活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

東電擁護、通らぬ財界論理

2011-04-17 20:01:14 | Weblog
東電福島第一原発の事故にからんで、財界首脳がしきりと東電の免責を主張している。米倉経団連会長や三井住友FG奥会長がそれである。曰く、原子力損害賠償法の「異常に巨大な地震」をたてに「国が東電を支援するべきだ」と。要するに国民の税金を使って東電を助けろということである。冗談ではない。

東電や財界は原発を推進する立場から、国民に対して絶対安全だと、「安全神話」をふりまいてきた。それが東日本大震災で一瞬のうちに崩れ去ってしまった。国民をだましてきたことに米倉や奥から謝罪の言葉は聞かれない。二人に共通しているのは、よく考えないで物事を発言していることと傲慢な態度である

言うまでもなく福島事故は必要な津波対策を取らなかったことによる「人災」である。非常用電源を十分な保護もしないで、「むき出し」状態にしていたというから、お話しにならない。電力会社として「電源喪失」するなど、笑えない事態まで招いてしまっている。これをどうして「東電免責」と言えるだろうか。

経団連では米倉や奥のような人間性の失われた経営者ばかりしかいない。いったん事故が起きると「想定外だった」と言い訳し、責任逃れに奔走していることから、節操のかけらも見られない。

財界はカネで政治を買収することを得意とする。自民党政権時代は特にひどかった。自分達に都合のよい法制度を、時の政権に働きかけ実現させてきた。一例だが、いつでも使い捨てできる、非正規社員が全労働者の3分の1に達したことは、自民党政権に働きかけた産物である。このことが東電事故と密接に関連していることは「知る人ぞ知る」である。

東電は飽くなき利益を求めるため、カネのかかる人材と安全への投資を怠ってきた。カネのかからない下請けや、関係会社に業務を丸投げしていたこともわかっている。技術者も少なく、ぎりぎりの人数で原発を稼動させていた。これでどうして未曾有の原発災害に対応できるか。東電の重大な過失である。

この原発事故は人と安全を粗末にしてきた結果のものである。決して「想定外」ではない。そのことも理解しないで米倉らが東電免責を口にしていることは、あまりにも軽々しい。無責任な財界の主張など聞いてはいられない。