英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦四者プレーオフを前に

2015-03-03 22:58:20 | 将棋
 プレーオフの予想の前に、順位戦開幕時と3回戦終了(1局未消化)時点での私の予想を反省します。

まず、「順位戦開幕、予想など」から。
 挑戦権……渡辺二冠が本命。対抗はそろそろ爆発する頃の佐藤九段。3番手は広瀬八段
 降級………阿久津八段、行方八段、久保九段、三浦九段の名を挙げ、行方八段、三浦九段に絞っている

 挑戦権の予想については、現時点で行方八段、渡辺二冠、久保九段、広瀬八段のプレーオフなので、半分以上は正解という形だが、渡辺二冠が初戦から三連敗するなど夢にも思っておらず、行方八段を降級候補にしてしまっているので、「大外れ」といって良い。
 降級については、三浦九段が的中したが、行方八段に平謝りするしかない。久保九段にも謝罪しなければならない。素直に、阿久津八段にしておけばよかったと後悔している。



次に、3回戦がほぼ終了した時点の「将棋雑感 ~8月を終えて~ その2」
 この時点までの結果を基に、予想を修正していて、
「昇級に関しては、対抗、3番手に挙げた佐藤九段、広瀬八段を推したい。しかし、難敵を多く残しているので、勝ち星をすんなり伸ばせるとは思えない。森内竜王、行方八段、深浦九段、郷田九段を含め、大激戦が展開されるであろう。2敗で踏みとどまったものが挑戦者であろう。
 降級は阿久津八段、三浦九段と見るのが順当。しかし、阿久津八段の頑張りに期待している」
というものだった。

 広瀬八段がかすったものの、佐藤九段は4勝5敗と失速してしまった。そうそう、佐藤九段が最終局に勝っていれば、最終局に関しては全局的中だったのだが。
 行方八段については、この時点(2勝0敗)においても「行方八段については、私の目が曇っていたという結果である。しかし、実は私はまだ信用していない」と………本当に申し訳ありませんでした。
 降級に関しては、的中。阿久津八段には1勝してほしかったな。




 プレーオフの予想。(対戦成績は、『将棋連盟 棋士別成績一覧』のデータを利用させていただいています。2001年以降のデータです)
1回戦 久保九段×広瀬八段
 対戦成績は久保九段の4勝0敗。これを考慮すると、「久保九段の勝ち」なのですが……
 久保九段の今年度の成績は17勝14敗(0.548)、。勝ち越してはいるが、10月から11月にかけての8連勝が利いているだけで、それを除くと9勝14敗(勝率0.675)で、直近も5勝5敗。順位戦最終局の内容も悪かった。
 広瀬八段の今年度は27勝13敗。直近は6勝4敗と若干、勝率を落としているが、調子は悪くなさそう。
 広瀬八段の勝ちと予想。 

2回戦 渡辺二冠×広瀬八段
 対戦成績は5勝5敗と拮抗。
 今年度の渡辺二冠は、24勝11敗(勝率0.686)と順調。特に、順位戦3敗目を喫した直後の9月から2月中旬にかけて15勝2敗と目が覚めたように勝ちまくった。直近は6勝4敗とブレーキがかかったが、羽生戦(2勝2敗)、郷田戦(1勝2敗)があったため。(郷田戦は今年度は4勝2敗)
 勝ち将棋を見ると、本当に強い。やはり、渡辺二冠の勝ちと予想。

3回戦 渡辺二冠×行方八段
 対戦成績は6勝6敗と拮抗。
 今年度の行方八段は、21勝15敗(勝率0.583)。直近は5勝5敗と下降気味。
 渡辺二冠の不安材料は、王将戦、棋王戦、プレーオフの過密スケジュール。しかし、最近の渡辺二冠の充実振り、ここ2年の両者の対戦が渡辺二冠の3勝1敗であることを考慮すると、渡辺二冠の勝ちと見る。
 というわけで、挑戦者は渡辺二冠と予想。
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将棋界の一番長い日2015  ~名人挑戦の道はまだ続く~

2015-03-02 20:24:02 | 将棋
 A級順位戦、最終日。
 2敗の行方八段と久保九段が敗れ、3敗の渡辺二冠と広瀬八段が勝ったことにより、4人が6勝3敗で並び、プレーオフ(パラマス式のトーナメント)となった(詳しくは後述)。降級は三浦九段、森内九段、郷田九段の順に危なかったのだが、森内九段と郷田九段が勝ち、三浦九段の終局前に三浦九段のA級陥落が決定した。
 おそらく他局の結果を知らず、勝利を目指して必死に指し続ける三浦九段の姿、そして、昇降級に関係ない深浦×佐藤戦が午前二時過ぎまで指し続けていたのが、順位戦を感じさせた。


渡辺 明二冠(6勝3敗)○-●久保 利明九段(6勝3敗)…21時39分終局
 後手・久保九段の4→3飛車に渡辺二冠が4七銀を5八に引いて飛車交換に備える新手で対抗。

 久保九段は初志を貫き飛車交換を敢行したが、やはり無理だった。渡辺二冠の打ち込まれた飛車を抑え込むことができず、惨敗。

森内 俊之九段(4勝5敗)○-●行方 尚史八段(6勝3敗)…0時33分終局
 行方八段が△5三銀右急戦を採用。お互い飛車を5筋に展開した後、森内九段が積極的に角交換を挑んだが、その後、行方八段の△3六角の角打ちに▲3八角と受ける展開は、両者の角の働きに差がついてしまった。

 角の働きで劣る森内九段は金銀で4~6筋に勢力を張って対抗するが、行方八段が指しやすい局面が続く。≪もしかしたら、森内九段、降級?≫と思われたが、端攻めの構想がぬるく、▲5四歩と後手飛車を抑え込まれて棋勢は森内九段に。ただ、森内玉の6、7筋に空白地が気になるので、勝ち切るのはなかなか大変なのではないかと思った。
 終盤、行方八段の勝負手を見切り、▲6三歩成と後手陣に切り込む森内九段。中継の解説では「控室で“だめ”と言われていた順に踏み込んだ」と記されていた。

 その2手後も「なんと飛車を取った。どよめく控室。△7六角が詰めろになる。森内はどう指すつもりなのか」、さらに2手後も「控室でもまだ森内の真意はわかっていない」と。
 ……森内九段は読み切っていた。飛車を打ち合駒に香車を使わせることで、先手玉の詰めろを解除し、詰めろを掛けて勝利を確定させた。強い!
 
 行方八段が久保九段に次いで敗れたため2敗者がなくなり、この時点で行方八段、渡辺二冠、久保九段が6勝3敗で並んだ。3者以上でのプレーオフが確定。

阿久津 主税八段(0勝9敗)●-○郷田 真隆九段(5勝4敗)…0時49分終局
 角交換腰掛け銀。△4四歩が「ふわっと突いてしまいました」と郷田九段が反省した一着で、これを機敏に阿久津八段が▲6八飛と飛車を展開し、咎めた。この手は▲6六歩△同歩▲同飛(▲同銀もある)が狙い。これに対し、6筋を備えずに△4一玉と玉を寄せた。6一にも隙を作る手で、「やって来いとでも言いたげな△4一玉とは。郷田はやはり男であった」と中継解説。
 しかし、阿久津八段の▲6六歩△同歩▲同飛に対し、郷田九段は軟弱な△6三歩。局後の感想によると、「この玉寄りで6三に歩を謝ること覚悟を決めました」(郷田)。

 多少損をしても、≪勝負はまだまだ先である≫と割り切ったのだろうか。格調高い郷田九段らしくない指し手だが、この一局に懸ける郷田九段の覚悟を感じ、最終的には郷田九段が勝つような気がした。
 この後、棋勢は二、三転したが、阿久津八段の攻めをかわして郷田九段が勝利した。
 6回戦終了時点で2勝4敗と降級の危機だった郷田九段だが、終盤、深浦九段、森内九段、阿久津八段を連破して、5勝4敗と勝ち越したのは流石である。
 阿久津八段は9戦全敗と残念な結果。良い将棋を勝ち切る強さ、悪い将棋を逆転する悪力が不足していたように感じた。もう一度A級に復帰出来るかどうかは、今後次第であろう。

広瀬 章人八段(6勝3敗)○-●三浦 弘行九段(3勝6敗)…1時25分終局
 戦型は角換わり腰掛け銀。広瀬八段が、4、2、1、7、3筋の順に突き捨てる『“世に伊奈さん”仕掛け』を敢行。
 後手の三浦九段は▲3五歩に飛先の歩の付き捨てを入れ▲8六同銀に△3五歩と手を戻し、▲7四歩に△4六角と新手順を見せる(公式戦では現れていないが、有名な変化らしい)。
 
 微差だが先手・広瀬八段のの指せる分かれであったらしく、その差をキープした終盤に。
 入玉含みに指した方が良かったらしいが、受け切りを目指したため、難局に(微差で先手有利)。
 何とか勝利への道を開拓しようと苦闘する三浦九段だが、0時33分に森内九段が勝ち、0時49分に郷田九段が勝ち、三浦九段のA級陥落が決まっていた。
 囲碁将棋チャンネルは未契約で、ニコニコ生放送も弾かれるので、三浦九段の対局姿を見ることはできなかった。それでも、何度も入室しなおして、チラチラと三浦九段の指す姿を見ると、やはり心を打たれるものがあった。
 広瀬八段がきっちり勝ち切り、プレーオフに進出した。

深浦 康市九段(5勝4敗)○-●佐藤 康光九段(4勝5敗)…2時9分終局
 本局も角換わり腰掛け銀。先手・深浦九段が4筋に飛車を振り仕掛けた。昨年度名人戦第3局▲羽生三冠-△森内名人(第71期・2013年4月~5月、森内名人が4勝1敗で防衛したシリーズ)と同じ仕掛け(羽生三冠の唯一の勝利)。
 佐藤九段が長考し苦心したが、その割には不利に陥る。残り時間も少なかったが、入玉方針が功を奏し、先手良しながら先手が勝ち切るのが大変な局面に持ち込む。
 駒数不足の佐藤九段だが、先に玉を敵陣3段目まで逃げ込み、「駒数確保」と「先手玉の入玉阻止」と両作戦を織り交ぜ「勝負、勝負!」と挑む。
 深浦九段も辛抱強く指し有利をキープするが、なかなかゴールが見えてこない。昇降級に関係ない1局を延々と指し続けるふたり。
 1時40分……ついに力尽きる、私が(笑)。

 午前2時9分、後手玉が詰み、佐藤九段が投了。233手。(感想戦は3時35分に終了)

 深浦九段は長手数が多いなあ。深浦九段の長所であり、弱点でもある。


 こうして、将棋界の一番長い日は終わった。
 しかし、名人挑戦への道はまだまだ続く。(プレーオフについては後日)
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将棋界の一番長い日2015 展望

2015-03-01 12:14:32 | 将棋
≪最終日は3月なのでまだまだ≫と思っていたら、2月は28日しかないので、あっという間に当日になってしまいました。

 A級順位戦、現在の状況は次の通り(括弧内の順位は前期成績による今期のランキング)
▲森内 九段(3勝5敗・1位)- △行方 八段(6勝2敗・2位)
▲渡辺 二冠(5勝3敗・3位)- △久保 九段(6勝2敗・7位)
▲深浦 九段(4勝4敗・5位)- △佐藤 九段(4勝4敗・4位)
▲広瀬 八段(5勝3敗・9位)- △三浦 九段(3勝5敗・6位)
▲阿久津八段(0勝8敗・10位)- △郷田 九段(4勝4敗・8位)

 挑戦権は6勝2敗の行方八段、久保九段、5勝3敗の渡辺二冠、広瀬八段に可能性がある。挑戦権はランキングが影響しないので、順位下位で3敗の広瀬八段も勝てば2敗のふたりが敗れればプレーオフ進出ができる。その場合、渡辺×久保戦で渡辺勝利が条件なので四者同率のプレーオフで、ランキング優先のパラマス式トーナメントとなる。
 つまり、久保×広瀬戦の勝者と渡辺二冠が対局し、その勝者が行方八段と対局し勝者が挑戦権を得る。興味を優先させれば、このパターンになって欲しい。

 一応、客観的に?勝敗を予想すると、まず渡辺×久保戦は、対戦成績を見ると渡辺12勝、久保11勝。しかし、渡辺二冠の順位戦6連勝中ということ、順位戦3連敗後の5連勝を考慮すると(久保九段も順位戦5連勝だが)、渡辺勝ちと見る。不安材料は、秋以降の好調さを維持はしているものの、王将戦の第3局、第4局の連敗、直近の棋聖戦挑戦者トーナメントで佐藤天八段に敗れていること。
 広瀬×三浦戦は、三浦九段は敗れると即降級という剣ヶ峰の一戦。こういった修羅場を三浦九段は過去何度も切り抜けている。対戦成績は広瀬3勝、三浦1勝だが、相性云々を言う局数ではない。現状の調子や棋力は広瀬八段が優位と見るが、三浦九段の順位戦のしぶとさを考慮すると、全く予想できないというのが正直なところ。強いて言うならば、広瀬八段の勝ちと予想
 森内×行方戦は、最大注目の一局。挑戦権も気になるが、あの森内九段が降級の危機。自身が敗れ、三浦九段が勝つと降級してしまう。対戦成績は森内九段の6勝4敗だが、現在の調子を考慮すると行方八段が有利と思えるが、降級の虞がある森内九段は全精力を傾けてくると思われる。
 行方八段に関しては、昨季の好成績の2位を見ても、私は信用していなかった。しかし、ごめんなさい、私の目が曇っていました。強いです。ここで森内九段を破れば、さらに強さが証明できる。
 それでも、森内九段が真の実力を発揮すれば森内が優位と判断する。しかし、森内九段が力が入り過ぎる危惧もある……難しい。昼食休憩時の戦型を見ると、後手の行方八段の△5三銀右急戦。この戦型は、今期の名人戦の羽生戦、更に昨年度の竜王戦の渡辺戦でも戦っており、森内九段が熱い思いを蘇らせるのではないだろうか。森内九段の勝ちと予想。
 深浦×佐藤戦は、今期はともに4勝4敗で、挑戦権、降級に関係しない。
 対戦成績は22勝22敗。最近は深浦九段が3連勝中。順位戦では佐藤九段の4勝2敗というデータがあるが、深浦九段に関しては4勝5敗で不運の降級ということもあり、深浦九段に順位戦に関しては強いというイメージがない。過去に因縁のある4勝5敗で落ち着くと見る。佐藤勝利と予想。
 阿久津×郷田九段戦は、郷田九段はわずかに降級の可能性が残っている(阿久津八段は既に降級が決定)。対戦成績は阿久津5勝、郷田4勝であるが、棋力、気力両面から郷田九段優位。ここまで全敗の阿久津八段の意地を加味しても、郷田勝ちの予想は揺るがない

 残留争いであるが、3勝5敗の三浦九段(ランク6位)、森内九段(ランク1位)、4勝4敗の郷田九段(ランク8位)の順に危ない。
 三浦九段は勝っても他のふたりに勝たれると降級、郷田九段は敗れても他のふたり共勝たない限り降級しないという状況。確率で言うと、三浦九段降級5/8、森内九段2/8、郷田九段1/8となり、三浦九段がかなり不利であるが、勝てば他のふたりがどちらかが敗れると残留できる。勝てばかなり希望が残されているのである。
 順位戦は計算できないので、予想は無意味かもしれないが、上述した各対局の勝利予想に基づくと、森内勝ち、郷田勝ち、三浦負けとなり、三浦九段の降級と予想できる
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