算したもの。”
→ 個人投資家の動きを捉えた調査です。
個人的にはBRICsの中でも
どの分野に資金が流入しているのかを知りたい。
野村の外貨建てREIT投信はどうなったのでしょう。
焦点:国内年金基金が日本株離れ、新興国株に一部シフト(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003290014.html
”企業年金や厚生年金など国内の年金基金が日本株の投資配分を減らしている。
2008年の金融危機以降に強まったリスク回避姿勢が継続しているほか、新会計基
準をにらんだダウンサイドリスク抑制策の一環で、株式自体の配分を圧縮するととも
に、分散効果を高めるために国内株比率を下げ、新興国株に一部シフトする動きが広
がりつつある。日本企業を母体とする年金の日本株離れがさらに進めば、株式市場に
とって需給面や心理面でマイナス材料になりそうだ。
<日本株への執着薄れる>
国内年金基金は昨年、金融危機に伴う世界株安で08年度の運用利回りが過去最悪の
マイナス水準に落ち込んだため、変動が激しい株式の配分を減らし、運用の安定化に
動いた。年金コンサルタントによると、この流れは継続しており、複数の基金が先月
開催した代議員会で、新年度以降も株から債券への切り替えを続けるとともに、国内
株を減らし外株を増やす「ホームカントリーバイアス(自国偏重)の修正」方針を決
めた。
タワーズワトソンのコンサルタント、窪誠一郎氏によると、約110の同社年金顧客
の資産構成をみると、株式比率は07年末の43%から09年末の36%に低下した
一方で、債券は45%から53%に上昇した。今年の代議員会の決定は4月か6月に
反映される見込みで、株式比率は今後も低下傾向を続ける公算が大きいという。
一般的な年金資産の株式内訳は国内6割、海外4割。「先進的な基金でも5対5だっ
たが、この1年で見直しが進み、世界の時価総額比率に近い2対8まで修正しようと
いう基金も出てきた」(窪氏)。日本の株式時価総額は世界の約1割に過ぎないため、
6割は高過ぎるとの議論は以前からあったが、最近は「内外株を区別せず、世界株を
ひとくくりにして運用するところも出てきた」(ラッセル・インベストメントの喜多
幸之助エグゼクティブ・コンサルタント)。今までのように運用指標を日本株はTO
PIX、海外株はMSCIコクサイと分けずに、日本と他の先進国で構成するMSC
Iワールドなどに一本化することを意味する。
これらの動きを後押ししているのは長期低迷する日本株への失望感。「日本株には固
執せず、リターンを取れる所に行くしかないとのムードが広がった」(窪氏)とも言
える。「リターンを取れる所」として投資意欲が高まっているのが新興国株。新興国
株に特化する指標であるMSCIEM連動型ファンドの導入も増えているという。
JPモルガン・アセット・マネジメントの投資戦略ソリューション室長、鈴木英典氏
は「日本経済への不安感が高まる一方で、リーマンショック後の回復具合から新興国
経済の地盤は強いとの認識が広がり、新興国株への関心が去年後半から急速に高まっ
た」と分析する。
<年金会計制度の変更も株式圧縮要因>
年金基金が株式圧縮を進めているのは新会計基準の影響も大きい。年金資産の積み立
て不足を母体企業の貸借対照表に負債として即時反映させる会計ルールが2012年
3月期に導入される予定で「不足額によっては母体企業が債務超過に陥る可能性もあ
り、基金にとって運用のダウンサイドリスクをいかにコントロールするかが最大の関
心事」(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの吉岡俊光・年金営業
部長)になっている。特に「規模が大きい基金ほど(株式比率の)手直しに動いてい
る」(マーサー・ジャパンの古宇田義規取締役)との見方が優勢だ。
厚生年金と確定給付企業年金の資産残高は合計約50兆円と巨大。このため、速度が
遅いとしても、日本株離れが進むことは株式相場にとってマイナス材料だ。ただ海外
の年金基金も「ホームカントリーバイアスの修正に動いており、国内基金の日本株売
りを一部相殺する可能性もある」(業界関係者)と見る向きもある。
格付投資情報センター(R&I)によると、09年度は4月からの11カ月間で運用
利回りがプラス9%となっており、年度としては3期ぶりにプラス運用に転じる見込
み。とは言え、07、08年度のマイナス幅が大きく、積み立て不足は解消されない。
リスク資産を減らすことは収益率低下も意味するだけに「積み立て不足をどう解消す
るかが今後の課題」(ステート・ストリート吉岡氏)となりそうだ。”
→ 当然の動きでしょうね。
個人的には投資スキルの高い人は
401kの方が良いと思いますが。
インタビュー:GPIFの株式投資、著しい自国偏重はない=理事長(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003310106.html
”年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の川瀬隆弘理事長は31日、ロイター
とのインタビューで、現行ポートフォリオにおける株式投資について、海外の公的年
金と比べ、自国偏重度合いは低いとの認識を示した。
国内企業年金の間では分散効果の改善に向け、国内株を減らし、海外株を増やす「ホ
ームカントリーバイアス(自国偏重)の修正」が徐々に広がりつつあるが、世界最大
の公的年金はこの動きに追随しない見込み。
GPIFは資産規模が120兆円を超える巨大な運用機関で、基本ポートフォリオに
おける株式比率は20%。その内、国内株が55%、海外株が45%を占める。日本
の株式時価総額が世界の約1割に過ぎないことを考慮すれば、年金の国内株比率55
%は高すぎるとの見方もある。
現在、企業年金の内外株比率は一般的に国内6割、海外4割と国内株が外株を上回っ
ているが、自国偏重を徐々に修正する動きが出ている。
川瀬理事長は、「海外の年金基金も株式投資を開始した際に国内株からスタートした
経緯があるため、自国の株式比率が高い。英国など他国に比べ、(GPIFの株式投
資に)著しいホームカントリーバイアスはない」との見方を示した。業界関係者によ
ると、フランスや英国などの公的年金は株式資産に占める国内株比率が5─6割で、
各国の株式時価総額が世界に占める割合を大きく上回っている。ただし、今月開催の
「GPIFの運営のあり方に関する検討会」で野村資本市場研究所が提供した資料に
よると、カナダやスウェーデンなどは海外株比率は国内株比率の2倍以上で、運用手
法は国により多様化している。
<新興国株投資について研究中>
外資系投資顧問によると、企業年金などでホームカントリーバイアスの修正が続いて
いるのは「日本経済に対する不安感が高まっていることが最大の理由だが、新興国の
成長を取り組んで行きたいという意向から新興国に対する関心が昨年後半から急速に
高まった影響も大きい」。例えば、中国、ブラジル、インドを含む22カ国の新興国
株で構成するMSCIエマージング・マーケッツ(EM)など、新興国特化型の指標
に連動するファンドの導入なども増えつつあるという。
GPIFの川瀬理事長は、外国株に占める新興国株の比率を増やし「成長リターンを
狙って行くという考え方は一理ある」としながらも、「中国やブラジルなど高成長中
の新興国の恩恵を日米企業なども十分受けており、(GPIFの既存の運用が)新興
国の成長を見逃しているとは言えない」と語った。また「新興国株投資は、カントリ
ーリスク、為替リスク、財務指標の信憑性リスクなども考慮する必要があり、(投資
を増やすべきかどうかについては)見方が分かれる」と述べた。
さらに、日本の高度成長期のように、高成長を続ける新興国では成長が減速した場合
は不況色が広がり、企業収益も落ち込むため、「GDPの成長率が高い国の企業に投
資することが必ずしもいいわけではない」との見方を示した。ただGPIFとしては
新興国株投資について「いろいろな研究をしている」と付け加えた。
川瀬理事長は31日付けで任期を終えるため、新年度以降の運用方針について具体的
なコメントは控えた。ただ、2010年度以降の年金給付に必要な流動性確保は重要
な課題とみており、資産の管理ベンチマークとして採用中のTOPIX(国内株)、
NOMURA─BPI総合(国内債券)について、「現金化する場合のコストや市場
へのインパクトなどの観点から、国内株はTOPIXだけでいいのか、国内債券はN
OMURA─BPIだけでいいのか、ということは引き続き研究課題になるだろう」
と述べた。
GPIFは先月、2010─2014年度の中期計画案の中で、上限2兆円の短期借
入金の活用制度を盛り込む方針を示した。これも年金給付に必要な流動性確保のため
「市場の価格形成に配慮しつつ、円滑に資産売却を行い、不足なく確実に資金を確保
するための機能強化」(GPIFの玉木伸介審議役)で、有力な金融機関などを通じ
た調達を想定しているという。”
一度書きましたが、お役人さんらしいという印象です。
ミスはしないでしょうが大きな成果もないでしょう。
そもそも現代ポートフォリオ理論から見て
GPIFは明らかに安定志向が強過ぎです。
日本企業が新興国市場の成長によって恩恵を受けるのなら、
グローバル企業への投資配分を増やすのが当然です。
尚、BRICs研究所の門倉貴史氏は、
2015年前後に中国の経済成長率が鈍化し
インドの成長率がアウトパフォームするのでは予測されており、
私も全く同意見です。
根拠は勿論、人口動態です。
あっと言う間に4兆円に迫っているようです。
国内投資家のキャピタルフライトはひたひたと進行中、
年金基金も日本株から新興国株へとシフトする動きがある模様。
ホームカントリーバイアスの修正に向かって動いているのは
個人投資家も機関投資家も同じであるようです。
唯一の例外は案の定、GPIFだけのようです。
馬鹿みたいなリスクテイクは不要ですが
ノルウェーやカナダの運用体制を研究して
リターンを0.1ポイントでも上げようという考えはないのでしょうか。
もし想定外の資源高が起きれば資産が減価してしまうのですが。。
3月末国内投資家保有のBRICs株投信残高が4兆円目前(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201004060084.html
”国内投資家が保有するBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)株関連ファン
ド(国内籍)全体の3月末純資産残高は前月比13.0%増の3兆9565億130
0万円となった。
3月はBRICs諸国の株式市場はいずれも上昇したほか、円安も進行。株価と為替
面のサポートを受け、残高はいずれも堅調に推移した。ただ資金流入面でみると、新
規の大型設定のあったBRICs株ファンド・カテゴリー以外は、資金流入を牽引す
るファンドは見当たらず、むしろ価額上昇で解約が膨らむ傾向もみられた。販売会社
によると、分配型や比較的に短期間でキャピタルゲインを狙えるテーマ型を選好する
投資家の間では、分配型ではないロシア・東欧株ファンドや以前から保有している中
国株ファンドなどに対し、保有を見直す動きも出ている。
3月の資金フローは約505億円の流入超(2月は約1827億円の流入超)となり、
全体では潤沢な資金流入のようにもみえるが、流入超になったカテゴリーはBRIC
s株(純流入額は約644億円)と中国株(同約22億円)のみとなった。
同残高は、トムソン・ロイター傘下の投信情報サービス会社リッパーが集計したBR
ICs各国の株式に投資するファンド残高と、BRICs2カ国以上の株式に投資す
るファンド残高をロイターが合算したもの。”
→ 個人投資家の動きを捉えた調査です。
個人的にはBRICsの中でも
どの分野に資金が流入しているのかを知りたい。
野村の外貨建てREIT投信はどうなったのでしょう。
焦点:国内年金基金が日本株離れ、新興国株に一部シフト(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003290014.html
”企業年金や厚生年金など国内の年金基金が日本株の投資配分を減らしている。
2008年の金融危機以降に強まったリスク回避姿勢が継続しているほか、新会計基
準をにらんだダウンサイドリスク抑制策の一環で、株式自体の配分を圧縮するととも
に、分散効果を高めるために国内株比率を下げ、新興国株に一部シフトする動きが広
がりつつある。日本企業を母体とする年金の日本株離れがさらに進めば、株式市場に
とって需給面や心理面でマイナス材料になりそうだ。
<日本株への執着薄れる>
国内年金基金は昨年、金融危機に伴う世界株安で08年度の運用利回りが過去最悪の
マイナス水準に落ち込んだため、変動が激しい株式の配分を減らし、運用の安定化に
動いた。年金コンサルタントによると、この流れは継続しており、複数の基金が先月
開催した代議員会で、新年度以降も株から債券への切り替えを続けるとともに、国内
株を減らし外株を増やす「ホームカントリーバイアス(自国偏重)の修正」方針を決
めた。
タワーズワトソンのコンサルタント、窪誠一郎氏によると、約110の同社年金顧客
の資産構成をみると、株式比率は07年末の43%から09年末の36%に低下した
一方で、債券は45%から53%に上昇した。今年の代議員会の決定は4月か6月に
反映される見込みで、株式比率は今後も低下傾向を続ける公算が大きいという。
一般的な年金資産の株式内訳は国内6割、海外4割。「先進的な基金でも5対5だっ
たが、この1年で見直しが進み、世界の時価総額比率に近い2対8まで修正しようと
いう基金も出てきた」(窪氏)。日本の株式時価総額は世界の約1割に過ぎないため、
6割は高過ぎるとの議論は以前からあったが、最近は「内外株を区別せず、世界株を
ひとくくりにして運用するところも出てきた」(ラッセル・インベストメントの喜多
幸之助エグゼクティブ・コンサルタント)。今までのように運用指標を日本株はTO
PIX、海外株はMSCIコクサイと分けずに、日本と他の先進国で構成するMSC
Iワールドなどに一本化することを意味する。
これらの動きを後押ししているのは長期低迷する日本株への失望感。「日本株には固
執せず、リターンを取れる所に行くしかないとのムードが広がった」(窪氏)とも言
える。「リターンを取れる所」として投資意欲が高まっているのが新興国株。新興国
株に特化する指標であるMSCIEM連動型ファンドの導入も増えているという。
JPモルガン・アセット・マネジメントの投資戦略ソリューション室長、鈴木英典氏
は「日本経済への不安感が高まる一方で、リーマンショック後の回復具合から新興国
経済の地盤は強いとの認識が広がり、新興国株への関心が去年後半から急速に高まっ
た」と分析する。
<年金会計制度の変更も株式圧縮要因>
年金基金が株式圧縮を進めているのは新会計基準の影響も大きい。年金資産の積み立
て不足を母体企業の貸借対照表に負債として即時反映させる会計ルールが2012年
3月期に導入される予定で「不足額によっては母体企業が債務超過に陥る可能性もあ
り、基金にとって運用のダウンサイドリスクをいかにコントロールするかが最大の関
心事」(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの吉岡俊光・年金営業
部長)になっている。特に「規模が大きい基金ほど(株式比率の)手直しに動いてい
る」(マーサー・ジャパンの古宇田義規取締役)との見方が優勢だ。
厚生年金と確定給付企業年金の資産残高は合計約50兆円と巨大。このため、速度が
遅いとしても、日本株離れが進むことは株式相場にとってマイナス材料だ。ただ海外
の年金基金も「ホームカントリーバイアスの修正に動いており、国内基金の日本株売
りを一部相殺する可能性もある」(業界関係者)と見る向きもある。
格付投資情報センター(R&I)によると、09年度は4月からの11カ月間で運用
利回りがプラス9%となっており、年度としては3期ぶりにプラス運用に転じる見込
み。とは言え、07、08年度のマイナス幅が大きく、積み立て不足は解消されない。
リスク資産を減らすことは収益率低下も意味するだけに「積み立て不足をどう解消す
るかが今後の課題」(ステート・ストリート吉岡氏)となりそうだ。”
→ 当然の動きでしょうね。
個人的には投資スキルの高い人は
401kの方が良いと思いますが。
インタビュー:GPIFの株式投資、著しい自国偏重はない=理事長(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003310106.html
”年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の川瀬隆弘理事長は31日、ロイター
とのインタビューで、現行ポートフォリオにおける株式投資について、海外の公的年
金と比べ、自国偏重度合いは低いとの認識を示した。
国内企業年金の間では分散効果の改善に向け、国内株を減らし、海外株を増やす「ホ
ームカントリーバイアス(自国偏重)の修正」が徐々に広がりつつあるが、世界最大
の公的年金はこの動きに追随しない見込み。
GPIFは資産規模が120兆円を超える巨大な運用機関で、基本ポートフォリオに
おける株式比率は20%。その内、国内株が55%、海外株が45%を占める。日本
の株式時価総額が世界の約1割に過ぎないことを考慮すれば、年金の国内株比率55
%は高すぎるとの見方もある。
現在、企業年金の内外株比率は一般的に国内6割、海外4割と国内株が外株を上回っ
ているが、自国偏重を徐々に修正する動きが出ている。
川瀬理事長は、「海外の年金基金も株式投資を開始した際に国内株からスタートした
経緯があるため、自国の株式比率が高い。英国など他国に比べ、(GPIFの株式投
資に)著しいホームカントリーバイアスはない」との見方を示した。業界関係者によ
ると、フランスや英国などの公的年金は株式資産に占める国内株比率が5─6割で、
各国の株式時価総額が世界に占める割合を大きく上回っている。ただし、今月開催の
「GPIFの運営のあり方に関する検討会」で野村資本市場研究所が提供した資料に
よると、カナダやスウェーデンなどは海外株比率は国内株比率の2倍以上で、運用手
法は国により多様化している。
<新興国株投資について研究中>
外資系投資顧問によると、企業年金などでホームカントリーバイアスの修正が続いて
いるのは「日本経済に対する不安感が高まっていることが最大の理由だが、新興国の
成長を取り組んで行きたいという意向から新興国に対する関心が昨年後半から急速に
高まった影響も大きい」。例えば、中国、ブラジル、インドを含む22カ国の新興国
株で構成するMSCIエマージング・マーケッツ(EM)など、新興国特化型の指標
に連動するファンドの導入なども増えつつあるという。
GPIFの川瀬理事長は、外国株に占める新興国株の比率を増やし「成長リターンを
狙って行くという考え方は一理ある」としながらも、「中国やブラジルなど高成長中
の新興国の恩恵を日米企業なども十分受けており、(GPIFの既存の運用が)新興
国の成長を見逃しているとは言えない」と語った。また「新興国株投資は、カントリ
ーリスク、為替リスク、財務指標の信憑性リスクなども考慮する必要があり、(投資
を増やすべきかどうかについては)見方が分かれる」と述べた。
さらに、日本の高度成長期のように、高成長を続ける新興国では成長が減速した場合
は不況色が広がり、企業収益も落ち込むため、「GDPの成長率が高い国の企業に投
資することが必ずしもいいわけではない」との見方を示した。ただGPIFとしては
新興国株投資について「いろいろな研究をしている」と付け加えた。
川瀬理事長は31日付けで任期を終えるため、新年度以降の運用方針について具体的
なコメントは控えた。ただ、2010年度以降の年金給付に必要な流動性確保は重要
な課題とみており、資産の管理ベンチマークとして採用中のTOPIX(国内株)、
NOMURA─BPI総合(国内債券)について、「現金化する場合のコストや市場
へのインパクトなどの観点から、国内株はTOPIXだけでいいのか、国内債券はN
OMURA─BPIだけでいいのか、ということは引き続き研究課題になるだろう」
と述べた。
GPIFは先月、2010─2014年度の中期計画案の中で、上限2兆円の短期借
入金の活用制度を盛り込む方針を示した。これも年金給付に必要な流動性確保のため
「市場の価格形成に配慮しつつ、円滑に資産売却を行い、不足なく確実に資金を確保
するための機能強化」(GPIFの玉木伸介審議役)で、有力な金融機関などを通じ
た調達を想定しているという。”
一度書きましたが、お役人さんらしいという印象です。
ミスはしないでしょうが大きな成果もないでしょう。
そもそも現代ポートフォリオ理論から見て
GPIFは明らかに安定志向が強過ぎです。
日本企業が新興国市場の成長によって恩恵を受けるのなら、
グローバル企業への投資配分を増やすのが当然です。
尚、BRICs研究所の門倉貴史氏は、
2015年前後に中国の経済成長率が鈍化し
インドの成長率がアウトパフォームするのでは予測されており、
私も全く同意見です。
![]() | 『週刊ダイヤモンド』2010年 3/27号 |
根拠は勿論、人口動態です。