Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE1511. 特任教授

2017年12月17日 | diving

 最近、ニュース解説者、弁理士、あるいは建築家、なかにはお笑い芸人など著名人の肩書きで目につく言葉に「特任教授」がある。ああ社会で仕事をして大学の先生もやってはるのか、と一般の人達は理解するだろう。とすればその理解は、はずれているといわざるを得ない。

 例えばあなたのお子達が、著名な作家やニュース解説者が特任教授として大学の学生募集パンフレットに載っている。ならば、そんな人達に指導してもらうのは息子・娘にとって有意義だと考えて大学を選んでいたとしたら、それ間違いですということ。

 特任教授は学校教育法ではなく、各大学の内規によって特定の目的のために期限付きで設けたポストのこと。例えば科学研究費が当たったので特定分野の専門家を雇用するといった研究意図の場合もあれば、学生数を増やすために著名人の名前を連ね人寄せパンダ的な扱いをする私立大学もあり、実態は大学によって異なっている。それら大学で共通するのは、招聘する人間は本業と兼業であること、常勤教員ではないこと、従って大学のゼミで学生を一人一人を直接指導することは皆無であり、さらに講座の主任や各種委員会の委員、教授会への参加は認められていないなど教育の運営には教員としての資格不足で関われない。つまり非常勤教員と同等の扱いなのである。さらにいえば客員教授も同様の扱いである。

 ある私立大学などは、著名な特任教授を何人もかかえパンフレットやHPに記載している。それをみた親は是非私の息子・娘を貴校へとなるが、実際はせいぜい年1回程度の全学的な場で数多くの学生達に講演をしてお終いである。だから特任教授を目当てに大学を選ぶことはおやめなさいということを申し上げている。

 また著名人は大学教授という肩書きが欲しいのである。そうした著名人の心理を大学人はよく心得ている。そこで私立大学では学生集めのために特任教授を依頼する場合も多くある。まさに人寄せパンダなのであるが、当然ギャラは微々たるものだが特任教授の肩書きで著名人の絵の値段が高くなるとか、仕事の範囲が広がるとか、お互いにとってビジネスメリットがあるので、こうした制度が継続されている。

 だからメディアで特任教授という肩書きをみたら、非常勤教員並のポストと理解するのが適切。というのも大学人がいうところのキャリア(つまりは文科省が定めるキャリア)と著名人の意図するキャリアとは全く異なっている。だから大学人は、著名人であっても大学人としてのキャリアがなければ意識の中では無視しているといってよい。

 しかし特任教授であっても、また年1回のレクチャーであっても、念入りに準備し熱心に思うところを一生懸命学生達に伝えようと努力している情熱的な著名人がいることは書いておこう。もちろん高等専門教育は情熱だけでは成立しないし、学生一人一人をカリキュラムに沿って研究教育を直接指導できる機会はない。だから特任教授は大学でまれにおこわれる文化講座とかイベントなどで招聘される講演者と理解する方が適切な解釈なのである。

 

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