これぞ、世界に誇れる
ジャパニーズアニメーション!
「おおかみこどもの雨と雪」84点★★★★
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大学生の花(声・宮あおい)は
ある授業で彼(声・大沢たかお)を見かける。
どこか他の人とは異なる佇まいの彼に花は惹かれ、
二人はつき合いはじめる。
あるとき彼は
花に誰にも言わなかった秘密を打ち明けた。
「実はおれは狼男なんだ」――。
それでも花は彼を愛し、
やがて二人の間に子どもが生まれる。
姉の雪と、弟の雨。
おおかみと人間の子どもである彼らの成長を
二人はドキドキしながら
見守っていくはずだったのだが――。
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「サマーウォーズ」も好きだったけど
超えましたね、細田守監督。
帰り道、じわじわとこみ上げてきて
涙が止まらなくなったわい。
ちなみに隣のおいちゃん(推定・50代後半)も
ボロ泣きしてたわい。
夏休み、親子で見て欲しい映画NO.1!
なんですが、実はこれ
子育て世代か、親の苦労をわかるようになる
ある程度の年齢の人のほうがグッとくるかもしれない。
狼男の父親と出会い、恋におちた母親の
「ウソみたいな話」を
娘が振り返って語るという形式で、
狼男なんて現実離れしてそうな話が
こうもフツーの日常に思えるのは、
これが普遍な「子育て奮闘記」であるから。
おてんばでやんちゃな姉・雪に、
引っ込み思案の弟・雨。
姉と弟の個性が細やかに描かれるのと同時に、
慣れない子育てに悩み、ハラハラし
やがて訪れる巣立ちの瞬間を予感する母の姿は、
狼だとか人間だとかを越えて、
誰にも必ずいる「親」と「その思い」を、
直球に投げ込んでくる。
直球だけど、見せ方は非常に洗練されていて
母と父のなれそめ部分など、
セリフなしの余白な美があってよかったなア。
狼男、なんて題材だけに、
もっと様々なドラマが生まれてもおかしくないのに、
あえて“子育てと子ばなれ”に
焦点を絞った潔さも素晴らしい。
驚くのは、
てっきり監督の子育て経験から生まれた話かと思いきや、
ご自身はまだお子さんがいなくて、
まわりの友人たちが親になっていくのを見て、
憧れもあって描いた話だそう。
へええ、意外。
子どもに手を焼く様子なんかも
すんごいリアルなんだもん。
これが創作とはスゴイものです。
また共同脚本の奥寺佐渡子氏は
「サマーウォーズ」のほか
「八日目の蝉」の脚本家でもある方。
この人、おいちゃん&おじいちゃん世代を泣かせる
天才なのかもしれないなア。
たぶん“母”のツボを心得ているんだと思う。
「八日目の蝉」もその層にやたらウケてたもん。
ま、とにかく
世界に誇れる日本のアニメーションが
またひとつ生まれたってことです。
★7/21(土)から全国で公開。
「おおかみこどもの雨と雪」公式サイト