英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流3題 「その4」

2016-07-22 22:24:05 | 将棋
「その1」「その2」「その3」 の続きです。

3題目(3局目)
第6期リコー杯女流王座戦二次予選
★中澤沙耶女流初段 対 カロリーナ・ステチェンスカ女流3級

 この将棋も昭和の香りがする将棋。
 後手・ステチェンスカ女流3級の4三銀型三間飛車に対し、先手の中澤女流初段が▲4五歩と仕掛けた将棋。
 これを△4五同歩と取ると、▲3三角成△同桂▲2四歩で飛車先を突破されてしまう。なので、△4二飛と仕掛けられた筋に飛車を転回するのが普通(定跡)である。(居飛車も▲3七桂と力を溜めた後、戦機を見極めて▲4四歩
 しかし、ステチェンスカ女流3級は常道を外して、△5五歩と戦線を拡大したのが第1図。
 ▲5五同歩なら一時的ではあるが先手の角筋が止まる。また、▲5五同角なら▲4四歩に△5四銀とかわせるスペースを作ると同時に、角を呼んだ効果でその手が角当たりとなる寸法だ。
 非常に実践的な手法で、アマチュア初段程度の相手には有効な手筋だ。私も、中高生時代にこの手法をよく使用させてもらった。しかし、ある程度の棋力(三段以上)の相手にはあまり通用しなかった記憶がある。本局ははたして……

 第1図(△5五歩)以下、▲5五同角△6三金▲8八角△7四歩と進んだ。

 これも一つの展開だが、ほぼ無条件で1歩を先手に献上しただけのように思える。まあ、この後激しい戦いとなれば1歩損は関係なくなるので、あながち大きなマイナスとは言えない。
 しかし、△5五歩と突き捨てた流れからすると、△6三金では△5四銀▲4四角(▲8八角なら△4五銀)△4二飛と先手が3七に桂を跳ねていない事や、飛車先を突き捨てていない点を突く指し方が“振り飛車”らしいと言える。
なので、先手も△5四銀に▲2四歩△同歩を入れて▲4四角とすべきかもしれない。

 第2図以下は、▲2四歩△同歩▲4四歩△同銀▲4五歩(第3図)と教科書通り攻め、

 そして、△4五同銀▲3三角成△同桂▲2四飛△2二歩の受けに▲4四歩と垂らしたのが巧い手だった。


 △4二歩と利かされるのは、勝ち味に乏しい(後手の飛車が香車並の機能)ので、△5三金と頑張るが、この手も玉形を弱体化して辛い。
 △5三金以下、▲2三歩~▲2二歩成~▲2三飛成と着実に攻める。


 以下は、図面のみ。

 ステチェンスカ女流3級も、7三に玉を上がったり、守りに打った6三の角を3六に飛び出すなど勝負手を放つが、形勢を動かすには至らない。
 第7図から、飛車交換を恐れず▲6一銀不成とし、△3二飛▲同と△6一銀に▲5二歩成が角筋を通しながら後手玉に迫る好手が決め手となった。

 止む無い△5二同銀に▲6五銀が絶好手で、△同歩に▲8五桂△7二玉▲8二飛△同玉▲7四桂△7一玉▲8二金と投了に追い込んだ(以下△6一玉▲7三桂不成△5一玉▲4二とまでの詰み)。

 後手のステチェンスカ女流3級に、何の工夫も感じられない一局だった。
 悪くなってから考えるのは、プロの将棋ではない。

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