英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season16 第7話「倫敦からの客人」

2017-12-02 19:16:38 | ドラマ・映画
今回の裏テーマとも言うべき、二人の信条の対比
「光で照らせば、必ず影ができる……むしろ、光を強めれば強めるほど、皮肉にも影は濃くなってくる。正義と悪とはそういう関係だ」
(南井)
「いつかすべてを照らして見せる。影ができる余地などないほどに」(右京)



 右京は南井(伊武雅刀)の信条を
「影…犯罪者の中には贖罪の心を持つことができない者がいる。そんな犯罪者は自らの死でその罪を贖わせることが相応しい」
と言葉にした。
 今回の事件、さらに、3年前のスコットランドヤードでの事件の犯人の死について、南井が関与していると睨んでいるようだ。
 空港で握手を拒否しており、この嫌疑において右京はかなりの確信を持っているようだ。

 右京曰く“どんな人間、犯人でさえ心を許してしまう人物”と評しており、真犯人の西田真人(深澤嵐)を誘導。そして、自殺に至らしめたらしい。
 それにしても、真人に送ったメールの言葉が気になる。父の愛をも嘲笑う真人を揺さぶった言葉とは?……この言葉を明かさないのは、ドラマとして卑怯なのではないだろうか?
 こういうシリアルキラーは自殺して終了してしまうことが多い気がする(本作もそう)。改心しないで決着させる方がシリアルキラーらしいが、視聴者としてはモヤモヤ感が残る。

嫌悪感を抱かせる真犯人
 息子が自分の殺害に関与した事を悟ってもなお、庇おうとした父。そんな父をせせら笑う息子。
 母の死、ペットの死に悲しいという感情が湧かず、更に、人を殺しても、罪悪感を感じない……
 常人と違う…自分は“特別で優れた人間”と優越感を持つ……
  ………………これだけ嫌悪感を抱かせる犯人は珍しい(人間として腹立たしいという犯人はたくさんいる。ドラマでは犯人より腹立たしい被害者はもっと多い)
 この真犯人については、いろいろ疑問に思うことが多い(後述)

 常人と違うことは“特別”なことかもしれないが、そのことを“優れている”と思えること自体、常人と違うのだろう。(“殺人を躊躇しない”という点で、殺人鬼、シリアルキラー、殺し屋としては優れているかもしれないが……。


推理、信条、愛情などいろいろ盛り沢山な内容
 冒頭に述べた右京と南井の信条の対比の他にもいろいろな要素が盛り込まれていた。
・巧妙な犯罪計画+父の愛情により、事件が複雑・難解。
 ……犯人(息子)の狂気のテーマに父の愛が絡むストーリーは上手い
・画像に映った要素を観察考察し場所を特定(2度…旋盤屑・広報誌、給水塔)
・実行犯の刑事が防犯カメラの画像を細工、それを右京がゴミ出しの曜日から見破る

しかし、盛り込みすぎで尺が足らず、さらに練り込み不足と思われる点も見られた
1.真犯人・真人について(本題とは全く関係ないが、続けると「真犯人真人」(笑))
 「人間らしい感情が湧かない」との旨の言葉を言っていたが、その割には「父親に情を感じていた」というのはどうなのか?
 通常の?シリアルキラーは殺害行為や被害者の恐怖などを楽しむなどの衝動があるものだが、こいつは(“こいつ”でいいよね)、そういった動機はなく、「感情がない→犯罪行為」という図式だが、その必然性はない。しかも、犯罪計画を他人に売って、収入を得ようとしていたのでは、シリアルキラーとしては変。彼は自分を“シリアルキラー”とは思っていなかったのかもしれないが、シリアルキラーとしては中途半端。

 思い浮かぶのは、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』。彼女の場合は、無感情を隠し刑事になった。ただ、刑事になったのは、自分を解明するため犯罪者の心理を知りたかったという類似点はある。
 それはともかく、父に情を抱いていたのなら、無感情→殺人コンサルタントに向かわないような気がする。父親への情は余分な要素だと思うが、父親をダミーの犯人にしないと、今回の複雑な事件、事態にする為の設定だったのかもしれない。(父親を標的にしたのは、情を断ち切るため)
 
2.事件経過の矛盾
・実行犯の刑事が、西田泰史(康喜弼)が死ぬ間際、息子を庇うために投げ捨てたスマホを容易に見つけられたのが不思議
・さらにこの実行犯の刑事、強請られていた相手を始末できても、横流しした拳銃や麻薬はどう誤魔化すのだろう? 
・過去の殺人、公開画像は当時のものだろうが、その現場が6年前と3年前、そして現在とほぼ変わっていないのは無理があり過ぎ
 
3.その他のツッコミ
・ダークウェブ……青木のうちに脅迫めいた郵便物を送るとは、よほど、暇。
・“アクセスが難しい”と説明していたが、刑事、ケチな犯罪者、若者と割と簡単にアクセスしていた
・右京がスコットランドヤードに研修?いたのが3年前というのは、どうなのか?
 ダークナイトだけでも2~3年は経過していたように思う


脚本家・徳永富彦氏について
 氏については、過去に『刑事7人』第3シリーズ 第8話「悪女 ~無差別殺人VS嘘まみれの女たちの危ない関係~」において、下記のように評している。

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 徳永富彦氏の脚本は“虚構”をテーマにしたモノが多い
 その他の特徴としては、立体的構造(二重構造)や同時進行など凝った構造。
『相棒』
 season13…第4話「第三の女」、第11話「米沢守、最後の挨拶」
 season14…第5話「2045」、第17話「物理学者と猫」
 season15…第7話「フェイク」
『捜査一課9係』
 season10…第8話「3つの捜査線」
 season11…第8話「3つの大追跡」

『刑事7人』の今シリーズでは 第4話「死味」遺体を見て笑う男の正体!?V字の傷痕の謎!! を担当している。
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 PCやネットを題材に、複雑な構造の事件展開が好みのようだ。今回は、盛り込み過ぎて、矛盾や無理が生じてしまった。SP枠だと良かったようだ。時間があれば、実行犯の刑事の描写に時間を割くことができ、スマホの発見も自然な展開にできたように思う。
 さらに、刑事に焦点を当てておけば、真犯人暴露のどんでん返しももっと生きたような気がする

 





第1話「検察捜査」
第2話「検察捜査~反撃」
第3話「銀婚式」
第4話「ケンちゃん」
第5話「手巾(ハンケチ」
第6話「ジョーカー」


【ストーリー】番組サイトより
英国から来日した人物は右京の“元相棒”!!
迷宮入り寸前の連続殺人事件にメスを入れる!!


 派遣社員の中年男性が遺体で発見される事件が発生。付近に落ちていた携帯電話には、犯人と思しき男が映った動画と、“ダークウェブ”と呼ばれるネット内の裏社会にアクセスした痕跡が残されていた。また、同じ携帯から別の殺人への関与が疑われる動画も見つかり、警察は携帯の持ち主が一連の事件の犯人と見て捜査を始める。
 右京(水谷豊)と亘(反町隆史)も独自に動き出すが、もう一人、事件に興味を抱いている人物がいた。南井(伊武雅刀)というその男は、元スコットランドヤードの刑事で、ロンドンでは右京の相棒だったという切れ者。今回の事件に関しても、犯人像を的確にプロファイリングし、亘を驚かせる。
 そんな中、動画に映っていた“犯人と思しき男”の身元が判明。その住居から大麻が発見される。どうやら男は、ダークウェブで大麻や拳銃を売りさばいていたらしいが、“商品”の入手先は謎。それでも、右京と亘はわずかな手掛かりから男のアジトにたどり着くが、そこで衝撃の光景を目撃することになる。

深い闇に覆われた事件に翻弄される捜査本部
二転三転する連続殺人事件の真犯人は誰なのか!?
かつての相棒との推理対決で右京が想定外の結末にたどり着く!!


ゲスト:伊武雅刀

脚本:徳永富彦
監督:内片輝
コメント (4)
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【歳時メモ】 紅葉から落葉へ

2017-12-02 11:49:11 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 近辺では紅葉は後期から終期に移りつつあります。
 山間部では終末期で、落葉が進み、山は暖色からモノクロに変わりつつあります。
 家の山茶花が咲き始めました(おそらく11月29日に開花)

 来週火曜日(5日)から今季一番の寒気が南下、道路が白くなるかもしれません。
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