夕方台風 雨の予報 午前中から小雨 今のうちと買い物に出た 本屋にも行きたかった 一乗寺 恵文社 日曜日の混み方
恵文社 初めて来たのは高3の秋だった 通っていた画塾の先生 当時大学院生 が中のギャラリーで写真展をするとハガキをくれた 北区の実家に住んでいた頃 左京区に来ることはほとんどなく 恵文社の存在も知らなかった 叡電の駅からハガキの地図を頼りに知らない商店街を歩き ほんとにこんなところにギャラリーがあるのかと 不安になってきた頃 恵文社にたどり着いた 近所にある本屋とはまったく違う 見たことのない タイトル 装丁に目を奪われながら 目にとまった一冊 表紙の池田満寿夫の銅版に惹かれた バタイユのマダム エドワルダ バタイユなんて名前も知らない 最初のページには こう書かれていた
もしきみがものに怯えているなら、この本を読みたまえ。だがその前に、聞きたまえ。もし笑だすとすれば、怯えている証拠である。書物は、きみの目に、生命のない品物に見えるだろう、無理もない。だが、かりに、まんがいち、読むすべを知らなければ?恐れるわけがあろうか…?きみはひとりぼっちか?寒気をおぼえているか?きみは心得ておるか、人間はどれほどまでに《きみそのもの》であるか?
愚かで?そして裸であるか?
このいざないは 当時の私にとって魔術的であった 手に取るよう用意されていたもののようであり ふいに手にいれてしまった毒薬のようでもあった
読んで 特に眼球譚 世の中にこんなことを書く人が いる ということを知る
おそらく恵文社との出会いには そういった個人的エピソードを持つ人が多いと想像する そういう本屋だから
物語が読みたいのかエッセイが読みたいのか 数冊の間を行き来して一冊選ぶ 雨足はやや強まっている
目と鼻の先のスーパーで ニラともやしと豚肉を買うその隙に 外出が億劫になる振り方 しっかり濡れて帰宅 昼間でよかった夕暮れだったらもっとせつないと思いながら時計は昼を過ぎ1時前
余りに余ったそうめんを パッタイ風にしようと思っていた そうめんチャンプルはうまくいった試しがない いつも麺がごねごねに 麺の茹で時間も炒める時間をごく短く そうするとややうまくいった
香水の調整 油絵の続きをする 重ねるほどだめになっていく気がする 初心に戻ろうとハガキサイズのドローイングをペンでする 雨足は強くなる
夜になるにつれて風雨は過激さを増す 寝る前にまだ細いばらの苗 クロードモネを避難させた 3時過ぎに寝入って風で家が揺らされて目が覚めた 外は嵐だった 外壁や瓦が剥がれて飛ばされてもおかしくない荒れ狂いようだった
何かがものすごく怒っていると言われれば信じる
Twitter上では 渡月橋が流されたというのや 鴨川やばいというのや
紺色の寝室 屋根のある幸福 丸まった猫たちを見ながら 鎮まれと念じて布団をかぶる
昔から台風が来るのは ちょっとしたイベントのようで 学校が休みになるし 窓からごうごう言うのを見ているのも楽しいものだったが 今回台風というものが ほんとうに怖いと感じた
それでも朝は来た 拍子抜けするほどしんとした朝だった いつもどおりかぼちゃジュースを飲むが テレビをつけると濁流と化した鴨川 桂川 嵐山が水に浸かっている 我が家では軒先の自転車が倒れていたくらい
台風は遠慮せず傷口のふさがらない東へ向かっていった
恵文社 初めて来たのは高3の秋だった 通っていた画塾の先生 当時大学院生 が中のギャラリーで写真展をするとハガキをくれた 北区の実家に住んでいた頃 左京区に来ることはほとんどなく 恵文社の存在も知らなかった 叡電の駅からハガキの地図を頼りに知らない商店街を歩き ほんとにこんなところにギャラリーがあるのかと 不安になってきた頃 恵文社にたどり着いた 近所にある本屋とはまったく違う 見たことのない タイトル 装丁に目を奪われながら 目にとまった一冊 表紙の池田満寿夫の銅版に惹かれた バタイユのマダム エドワルダ バタイユなんて名前も知らない 最初のページには こう書かれていた
もしきみがものに怯えているなら、この本を読みたまえ。だがその前に、聞きたまえ。もし笑だすとすれば、怯えている証拠である。書物は、きみの目に、生命のない品物に見えるだろう、無理もない。だが、かりに、まんがいち、読むすべを知らなければ?恐れるわけがあろうか…?きみはひとりぼっちか?寒気をおぼえているか?きみは心得ておるか、人間はどれほどまでに《きみそのもの》であるか?
愚かで?そして裸であるか?
このいざないは 当時の私にとって魔術的であった 手に取るよう用意されていたもののようであり ふいに手にいれてしまった毒薬のようでもあった
読んで 特に眼球譚 世の中にこんなことを書く人が いる ということを知る
おそらく恵文社との出会いには そういった個人的エピソードを持つ人が多いと想像する そういう本屋だから
物語が読みたいのかエッセイが読みたいのか 数冊の間を行き来して一冊選ぶ 雨足はやや強まっている
目と鼻の先のスーパーで ニラともやしと豚肉を買うその隙に 外出が億劫になる振り方 しっかり濡れて帰宅 昼間でよかった夕暮れだったらもっとせつないと思いながら時計は昼を過ぎ1時前
余りに余ったそうめんを パッタイ風にしようと思っていた そうめんチャンプルはうまくいった試しがない いつも麺がごねごねに 麺の茹で時間も炒める時間をごく短く そうするとややうまくいった
香水の調整 油絵の続きをする 重ねるほどだめになっていく気がする 初心に戻ろうとハガキサイズのドローイングをペンでする 雨足は強くなる
夜になるにつれて風雨は過激さを増す 寝る前にまだ細いばらの苗 クロードモネを避難させた 3時過ぎに寝入って風で家が揺らされて目が覚めた 外は嵐だった 外壁や瓦が剥がれて飛ばされてもおかしくない荒れ狂いようだった
何かがものすごく怒っていると言われれば信じる
Twitter上では 渡月橋が流されたというのや 鴨川やばいというのや
紺色の寝室 屋根のある幸福 丸まった猫たちを見ながら 鎮まれと念じて布団をかぶる
昔から台風が来るのは ちょっとしたイベントのようで 学校が休みになるし 窓からごうごう言うのを見ているのも楽しいものだったが 今回台風というものが ほんとうに怖いと感じた
それでも朝は来た 拍子抜けするほどしんとした朝だった いつもどおりかぼちゃジュースを飲むが テレビをつけると濁流と化した鴨川 桂川 嵐山が水に浸かっている 我が家では軒先の自転車が倒れていたくらい
台風は遠慮せず傷口のふさがらない東へ向かっていった