手のひらに 白雪重ね 梅咲きぬ
馬糞 Bafun
地球温暖化の暖冬とはいえ、大寒の頃の寒さは鮮烈で
ある。
その真冬の只中に梅の花は咲く。
梅の花を見ると、大寒の寒さは真冬ではなく、早春に
なる。
梅の花は、真冬の中にある春を呼吸して香っている。
武士Mononofu の花というにふさわしい。
人生の試練というものも、梅の花のように楽しみたい
ものである。
人生は修行である。
試練なくして修行なし。
すなわち、人は、試練を楽しむために生まれてきたと
いうべきではないか。
梅の花の冬も去ってゆく。
去るべき早春を惜しみつつ楽しみたい。
愛すべき試練も、長くは続かないのである。
手のひらに 降る白雪や 梅の花
悲しきことの はかなくもあり
馬草 Magusa
白雪のような梅の花が香りたち、今を盛りと咲き始め ました。
ああ、なんて美しいのでしょうか。
でも、桜の頃が近づくと、もう梅の花は散りすぎてい ます。
それを思うとはかなく、惜しみつつ眺めてしまいます。
心に残る美しさというのは、逆境の中に咲き、はかな
いものの中にこそあるものなのでしょうか。
真冬の中に春を香り立たせる梅の花を、やまとの人々
は愛して止みませんでした。
東風吹かば 匂いよこせよ梅の花
主なしとて 春な忘れそ
と歌った菅原道真の心境は、京への未練であるかのよ
うに伝えられていますが、逆境に身を置きながら、早春
の梅に共感していたのではないか、と思えてくるのです。
『チャンスは逆境の顔をしてやってくる』。
逆境の中にあるみなさま、梅の花のように、春を香ら
せようではありませんか。
早春を楽しむ者には、悪魔も退散するといいます。
どんなに苦しめようと試みても、それを楽しみながら
成長してゆくのですから、悪魔にとって、こんなに面白
くないことはありません。
ですから、逆境が訪れたら、香り立つ梅の花を楽しも
うではありませんか。
その愛すべき逆境も、はかなく過ぎ去るものなのです。
早春の梅の花を、わたくしは愛してやみません。
Magusa