ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

グスコーブドリの伝記

2012-07-04 23:53:57 | か行

ドキュメンタリー
「アニメ師・杉井ギサブロ-」(7/28公開)
と合わせて観るといいかもしれません。


「グスコーブドリの伝記」37点★★


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イーハトーヴの森に、両親と妹と幸せに暮らしていた
ブドリ(声・小栗旬)。

だがその年、森を冷害が襲い
畑も森もダメになったブドリたちは
日々の食べ物も得ることができず、貧窮してしまう。

進退窮まった両親は家を出て、
さらにブドリの愛する妹も
謎の男コトリ(声・佐々木蔵之介)にさらわれてしまう。

失意のなか、森を下りたブドリは
火山局で気象や冷害について学び始める。

しかし、再び世界を冷害が襲った。

そしてブドリはある決断をすることに――。

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東映アニメから手塚プロを経て
日本アニメーション界の一端を担った重鎮
杉井ギサブロー氏が

「銀河鉄道の夜」(85年)に引き続き
宮沢賢治世界をアニメ化した作品です。


すごく雰囲気はいいんですが、
現代のスピードから観ると
まず
テンポもモーションもスロー過ぎて、
正直かなりかったるい。

試写室でも隣のおじいさん、ずっと大イビキでした・・・(失笑)


全体的に
描くところ、描かないところの選別が悪く、
リズム感がよくないんですよ。


台詞が詩的でやや不可解な賢治調なのも
かったるさの一因だし、
主人公ブドリの声が少年っぽくないのも厳しい。

まあブドリのセリフって
「はい」「ん‥」「あ」の三種類ほどしかないんですけどね(笑)


そもそもの基本、
ブドリが父母、妹を亡くすという
究極の喪失から物語が出発している割には

それについての感情描写がはっきりと描かれないのも、
入り混みにくい一因かもしれません。

ラストもなんか拍子抜けでしたねえ。

おまけに小田和正が流れてきちゃなあ……

と、全体にどうにも時代とのズレを
感じずにはいられませんでした。

天候に左右される農業の大変さは、
ものすごっく伝わりましたけどね。


★7/7(土)から全国で公開。

「グスコーブドリの伝記」公式サイト
コメント (4)
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