活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

御手洗会長の「二枚舌」(2)

2009-02-07 21:08:09 | Weblog
御手洗富士夫氏が会長を務める、キャノンが派遣社員や請負社員約1800名を「雇い止め」したことは、2月3日付け当ブログで紹介したが、さらに驚くべき事態が表面化した。

それは、08年12月期連結決算は前年に比べ、利益は減らしたものの3千億円の黒字決算であったことは既報の通りである。問題は、この利益金3千億円のうち、株式配当金は前年と同じ、1株あたり110円を維持し、総額1400億円としたことにある。蛇足であるが、残りの1600億円は内部留保にまわした。

通常の感覚の経営者であれば、これだけの利益を計上して、1800名もの非正社員たちを「雇い止め」はしないだろう。御手洗会長の下、いかに弱い立場の人たちが、「切り捨て」にあっているかが、分かろうというものである。

この人たち全員に、一人当たり年間350万円(もっと少ないと思うが)支払っても年間63億円である。配当金を2割程度減額しても、その原資280億円で1800名の従業員を4年半、雇用し続けることができる。それなのに株主への説得もせずに、前年並みで手厚く配当する反面、従業員たちを「モノ」としか見ない、きわめて質の劣る経営者であったことに失望した。

政府が声高に、雇用の確保を経営団体などに要請しているのに、率先してこれをひるがえす御手洗氏の態度はいかがなものか。「馬耳東風」は許されないし、これほどに社会的責任を喪失した人物は他に類を見ない。

このような人物が、政府の経済財政諮問会議の民間議員として名を連ね、麻生政権の重要施策に関わっていることに、疑義を感ずるものである。雇用も守れない経営者が、国策に携わるなどおこがましいではないか。