活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

それはないでしょう学長さん

2009-02-10 23:10:04 | Weblog
2月8日付、朝日新聞「企業の雇用責任どこまで」で島田晴雄千葉商科大学長のインタビュー記事が掲載されていたが、要約すれば「競争に勝つためには首切りも仕方がない。理解できる」ということを述べている。

さすが格差社会の産みの親、アメリカかぶれの小泉政権を支えてきた島田氏らしく、いまだに構造改革の亡霊にすがっているような論調には唖然とした。

「製造業派遣を禁止したら、海外に移転してしまう」と資本家然と述べ、派遣切りを「仕方のないこと」と崇高な精神が欠落してしまった大手製造業の経営のあり方を擁護した。

海外移転についても、すでに検討段階を終え、実行に移そうにも風土の違いなど高リスクを嫌って、多数の企業が躊躇し決断できない事情を知りながら、企業の本音であるかのように代弁、殊更に強調してみせた。

内部留保を雇用維持に消費することについても、企業の戦略投資に当てる必要があるとして、取り崩しすることにも否定的見解を示した。

さらに、雇用責任の矛先を企業に向けるのは筋違いとした。製造業派遣の実現は経済界が小泉政権時代に「政治献金」と引き換えに手に入れたものである。この経緯を忘れ、企業の責任逃れを正当化する、島田氏の主張こそ筋違いというものだ。

一方、同じ紙面には、派遣社員約1000人を正社員化する「人は財」とする、段ボール製造大手「レンゴー」大坪清社長のインタビューが掲載されている。

社長の温厚な人柄と企業家精神が伝わり、トップとしての気概を感ずることができた。

島田氏は小泉政権下で、内閣府特命顧問として雇用対策を担当したという。いたずらに米ブッシュに追随し、日本のあるべき姿を壊し、かつてない雇用格差を招いたことへの反省は見られない。経営の真髄を知るため、大坪社長の「爪の垢」でも煎じて飲んだらどうだろう。