英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第28期竜王戦(糸谷哲郎竜王 対 渡辺明棋王) 第一局 感想

2015-10-19 11:53:56 | 将棋
第28期竜王戦(糸谷哲郎竜王 対 渡辺明棋王) 糸谷竜王が先勝
 戦前の予想は“渡辺有利”だったが、糸谷竜王が第1局を制した。しかも、後手番の横歩取り戦で。
 糸谷竜王用意の作戦だったらしいが、「序中盤でだいぶ苦しくしてしまった」という感想。渡辺棋王も優勢を感じていたが、終盤、受けを間違えてギリギリの将棋になってしまい、最後は競り負けた格好。
 序中盤は有利に進めていたとはいえ、横歩取りの将棋を落としてしまったことは、予定外の敗戦。今後も横歩取り戦も視野に入れて準備をしなければならなくなったのは、誤算(負担)か。
 それにしても、糸谷竜王の差し脚は鋭い。「後方から一気に追い込み、しばらく併走後、相手を後方に追いやる」……そんな感じだ。
 思い浮かぶのは、今期のNHK杯の井上九段戦。≪これは勝ったやろ≫と井上九段が思ったところ、糸谷竜王の角打ち。苦し紛れの受けに見えたが、この角打ちで自陣の急な寄せがなくなり、さらに、相手玉の急所を睨んでいた。急転直下の逆転。
 おそらく、井上九段の猛攻を受けている中、攻防の角が放てる局面を描き、誘導していたのではないだろうか……

 糸谷竜王は不利になっても決定打を与えない。それも、≪一見、ありがたい≫と思える変則的な手が多い。実際、わずかに差が広がることが多いような気がする。そんな手が数手あり、対局相手は、≪かなり、良くなった≫という感触がある。しかし、その感触ほどは開いておらず、その形勢判断、局面分析のズレが、指し手を狂わせるのではないだろうか。
 第1局の場合、△6二角がそれで、糸谷竜王の主張点である“持ち角”の優位性を手放す角打ち。1筋の攻めを見た手だが、先手にはそれを上回る手段がいくつもある。
 後で考えると、≪渡辺棋王に動いてもらおう≫という開き直りの手で、片美濃の玉形の補強を意図した角打ちだったように思う。
 そして、終盤、△3五角と要所に飛び出し差し脚を発揮!おそらく、角を打った時、おぼろげに△3五角と飛び出す手を見ていたのではないだろうか。


 渡辺棋王にして、糸谷竜王の術中に嵌まってしまったかのような逆転負け。
 映像を観ていないので何とも言えないが、糸谷竜王と長時間、相対していると、ペースが乱れてしまうのだろうか?
 封じ手の際のちょっとしたハプニングがあったらしいが、その他に、指し手のタイミング、着手の手つき、対局姿勢……何か、心が揺らめく要素がちらつくのだろうか?
 

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2 コメント

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盛り上がった竜王戦第1局 (Stanley)
2015-10-19 15:42:39
英さん、こんにちは。竜王戦の記事有難うございます。
>戦前の予想は“渡辺有利”だったが、糸谷竜王が第1局を制した。しかも、後手番の横歩取り戦で。

私はニコ生で観戦していたのですが、序盤中盤はコンピューターの評価値は常に渡辺棋王が有利の数字だったですね。+600先手有利!という数字を見て、英さんの予想どうり挑戦者が勝つのでは、と思いながら見ていました。それが、終盤に入り評価値が+1000くらいあったのが一手で、数字や符号が入れ替わったりして,、それが1手指すごとに評価値が大幅に動き、観戦している方は相当盛り上がったと思います。渡辺棋王が▲3一竜としたあたりからですよね。当然△2三銀としするところを、そう指さずに、だんだんあやしくなったのは。
特に△8九金とすれば評価値が5千点台になるというところで、糸谷竜王が△8九金!と打ち、こちらは相当盛り上がり、糸谷竜王を応援している自分がいました。

渡辺さんが本来の力を出せば、先勝していたであろうところ、どういうわけか糸谷竜王が先勝して、今期の竜王戦は相当盛り上がるかもしれませんね。それにしても、終盤の難しいところでビシバシ早指ししてくる糸谷竜王。最後は挑戦者が秒読みになったのに対し、竜王は1時間以上余して勝ったのですから、渡辺さんは、これは侮れないと思われたことでしょう。この番勝負、今後の推移が楽しみです。
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読み筋が合わない ()
2015-10-19 17:51:35
Stanleyさん、こんにちは。

 飛車角交換から△5八金とした局面は、「先手・飛」対「後手・角銀」の後手の駒得なのですが、対局者、検討陣、さらにコンピュータソフトも先手優勢と判断していたようです。
 私が先手だったら、駒損になるからと避けようとするでしょう。後手の銀が狙われるだけの駒なのと、8三に歩がない傷が見た目以上に大きいのでしょう。
 ただ、この後、渡辺棋王の指し手が乱れます。第一感の▲4二とは「この順で先手良しだと思うが、もしそうなら糸谷竜王がこの順に踏み込んでこないはず」と▲2一飛を着手。
 また、Stanleyさんの仰る通り、▲3一龍には△2三銀と逃げると思っていたが、攻め駒をすべて投入して攻めてきて、△8五桂にはどう指しても勝ちだろうと▲6七金と受けた手が最悪だったらしいです。

>渡辺さんが本来の力を出せば、先勝していたであろうところ、どういうわけか糸谷竜王が先勝……竜王は1時間以上余して勝ったのですから、渡辺さんは、これは侮れないと思われたことでしょう

 私は、昨年の竜王戦やNHK杯・井上戦、順位戦・鈴木戦など、糸谷竜王のモードに入った時の強さや、逆転術は脅威を感じます。
 このまま、術中に陥ることもあり得ますが、渡辺棋王がこのままズルズル行くとも思えません。この敗局活かして、立て直してくると思います。
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