「右京さんの友達」、「死命」、「サイドストーリー」、「ストレイシープ」を手がけた真野勝成氏の脚本。
登場人物の内面を深く掘り下げるというのが、氏の特長であるように感じるが、その掘り下げが思い込みが強いというか、独りよがりになっている傾向が強く、登場人物の心情や行為に納得がいかないことが多い。
ただ、「右京さんの友達」においては、尾美としのりさんが演じた毒島がいい味を出しており、巷でも評価が高かったようだ。
今回は、“初恋のほろ苦さ、そして、初恋との決別”を表現しており、「右京さんの友達」風味がした。ただ、片山雛子は、もっとドロドロしていて、えげつないはずだ。
足早に歩いていく片山雛子(木村佳乃)。立ち去った後に横たわる男・饗庭丈弘の死体………
………高校時代、冴えない雛子の魅力を解放してくれたのが饗庭丈弘。雛子は自分の容姿が武器になることを知り、最後の生徒会選挙に臨んだが、強力なライバルがいた。雛子は父の秘書を使ってライバルを調べ上げ、その収穫として喫煙シーンの撮影した写真を手に入れた。
そかし、その写真には彼女と一緒にたばこを吸う恵庭の姿も写っていた。実は、恵庭はナンパ師(女好き)で、至る所で女性に声を掛けていた。高校時代もそうで、雛子の他にも雛子と同じく生徒会長選挙のライバルとも付き合っていたのだ。
雛子は饗庭の高校にその写真を送り付け、それによって二人は退学。雛子は饗庭の二股(多股)への報復と同時に、ライバルを蹴落としたのだった。
時は現代、ひょんなことから、雛子の婚約者と目される桐山が大麻栽培・吸引していたことを知り、高校時代の贖罪でそのことを雛子に告げようとして、過去の約束「自分が作ったチョコレートを雛子にプレゼントする」ことを口実に再会の約束をした。
しかし、現在付き合っている彼女が、チョコレートの相手に嫉妬し、チョコレートに饗庭のアレルゲンであるアーモンドパウダーを掛けてしまった。再会の時、雛子の不信感を取り払うため、自ら食したが、アナフィラキシーショックで死亡してしまった………
というのが真相だが、生徒会長候補二人と饗庭がつき合っていたのが偶然としては出来過ぎ。
てっきり、二股を知った雛子が饗庭にライバルと喫煙するように強要した。あるいは、饗庭が自ら喫煙シーンを撮らせたのかと思った。その方が、雛子らしい(この頃は、雛子もまだ初心(うぶ)だった?)
雛子に対する右京の言及
「外務大臣だった父親の地盤を二十代で引き継ぎ当選4回。選挙では一度も負けたことはありません。
かつては官房長官の愛人と噂され、機密費も実質的な権限を握っていたようです。証拠はありませんが」
「警察内部にも影響力を持ち、公安を手足のように使い、集めた情報を自分に利するように使う。
すべては父親の念願だった総理大臣の椅子にたどり着くためでしょう」
「(父親の過去の不正を告発したことで)“父親であっても不正は許さない”清廉な政治家と評され、彼女の人気は高まった。“目的の為なら手段は択ばない”そういう人物です」
「片山雛子という人間は、身の回りで事件が起きるたびにそれを逆手に取って、大きな人間になっていく」(過去の右京の言及……この右京の評価を雛子は嬉しかったらしい)
喫煙の密告の写真や今回の事件を分析・考察して
「“敵となる人物を調べ上げ、自分の有利になるように仕向ける”…どなたかのやり方と似ていると思いませんか」
「初恋は終わり残されたものは、美貌と自信、そして男性への不信。
権謀術数を巡らせ、目的のためには手段を択ばない。今の片山雛子が誕生した」
雛子はこの言葉で、会見を締めくくる
「この際ですから、お約束させていただきます。
わたくし、日本国国家と結婚させていただきます」
(かのエリザベス1世が“国家と結婚する”と公言したらしい)
特命係に対しては
「私は、幸・不幸に価値を置いて生きていません。
ただ、駆け上がるだけ、それだけです」
……何となく、今後、どこかで踏み外し転落することを暗示しているような……
享の第一印象
「う~ん、隙が全くない。可愛さゼロって感じですかね」
雛子の秘書の揶揄と右京の皮肉
「(雛子には)可愛げがないので、少しでも国民に親しまれるイメージを出すようにと、秘書が雛子名義でSNSに書き込んでいる」という雛子の言葉を受けて、
「あなたにとって、“唯一の可愛げ”がチョコレートということですか。もっとも一説によれば、チョコレートの語源はメキシコ原住民のショコラトール…“苦い水”という意味ですから、単純に“可愛げがある”とも言えませんが」
すべては霧の中
「最後に、もう一つだけ。
この箱の中に敷き詰められていたのは、チョコレートコスモスの花びらです。
チョコレートコスモスの花言葉は、三つ。
“恋の終わり”“恋の想い出”“移り変わらぬ気持”
彼の伝えたかった言葉は分かりませんが。では、失礼」
箱を開け、チョコレートを手に取り、失恋に泣いた情景を思い出し、食べることなく、箱を閉める、雛子。
そう言えば、前半部分で雛子がチョコレートコスモスを手に取り、思いに耽るシーンがあった。
雛子、手強し………右京の伝家の宝刀が通用せず
第1ラウンド
「最後ではなく、最初に聞きたいことを聞くべきでした」
伝家の宝刀“最後に一つだけ”を抜こうとしたが、車のドアを閉められ、走り去られてしまった。
第2ラウンド
「最後にもう一つだけ。饗庭さんが最後に食べたチョコレートの箱を公園で見かけていませんか」
「杉下さん、私を犯人と疑ってらっしゃるのなら、確たる証拠を持ってきてください。私、手ぶらで来た人間と取り引きするほど、甘くありません」
またも、通ぜす……
掴めない饗庭の人間性と怪しい言葉
饗庭の女好きは根っからのモノだったみたいだが、風俗嬢を諭し、20年前、雛子を傷つけたことを悔いており贖罪する。
「俺のチョコを食べて欲しいんだ。“絶対約束”って言ったよね。今夜、あの公園で待ってる」……無茶苦茶、怪しい言葉。それでも、約束を守り、ひとりで公園に来た雛子。初恋は大切な思い出だったのだろう。
「チョコも食べてよね。大丈夫だよ、何も入っていないから、安心して」と言って、雛子より先にチョコを食べてしまった。
更に、その直後、苦しみ死んでしまった。……絶対、食べないよね、普通。
少し可哀そうな婚約者・桐山
雛子と不釣り合いじゃないのかなと思ったが、雛子をやっかんだ先輩女性議員が、雛子を失脚させるための爆弾だった。雛子が告発しなくても、いずれ、大麻栽培を暴露される運命だった。
一応、足を洗った過去の過ちを暴かれたうえ、雛子から
「“犯罪者を通報する”…当然の義務を果たしただけでございます。
これ以上、くだらないスキャンダルにつき合っている暇はございませんので」
と、ばっさり切り捨てられてしまった。
【些細な疑問】
・“ホワイトデーにチョコレートをもらった”という言い訳は苦しい。
・犯人の女性(饗庭の彼女)は、アーモンドパウダーをいつも持っていたのか?
・雛子の行きつけのチョコレート店、いつも店内が閑散としている
・饗庭の彼女の内出血の跡を見て、享が怪しむのは無理がある
今話の結論
「薀蓄を傾ける」が正しい言い方だったのか!
………ではなく、
「優しい男は女性にもてる」
ん?これもズレテいるような気が………
【ストーリー】番組サイトより
都内の小さな公園で、饗庭丈弘(伊嵜充則)という左官工をしていた男性の遺体が見つかった。
第一発見者は、特命係の追及をかわし続け、政治の裏側で暗躍してきた国会議員の片山雛子(木村佳乃)。彼女はいまや、初入閣が噂されるほどの確固たる地位を築いており、また、日本有数の資産家の御曹司・桐山友哉(藤重政孝)と結婚の約束をしているという噂があった。一方、鑑識の結果、饗庭の死因はアレルギー反応によるショック死であることが判明。彼が死の直前、桐山のことを調べていたことも分かる。
右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は、雛子から直接事情を聞こうと接触するが、取り合ってもらえない。さらに、彼女の圧力で事件は事故扱いとなり、捜査一課も手出しできない状況に。それでも右京たちは捜査を継続。饗庭の周囲を探ると、意外な事実が浮かび上がってくる。
被害者と資産家御曹司の意外な接点とは?
雛子は事件とどうかかわり、何を知っているのか?
右京と雛子の対決が、驚きの結末へと繋がる!
ゲスト:木村佳乃
脚本:真野勝成
監督:橋本一
登場人物の内面を深く掘り下げるというのが、氏の特長であるように感じるが、その掘り下げが思い込みが強いというか、独りよがりになっている傾向が強く、登場人物の心情や行為に納得がいかないことが多い。
ただ、「右京さんの友達」においては、尾美としのりさんが演じた毒島がいい味を出しており、巷でも評価が高かったようだ。
今回は、“初恋のほろ苦さ、そして、初恋との決別”を表現しており、「右京さんの友達」風味がした。ただ、片山雛子は、もっとドロドロしていて、えげつないはずだ。
足早に歩いていく片山雛子(木村佳乃)。立ち去った後に横たわる男・饗庭丈弘の死体………
………高校時代、冴えない雛子の魅力を解放してくれたのが饗庭丈弘。雛子は自分の容姿が武器になることを知り、最後の生徒会選挙に臨んだが、強力なライバルがいた。雛子は父の秘書を使ってライバルを調べ上げ、その収穫として喫煙シーンの撮影した写真を手に入れた。
そかし、その写真には彼女と一緒にたばこを吸う恵庭の姿も写っていた。実は、恵庭はナンパ師(女好き)で、至る所で女性に声を掛けていた。高校時代もそうで、雛子の他にも雛子と同じく生徒会長選挙のライバルとも付き合っていたのだ。
雛子は饗庭の高校にその写真を送り付け、それによって二人は退学。雛子は饗庭の二股(多股)への報復と同時に、ライバルを蹴落としたのだった。
時は現代、ひょんなことから、雛子の婚約者と目される桐山が大麻栽培・吸引していたことを知り、高校時代の贖罪でそのことを雛子に告げようとして、過去の約束「自分が作ったチョコレートを雛子にプレゼントする」ことを口実に再会の約束をした。
しかし、現在付き合っている彼女が、チョコレートの相手に嫉妬し、チョコレートに饗庭のアレルゲンであるアーモンドパウダーを掛けてしまった。再会の時、雛子の不信感を取り払うため、自ら食したが、アナフィラキシーショックで死亡してしまった………
というのが真相だが、生徒会長候補二人と饗庭がつき合っていたのが偶然としては出来過ぎ。
てっきり、二股を知った雛子が饗庭にライバルと喫煙するように強要した。あるいは、饗庭が自ら喫煙シーンを撮らせたのかと思った。その方が、雛子らしい(この頃は、雛子もまだ初心(うぶ)だった?)
雛子に対する右京の言及
「外務大臣だった父親の地盤を二十代で引き継ぎ当選4回。選挙では一度も負けたことはありません。
かつては官房長官の愛人と噂され、機密費も実質的な権限を握っていたようです。証拠はありませんが」
「警察内部にも影響力を持ち、公安を手足のように使い、集めた情報を自分に利するように使う。
すべては父親の念願だった総理大臣の椅子にたどり着くためでしょう」
「(父親の過去の不正を告発したことで)“父親であっても不正は許さない”清廉な政治家と評され、彼女の人気は高まった。“目的の為なら手段は択ばない”そういう人物です」
「片山雛子という人間は、身の回りで事件が起きるたびにそれを逆手に取って、大きな人間になっていく」(過去の右京の言及……この右京の評価を雛子は嬉しかったらしい)
喫煙の密告の写真や今回の事件を分析・考察して
「“敵となる人物を調べ上げ、自分の有利になるように仕向ける”…どなたかのやり方と似ていると思いませんか」
「初恋は終わり残されたものは、美貌と自信、そして男性への不信。
権謀術数を巡らせ、目的のためには手段を択ばない。今の片山雛子が誕生した」
雛子はこの言葉で、会見を締めくくる
「この際ですから、お約束させていただきます。
わたくし、日本国国家と結婚させていただきます」
(かのエリザベス1世が“国家と結婚する”と公言したらしい)
特命係に対しては
「私は、幸・不幸に価値を置いて生きていません。
ただ、駆け上がるだけ、それだけです」
……何となく、今後、どこかで踏み外し転落することを暗示しているような……
享の第一印象
「う~ん、隙が全くない。可愛さゼロって感じですかね」
雛子の秘書の揶揄と右京の皮肉
「(雛子には)可愛げがないので、少しでも国民に親しまれるイメージを出すようにと、秘書が雛子名義でSNSに書き込んでいる」という雛子の言葉を受けて、
「あなたにとって、“唯一の可愛げ”がチョコレートということですか。もっとも一説によれば、チョコレートの語源はメキシコ原住民のショコラトール…“苦い水”という意味ですから、単純に“可愛げがある”とも言えませんが」
すべては霧の中
「最後に、もう一つだけ。
この箱の中に敷き詰められていたのは、チョコレートコスモスの花びらです。
チョコレートコスモスの花言葉は、三つ。
“恋の終わり”“恋の想い出”“移り変わらぬ気持”
彼の伝えたかった言葉は分かりませんが。では、失礼」
箱を開け、チョコレートを手に取り、失恋に泣いた情景を思い出し、食べることなく、箱を閉める、雛子。
そう言えば、前半部分で雛子がチョコレートコスモスを手に取り、思いに耽るシーンがあった。
雛子、手強し………右京の伝家の宝刀が通用せず
第1ラウンド
「最後ではなく、最初に聞きたいことを聞くべきでした」
伝家の宝刀“最後に一つだけ”を抜こうとしたが、車のドアを閉められ、走り去られてしまった。
第2ラウンド
「最後にもう一つだけ。饗庭さんが最後に食べたチョコレートの箱を公園で見かけていませんか」
「杉下さん、私を犯人と疑ってらっしゃるのなら、確たる証拠を持ってきてください。私、手ぶらで来た人間と取り引きするほど、甘くありません」
またも、通ぜす……
掴めない饗庭の人間性と怪しい言葉
饗庭の女好きは根っからのモノだったみたいだが、風俗嬢を諭し、20年前、雛子を傷つけたことを悔いており贖罪する。
「俺のチョコを食べて欲しいんだ。“絶対約束”って言ったよね。今夜、あの公園で待ってる」……無茶苦茶、怪しい言葉。それでも、約束を守り、ひとりで公園に来た雛子。初恋は大切な思い出だったのだろう。
「チョコも食べてよね。大丈夫だよ、何も入っていないから、安心して」と言って、雛子より先にチョコを食べてしまった。
更に、その直後、苦しみ死んでしまった。……絶対、食べないよね、普通。
少し可哀そうな婚約者・桐山
雛子と不釣り合いじゃないのかなと思ったが、雛子をやっかんだ先輩女性議員が、雛子を失脚させるための爆弾だった。雛子が告発しなくても、いずれ、大麻栽培を暴露される運命だった。
一応、足を洗った過去の過ちを暴かれたうえ、雛子から
「“犯罪者を通報する”…当然の義務を果たしただけでございます。
これ以上、くだらないスキャンダルにつき合っている暇はございませんので」
と、ばっさり切り捨てられてしまった。
【些細な疑問】
・“ホワイトデーにチョコレートをもらった”という言い訳は苦しい。
・犯人の女性(饗庭の彼女)は、アーモンドパウダーをいつも持っていたのか?
・雛子の行きつけのチョコレート店、いつも店内が閑散としている
・饗庭の彼女の内出血の跡を見て、享が怪しむのは無理がある
今話の結論
「薀蓄を傾ける」が正しい言い方だったのか!
………ではなく、
「優しい男は女性にもてる」
ん?これもズレテいるような気が………
【ストーリー】番組サイトより
都内の小さな公園で、饗庭丈弘(伊嵜充則)という左官工をしていた男性の遺体が見つかった。
第一発見者は、特命係の追及をかわし続け、政治の裏側で暗躍してきた国会議員の片山雛子(木村佳乃)。彼女はいまや、初入閣が噂されるほどの確固たる地位を築いており、また、日本有数の資産家の御曹司・桐山友哉(藤重政孝)と結婚の約束をしているという噂があった。一方、鑑識の結果、饗庭の死因はアレルギー反応によるショック死であることが判明。彼が死の直前、桐山のことを調べていたことも分かる。
右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は、雛子から直接事情を聞こうと接触するが、取り合ってもらえない。さらに、彼女の圧力で事件は事故扱いとなり、捜査一課も手出しできない状況に。それでも右京たちは捜査を継続。饗庭の周囲を探ると、意外な事実が浮かび上がってくる。
被害者と資産家御曹司の意外な接点とは?
雛子は事件とどうかかわり、何を知っているのか?
右京と雛子の対決が、驚きの結末へと繋がる!
ゲスト:木村佳乃
脚本:真野勝成
監督:橋本一