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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

駒沢大学デリバティブ損失事件を巡る妄言妄説 - 日本の金融リテラシー、向上まで道遠し

2008-11-26 | 株式・為替マーケット全般
駒沢大学がデリバティブで大損失を被ったと先週報じられましたが、
その後の報道やコラムを見る限り、この事件の意味を
理解できている人が非常に少ないです。

また、的確に説明できる専門家が少ないのもまずい。
大学の行う資産運用の意味・目的・位置づけ、
(これらの条件次第で必然的に取れるリスクが違ってくる)
そしてアセットアロケーションをどうすべきか。
そこまで解説しないと不充分です。

まずは「最も悪い事例」から。

立正大、駒沢大の多額損失計上の背景(moneyzine)
http://moneyzine.jp/article/detail/110736/

”立正大学(東京都品川区)が20日、資産運用を目的とする金融取引で、今年
 9月末時点で約148億円の評価損を抱えていることが明らかにした。また、既
 に駒沢大学(東京都世田谷区)が資産運用で154億円の損失を計上したこと
 が判明しており、世界金融危機は企業のみならず、大学経営をも直撃してい
 る。
 なぜ教育や学生サービスを基幹事業とする大学が、投機性の高い商品に手を
 出していたのだろうか。これには国内の少子化の影響が少なからず関係して
 いる。現在多くの大学では、学生が減ったことで授業料収入の減少が経営上
 の問題となっている。授業料の引き上げを行わないかぎり収入の落ち込みに
 つながるが、大学の人気にもかかわってくる授業料をそう簡単に引き上げる
 わけにもいかず、そこで取り組んだのが積極的な資産運用だ。
 たとえば米国では2兆5000億円の基金を有したハーバード大学が、過去10年
 の平均運用利回り15%という高いパフォーマンスを見せており、またイェー
 ル大学、プリンストン大学なども高収益を何年にも渡って得ている。これま
 で日本の大学でも、現預金中心に運用が行われてはいたが、今後、大学経営
 を支えるためには海外の例に倣い、リスクとリターンを踏まえた積極的な資
 産運用に取り組む必要に迫られていたのだ

 運用自体は運用会社への外部委託が一般的だ。今回の件においても、立正大
 学は国内の証券会社を通じて、駒沢大学は外資系金融機関2社との間で取引
 を行っていた。大学による資産運用はほとんどが、株式だけではなく複数の
 金融商品に投資する「分散投資」や長期投資の考え方に基づき行っていたは
 ずだが、それでも今回のような多額の損失を計上してしまったのは、未曾有
 の金融危機が勃発してしまったことに他ならない。世界中のほとんどすべて
 の市場が下落しているような状況では分散投資をもってしてもリスクを軽減
 することができなかったのだ。その結果、少子化による授業料の減収と金融
 危機というダブルショックが今、国内大学の経営を脅かしている。”

 → 日本語の誤りもかなり目立つのですが、
   そもそも「背景」の説明にすらなっていません。
   学生の減少と積極的な資産運用の因果関係が
   かなりいい加減に書かれていると思うのですが。

   最も宜しくないのは「リスクとリターンを踏まえた」
   とある部分で、もしそれが本当だったら
   100億のエクスポージャーで150億の損失の出る商品など
   持っている筈がありません。

   駒沢大学の担当者が「リスクとリターンを理解していない」
   「金融商品の中身を全く分かっていない」ことこそが
   今回の事件を招いた最大の原因です。

金融マンにカモにされる大学 駒澤大と立正大は氷山の一角(diamond.jp)
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/business/2008112604-diamond.html

”11月21日には、立正大学で148億円の含み損があることが明らかになった。
 国債、地方債、社債、投資信託だけならまだしも、豪ドルを組み込んだ仕
 組み債までも抱えていて、3月末時点で96億円だった評価損がやはり金融
 市場の混乱や円高の影響で拡大した模様だ。しかし立正大は各種金融取引
 について、「満期保有を基本としているため、最終的な損失額は確定して
 いない」と言っていて、現時点では評価損を計上していない。後述するが、
 こうした認識には大いに心配な点がある。
 19日付の朝日新聞の記事によると、全国約650の大学・短期大学のうち、
 少なくとも75大学がデリバティブ取引を行っていたという(日本私立学校
 振興・共済事業団調査。2005年度の集計と古いため、数はさらに増えてい
 る可能性もある)。むろん、このご時勢に資産運用で苦労していないとこ
 ろはないだろうが、率直に言って、大学は金融機関(特に外資系)のいい
 カモになっている。”

 → これは山崎元氏です。
   氏のコラムには、誰かを批判する際には歯切れが良いのに
   「どうすべきか」を明言しないという癖があります。

   大学の資産運用は教育の充実のためにも必須です。
   金融機関の利幅の大きいデリバティブを一律禁止させるべき、
   程度のことは提言できるでしょうに。

   日本の場合、専門家の層が圧倒的に薄いのも問題です。
   アセットアロケーションまで踏み込まないと
   解説にすらならないはず。

大学の資産運用失敗!? ~駒澤大学のデリバティブ損失と慶応大学の評価損~(為替王)
http://blog.livedoor.jp/kawase_oh/archives/51415524.html

”駒沢大学の事例は、「日本の投資家が外資系金融機関の食い物にされた」
 ニュースが過去に何度もありましたが、まるでその焼き回しのようです。
 企業の余資運用や年金基金の運用に、外資系金融機関が複雑な仕組み債や
 デリバティブなど、ニーズに合っていないと思われるような金融商品(ま
 たは投資家側に不利と思われるような粗悪な金融商品)をセールスし、担
 当者もリスクを充分に理解せずに購入してポートフォリオに組み込んでし
 まうというケースです。今から10年前のアジア通貨危機直後に、ヤクルト
 が巨額のデリバティブ損失を抱えていることが発覚し、幹部辞任や株主訴
 訟に発展しましたが、類似の事例は枚挙に暇がありません。
 この場合の問題点は、担当者の勉強不足。およびチェック体制の不備。資
 産運用について理論武装ができている担当者ならば、デリバティブ金融商
 品を組み入れることによる、メリット・デメリット、最大許容損失などす
 べて事前に考慮しますから、それができるレベルに担当者が達していなか
 ったことと、チェック機能を果たす上司(理事会)も無防備だったこと、
 そこを外資系金融機関に付け込まれたということ、もひとつ加えるならば、
 担当者や理事が外資系のセールスマンたちのお得意の接待攻勢に負けてし
 まったこと、などが原因と考えられます
。(駒沢大学のケースは接待の有
 無は知りませんが、かつてのヤクルトのケースでは、接待にとどまらずリ
 ベートまでありました)”

結局、本当の意味で勉強になる解説は、
為替王さんたった一人だけでした。
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寺田徳MSCI特別顧問、GPIFの年金運用を激烈批判-「異常な国内投資偏重」と

2008-11-10 | 株式・為替マーケット全般
素晴らしい論考を発見しました。

GPIFの運用は超低利回りの日本国債が資産の7割近くという
とんでもないポートフォリオになっています。
これでは国民が委託した大切な資産が眠りこけているようなものです。
機会損失の責任追求が当然なされるべきではないでしょうか。

外債と外国株の比率を上げなければリターンは伸びません。
リスクを抑制したければ外債のウエイトを高めれば済む話です。
この国内資産偏重を誰も不思議に思っていないのだろうかと
私は前々から疑問に思っていたのですが、
やはり同様の視点で捉えている方がいらっしゃいました。

GPIFの運用は「常軌を逸した前提」寺田徳MSCI特別顧問(日経ヴェリタスonline)
http://veritas.nikkei.co.jp/features/12.aspx?id=MS3Z07033%2010112008

”2006年3月まで約5年間、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
 の投資専門委員を務めた寺田徳MSCI特別顧問は、現状のGPIFの運
 用手法に極めて批判的。その論拠を聞いた。
 ――GPIFの運用の問題点は何ですか。
 そもそも基本ポートフォリオの決め方が間違っています。現代投資理論で
 は、個々の投資家の最適のポートフォリオを2つの要素で決めます。1つ
 が実現可能なリスクとリターンの組み合わせである「有効フロンティア」。
 ハイリスクならハイリターン、ローリスクならローリターンになる。もう
 1つが「効用曲線」。こちらは個々の投資家のリスク許容度を示す。双方
 が均衡する点が最適なポートフォリオになります。
 GPIFは後者の効用曲線の代わりに「シャープ・レシオ」という指標を
 使っています。これは各市場の過去の収益実績と短期金利の水準で一義的
 に決まるもので、リスク許容度を反映する余地がありません。個人投資家
 でさえ、自分の取れるリスクに応じて株式投資の量を調整するでしょう。
 公的年金はそれさえしていない。明らかに投資理論の誤用です。
 ――国債偏重と言われるポートフォリオのバランスについてはどう考えま
 すか。

 国内債が7割という結論が出るのは「有効フロンティア」を出すのに常軌
 を逸した前提を置いているからです。有効フロンティアは株式や債券など
 各資産の期待リターンとリスクのバランスで決まりますが、GPIFは国
 内債の期待リターンを3%と置いている。長期金利が1%台の国ではあり
 得ないリターンだし、民間の運用機関の前提と比べて異常な数字です


 ――国内資産の比率も8割と海外の公的年金に比べて高いです。
 いわゆるホームカントリーバイアス(自国投資偏重)が非常に高い。現在
 は日本株比率が11%、海外株が9%となっていますが、代表的な世界の株
 価指数のウエートでは日本は1割弱しかない。どの国でも年金基金の運用
 は自国資産に偏りがちですが、例えば昨年からカリフォルニア州職員退職
 年金基金(カルパース)が市場平均並みの組み入れ比率に転換するなどホ
 ームカントリーバイアスを下げようと努力しています。
 資産別の分散投資も十分ではない。国内外の株と債券では4種類しかなく、
 オルタナティブ(代替投資)やインフレ資産の組み入れなどが進んでいる
 海外の最新の流れに取り残されています。10年前と変わらぬ運用は海外の
 大きな年金では例を見ない旧態依然さです。
 ――先進的な手法の採用にGPIFは慎重です。
 運用の世界は革新が早く、海外年金は絶えず変化にチャレンジしています。
 でも、日本では年金を預かっているのは運用のプロではなく、前例踏襲主
 義の役人です
。彼らの優先事項は組織の利益であって、受益者の利益を守
 るという発想がそもそもない。社会保険庁と全く同じです。厚労省の役人
 に運用の専門家としての能力がないのは誰の目にも明らかです。運用担当
 部門の長を2年のローテーションで役人が務めると話すと、海外年金関係
 者は「信じられない」とびっくりしますよ。でも、それが現実です。
 ――GPIFも中途採用や運用委員会のメンバー入れ替えなどで専門性を
 高めています。

 理事長、理事などボードメンバーが専門家でなければ使いこなせません。
 世界で最良の体制を持つと評価されるカナダの公的年金では、財務大臣か
 ら任命された独立性の高い理事会メンバーが運用の基本的な方針を決め、
 実務はプロ集団である執行部門に任せている。理事会はその監視に当たっ
 ています。GPIFの運用委員会は受託者責任も負っておらず、厚労省や
 GPIFの意思決定を追認するだけの機関です。委員もすべてが必ずしも
 運用の専門家ではない。投資専門委員として在籍中に内部から見た経験で
 も、事務方の根回しで異論や反対論が押さえ込まれてしまうケースは少な
 くありませんでした。
 ――運用のプロを雇うと、コストが高くついたり、出身母体に便宜を図っ
 たりといった利益相反が起きませんか。

 コストをかけないといい運用はできません。人材確保で民間と競合する以
 上、ある程度の報酬は必要です。でも、必ずしもとんでもない高給はいら
 ない。「公的年金で責任あるポジションにいた」というのはキャリア形成
 になるからです。利益相反の問題はもっと透明性を高めれば難なく回避で
 きる。
議事録を実名ですべて公開すれば、おかしなことはできない。匿名
 で運用委員会の議事要旨を開示している現状の方が問題です。”

 → 組織内にいらっしゃった方なので、
   詳しい内情が紹介されています。
   「やはりそうか」と思わせる指摘が随所に出てきますね。

   公的年金運用は絶対に改革が必要です。
   今回の記事で確信しました。

「積立ではなく賦課」川瀬隆弘GPIF理事長(日経ヴェリタスonline)
http://veritas.nikkei.co.jp/features/12.aspx?id=MS3Z1500C%2007112008

”老後の生活を所得面から支える公的年金制度。年金積立金管理運用独立行
 政法人(GPIF)の川瀬隆弘理事長に運用方針を聞いた。
 ――GPIFの使命と運用の基本的な考え方を教えてください。
 公的年金の積立金運用は私たちが担っていますが、資産運用をどうするか
 を私たちが独立して勝手に考えてやっているわけではありません。積立金
 運用は年金財政の重要な一環です。2004年の年金制度改革は100年均衡を
 うたい、今後100年間の年金財政を設計しました。保険料率については、
 (月々の標準報酬とボーナスの)18.3%(半分は会社負担)が上限。しか
 も100年後の年金額が現役世帯の手取り年収の50%を上回らなければなり
 ません。
 そのときに年金積立金に期待される役割は2つです。まず、年金積立金
 はそんなにたくさん要らないだろうということです。04年当時は約5年
 分の給付額に相当する積立金を持っていましたが、これを1年分ぐらい
 まで取り崩します。もう1つはこの間に名目賃金上昇率プラス1.1%の
 利回りをターゲットに積立金を運用するということです。これをなるべ
 く小さなリスクで達成することが求められています。
 ――「諸外国の公的年金運用組織に比べて運用が下手だ」という批判が
 あります。

 海外基金との差は主として自国金利水準の差と運用方針の違いという2
 つによるものです。運用が下手だというのは、例えばカリフォルニア州
 職員退職年金基金(カルパース)やカナダの公的年金が2ケタの収益を
 上げているのに対してGPIFが5%ぐらいだ、ということを指してい
 るのでしょう。運用利回りが違う理由は大きく3つあります。1つはそ
 の通貨のベースとなる金利です。どこの国の年金でも運用対象は、基本
 的にはその国の債券がかなりの割合を占めます。2つ目は為替レート。
 外国資産の評価は通貨高か通貨安かで左右されます。3番目が株式比率
 です。
 例えば過去5年間で、カルパースやカナダは平均十数%の利回りを上げ
 ています。GPIFは03~07年度の市場運用分で年率が5.7%です。も
 しも日本債券がカナダと同じような金利だったらどうか。カナダの国債
 は5年間で年6%強、国内債券の比率が60%強ですから3%強の金利が
 出ます。
 もう1つは株式比率です。GPIFは20%強ですが、彼らは50%ぐらい
 です。ベースとなる国内債券の金利だけではどこの国もなかなか目標に
 達しないので、リスクは高くてももう少し利回りがいい株式でも運用す
 る。目標金利が債券金利に比べて高いほど株式の比率が高くなる。した
 がって、リスク、つまり収益の振れが大きくなる。
 ノルウェーは株式の保有比率を60%に引き上げる過程にあり現在5割弱
 です。そのため、07年4月~08年3月の収益率は2ケタのマイナスとな
 ったようです。カルパースも年間2割を超えるマイナスと報道されてい
 る。それに対しGPIFは6.1%のマイナスです。
 〔中略〕
 ――GPIF批判の背景には「納めた年金保険料は受取時までGPIF
 に積み立てられ、受け取る年金額は運用の結果により決まる」といった
 「過大な」期待もあるように思います。

 積立方式を考えられているのであればそれは誤解です。誤解をGPIF
 が解くのか、厚生労働省が解くのか。(現役世代が納めた保険料を積み
 立てずにそのまま給付に回す)賦課方式ですよ、ということは政府の方
 が説くべきではないか。GPIFもディスクロージャー(情報開示)資
 料を作って、その中で賦課方式と積立方式ということも書いてはいます
 が、基本的なことは年金制度の説明だと思います。
 運用がうまくいけば将来の財政にプラスだというのは誤解とは言えませ
 ん。もちろん我々の運用が賃金上昇率プラス1.1%ではなく、例えばプ
 ラス5%といった水準を期待して、それがうまくいけばいいのですが、
 その代わりに市場がマイナスに振れたときにどうするか、という問題を
 考えておかなければなりません。
 世代間格差も年金制度の設計の問題です。現役世代の保険料の上げ方を
 どうするか、といった話は制度設計の問題で、運用の問題ではありませ
 ん。”

賢いお役人さん、という印象ですね。
処世術としては参考になりますが、
何か大きな改革を実施する際には頼りにできないでしょう。

ついでに指摘させて頂くと、
日本の公的年金は積立方式でも賦課方式でもありません。
払った以上に大盤振る舞いする「バラまき方式」です。




『年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可か』(盛山和夫,中央公論新社)

野口悠紀雄 教授も全く同じように
年金制度設計のいい加減さを指摘されています。
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ノルウェー年金基金が社会責任投資で損失回避 - リオ・ティントが「環境を破壊し倫理上問題がある」と

2008-10-30 | 株式・為替マーケット全般
先月の報道です。

SWFでは最も日本の参考になるノルウェー年金基金が、
絶妙のタイミングで資源株を売却しています。

資源価格が上昇 → 資源株が上昇 → 無理な鉱山開発 → 環境破壊

というルーチンを辿っているとするなら、
社会的責任投資も投資合理性があったということになります。

「資源会社が無理をし始めたら資源関連投資は引き際」

という結論が出ると思われます。

ノルウェー政府年金基金、英豪資源大手株売却「環境を破壊」(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080911AT2M1100A11092008.html

”ノルウェー政府の石油収入を運用するノルウェー政府年金基金は、保有し
 ていた英豪資源大手リオ・ティントの株式約8億5000万ドル(約910億円)
 を売却したと発表した。同社の関連会社が運営するインドネシアの鉱山事
 業について「環境を破壊し倫理上問題がある」と判断し、運用対象から外
 した。
 ハルボシェン財務相は「鉱くずの河川投棄で環境を破壊している事業を支
 えたくない」と売却理由を説明。保有株は今年上期に全額売却したとみら
 れる。これに対しリオ・ティントは「同事業の環境対策は基準を満たすと
 自負しており、ノルウェー政府の決定に驚き、失望した」との声明を発表
 した。
 ノルウェー政府年金基金は運用資産規模3,750億ドルの、世界有数の政府系
 ファンド。倫理上問題がある企業を運用対象から除外する社会的責任投資
 に力を入れている。”

ウォルマートに倫理的烙印を押して売却した件もそうですが、
ノルウェー年金基金の一挙手一投足から目が離せません。

我らがGPIFは、低成長・成熟経済の時代を迎えて
必ずや運用体制の見直しを迫られます。
その際に参考になるのは、まずノルウェーです。
情報公開や資産配分だけでなく、運用思想にも注目です。
さすがに今年の運用は大きなマイナスでしょうが、
こうした時にこそ学びを得るチャンスでもあります。

ノルウェー年金基金はどなたかが観察して
「ウォッチャー」として情報提供してくれないものかと
心待ちにしています。

私がなれば良いのでしょうが、
シンクタンクに勤めている金融専門職の方が
質の良い情報提供を行って下さると思います。

『週刊エコノミスト』あたりで、世界の著名ファンドの動向を
知ることができるようにならないものでしょうか?
編集部の皆様、是非御検討下さい。
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「最終兵器」カーターボンド復活が金融市場を救う? - 米国はドル失墜を止められず、歴史的な窮地に

2008-10-27 | 株式・為替マーケット全般
段々「1930年代と似てきた」との不吉な報道の増えた昨今、
米政府と金融当局は市場の暴風雨に翻弄されて
利下げ余力も限られてきており、手詰まりを見透かされています。

金融史を顧みると転換点となり得る方策がひとつ、
「カーターボンド」の復活が迫っていると思われます。

資源高の裏にドル信認の揺らぎ 米国は本当に為替介入できるか(ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/series/money_market/10038/

”米当局はドル買い介入を実際どの程度実施できるのだろうか?
 ドル買い介入を行なうには外貨が必要だ。しかし米当局はユーロ310億ドル
 相当、円181億ドル相当しか持っていない。SDR(特別引出権)97億ドル
 を加えても介入原資は心もとない。
 海外当局との為替スワップを使えば、外貨を一時的に入手できる。実際、
 60~70年代に米当局はそれを行なった。しかし、FRBの資料によれば、
 「借り物の外貨」による当時の介入は迫力に欠けたようだ。海外当局の事
 情でスワップが継続できないこともあった。
 そこで米財務省は、外貨を入手するため78年11月から「カーターボンド」
 という外貨建て米国債をドイツ、スイスで計65億ドル発行した。「カータ
 ーボンド現代版」を発行すれば、ドル買い介入可能額は増加する。しかし、
 有力FedウオッチャーであるWrightson ICAPのルー・クランドル氏は、そこ
 までの覚悟は米政府にはいまだないだろうと見ている。
 米当局が保有している金を売却して外貨を入手するという手もある。5月
 末時点で、市場価値は2000億ドル以上もある。現代は金本位制ではない。
 しかし、米当局が金を大量に売却することから生じる心理的な悪影響は、
 為替市場におけるドル買い介入の効果を相殺してしまうかもしれないと、
 クランドル氏は指摘する。
 結局、当面はドル買い介入が大規模に実施される可能性は低いように思わ
 れる。効果的なタイミングと効果的な演出(協調介入)をアレンジしなけ
 れば、介入効果は生まれにくい。このため米当局は、ドル安懸念やインフ
 レ懸念を発して、市場を牽制するスタンスをしばらく続けると思われる。”

 → 東短リサーチの加藤出 取締役の寄稿です。
   元の文章はかなり長いので
   そちらもすべて目を通されることをお薦めします。
   7月の段階でこの文章が書かれている訳ですから、
   氏の着眼点はやはり卓抜だと思います。

米金融危機、75兆円不良債権買い取り策は悠長過ぎる(東洋経済オンライン)
http://www.toyokeizai.net/business/international/detail/AC/f4f22dcbff6be9e25ab8f8810a020282/

”世界的な流動性危機の背景にあるのは、主に米国、そして、欧州の巨大金融
 機関の資本不足にほかならない。それがあまりにも明らかであるがために、
 歴史的と言えるほどの基軸通貨の流動性危機が発生しているのだ。
 米国は第2次大戦後、基軸通貨国となったが、その歴史の中盤から米国は節
 度を失った基軸通貨国として振る舞ってきた。巨大な財政赤字を海外資本に
 依存する体質はその一例だ。その中で、化け物のように巨大化したのが投資
 銀行などのホームグラウンド、ウォール街だった。そのウォール街もまた節
 度を失って宴に明け暮れた。
 しかし、いま発生しているのはウォール街だけを震撼させる出来事ではない。
 何よりも、米国政府はRTCというような悠長な枠組みではなく、1930年代
 の大恐慌の際に導入したRFC(金融復興公社)の現代版を設立し、公的資
 金投入による銀行、投資銀行からの株式買い上げを行うべきではないか。
 公的資金投入は政治家、経営者など関連した当事者たちの責任追及なくして
 は実現できない。それだけに、当事者たちが及び腰になるが、もはや、これ
 を躊躇する余裕はなくなりつつある。
 いずれにしても、問題解決のために米国は巨額の財政資金を調達しなければ
 ならないが、すでに米財政の悪化は著しい。下手をするとドル危機を招きか
 ねない。米国は1970年代のカーターボンドのように、ドル以外の通貨建ての
 ファイナンスを迫られかねない
。そうならないためにも、米政府は徹底処理
 による「節度の回復」を世界に向けて訴えるべきである。”

浪川攻 氏も今月初めにカーターボンドに言及しています。
誰が引き受けるのかはともかく、
他の手段がなくなりつつある現状では
選択の余地はいよいよ狭まっています。

日本にとってはこの方向性の方が明らかにプラスです。
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フランスのサルコジ大統領、欧州版政府系ファンド(SWF)の設立を提唱 -「自らを守る必要がある」

2008-10-21 | 株式・為替マーケット全般
やはり原油高は投機資金の価格つり上げだったとか、
金融はアブナイから日本には製造業しかないとか、
またアメリカの策略に嵌められるのではないかとか、
目先しか見ていない「泥縄」評論家が国内に多いですが、
知恵を絞って激動に立ち向かっている人々に注目した方が賢明です。

もし日本版SWFを創設するとしたら、
高いリターンを望めるここ1、2年が最適と言えるでしょう。
ここ数ヶ月の急落に怖じ気づいて投資アレルギーになるような人は、
バフェット氏どころか澤上氏の足元にすら及ばないでしょう。

フランス大統領、欧州政府系ファンド設立を提唱(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200810220035.html

”フランスのサルコジ大統領は、欧州版政府系ファンド(SWF)設立を提唱
 した。世界的な金融危機の打撃を受けた企業の株式を取得し、「収奪者」か
 ら守るためという。
 同大統領はまた、来月開かれる予定の金融危機対応のための主要国首脳会議
 (サミット)に中国とインドも加えるよう、欧州連合(EU)として働きか
 けていく意向を示した。
 大統領は欧州議会での演説後、記者団に対し「危機の中で、国益と欧州の利
 益を守ることになる政府系ファンドの有用性を考えないわけにはいかない」
 と述べた。
 その上で、海外の政府系ファンドを脅威とみなす一方で欧州版のファンドを
 救世主ととらえるのは矛盾しているとの見方に対し、「政府系ファンドが脅
 威といっているわけではない。自らを守る必要があるということだ」と語っ
 た。
 大統領によると、政府系ファンドは安く資金を調達し、取得した株式をいず
 れ売却することで利益を得ることが可能

 欧州委員会のバローゾ委員長は「非常に面白い」アイディアとしながらも、
 域内各国のなかには相反する考え方があると指摘した。イタリアなどは外国
 の政府系ファンドによる投資への規制法案を模索する一方、スペインはアラ
 ブ諸国のオイルマネーによる投資を積極的に受け入れている。”

 → 最低でも日米英独仏豪加+中東産油国、
   できれば中国とシンガポールも加えて
   政府系ファンド連合軍をつくれば
   金融危機をたやすく乗り越えられるでしょう。

   実現性は措いて、面白い案です。

   アルゼンチンやパキスタンがきな臭くなっており、
   最高度に危機感を募らせた先進国が
   意外にこの路線で結束するかもしれせん。


民主党が金融危機対策、外貨準備の活用など盛り込む(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200810100127.html

”民主党は10日午前、金融対策チームの会合を開き、金融危機対応策をとり
 まとめた。対策では、外貨準備の流動性対策としての活用や中小企業の資金
 繰り対応のほか、2008年3月末で期限切れを迎えた地域金融機関向けの
 予防的な公的資金注入措置である金融機能強化法の時限的な復活、生命保険
 の契約者保護を行う生命保険契約者保護機構への公的支援の延長などを盛り
 込んだ。
 今後、日銀、財務省、金融庁など関係当局に対応を促すとともに、法改正が
 必要な対応について議員立法も視野に検討する。概要は以下の通り。

 1.流動性不足対策

  1)日銀と米連邦準備理事会(FRB)とのドルスワップ協定を市場動向
    によってさらに増額、期間延長を行う。

  2)日銀の準備預金率を市場動向によって迅速に引き下げる。

  3)日銀の適格担保について、市場動向によって基準を緩和する。クロス
    ボーダー担保制度について早急に成案を得て、制度を実働させる。

  4)外国為替資金特別会計の剰余金・積立金を市場動向によって流動性対
    策として活用。日銀への預金、民間金融機関との通貨スワップ契約、
    保有有価証券のレポ取引などの活用も検討。〔以下略〕”

暫く前にこのような報道も出ていました。
忍び足で接近する次回の衆院選では
民主党の躍進、自民党の苦戦が予想されます。

今のドル安でも、外為特会には巨額の金利収入があるはずです。
もとは租税であり、責任を持って賢く利用しなければなりません。
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