英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

時給1000円超え……机上の空論、価格転嫁の周辺とその先にあるもの

2023-07-29 11:31:43 | 時事
最低賃金 全国平均で初めて時給1000円超になった。(参考記事:NHK NEWS WEB
 注意したいのは、「最低賃金」という言葉に引っ張られて、すべての労働者が、時給1000円を確保されているわけではないということ。(昨日決定された目安額は10月ごろから適用される見込み)
 あくまで“、“平均”であって、時給1000円以下である道府県は多い。都道府県ごとの予想値は『KANSAI SANPO BLOG』さんに載っていた(ブログ運営者さんの個人の試算による)

 それに、政府が言う“平均”というのは、どういう算出法なのだろうか?
 見込み額が1000円を超えるのは8道府県のみ。900円台が22道県、800円台が17県と、最低賃金が時給1000円を超えない道県が多数である。(各県の見込み額の合計を47で割ると云うものではないようだ)

 (……とぼんやり疑問に感じたが)、今回私が反応したのはそれではない。
 最低賃金が上がるのは、一般的には良いことのように考えられるが、経営者にとっては苦しさが増す。
 実際、NHK『ニュース7』で取材に応じていた飲食店の経営者は
「従業員は4人いて、都の最低賃金より時給で○円多い給与だが、食材や光熱費も上がってきている中で、さらに人件費が上がるのは厳しい」
 飲食店に限らず、人件費が上がることにより厳しくなる経営者は多いだろう。

 これに対し、大和総研:神田慶司シニアエコノミスト
「最低賃金が大幅に引き上げられるとなると、消費の底上げにつながる。
 人件費が増加して企業負担になると捉えがちだが、価格転嫁をして付加価値の高いサービスを提供できるようになれば、
 経済全体で見ても成長率を引き上げる効果がある」


 と述べていたが、甚だしい机上の空論である
 《価格転嫁をして付加価値の高いサービスを提供できるようになる》のは、一部の企業のみであり、零細企業ほど価格転嫁はできない。価格をアップできたとしても、経費アップ分を、全部価格転嫁できないところも多いはず。
 価格転嫁を提示したら、他社に切り替えられてしまう可能性もある。
 「価格転嫁をして付加価値の高いサービス」と言うが、価格が高くても購入するのは、そこそこ生活に余裕がある者のみである。
 増税、電気代など光熱費のアップ、円安などによる物価高など、最低賃金アップ以上に生活費が嵩む。年金受給者はどうなるのだろう。“国民総活躍”とか“子育て支援は全世代で”とか言っているので、「働け、働けぇ!」ということなのだろう。
 飲食店で考えると、冷暖房を節約、割箸やラップを安価なものにランクダウンするか買い叩く、食材も冷凍ものを大量に仕入れるとか、1品の量を減らす、時給を上げる代わりに、従業員を削減……

 「価格転嫁をすれば、経済全体で見ても成長率を引き上げる効果がある……確かに経済全体で見れば、そういう可能性はある。ただし、“経済全体”の話で、貧富の格差が大きくなりそうだ。
 人件費や原材料などの経費アップ→価格転嫁→物価が上がる→人件費アップ→価格転嫁→……これを”好循環”と考えるべきなのか?確かに、物価や給料が上がれば、国際的にみれば人材確保もできるし、インバウンドも増えるというプラス面もある。
 しかし、上述の「人件費アップ→価格転嫁→物価高」というのは負のスパイラルにしか思えないのは私だけだろうか?
コメント (2)
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