Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE1512. 大学教員のなり方

2017年12月18日 | diving

 私が40代の半ばで民間企業のディレクターから大学教員として赴任したときは、学部、博士前期課程、博士後期課程と、3回の文科省教員組織審査を受けさせられ、時間差があったのでその間に審査付学術論文を書きまくって研究実績をつくり(このときは大いに忙しかった)、その全てに合格した。だから俗にいうマル合教授になる。そんな立場から大学の先生になるのにはどうればよいかについて私なりにメモしておこう。

 将来大学の先生を目指したい。それは賢い選択だと思う。というのもサラリーマンと大学の先生とが決定的に違うのは勤務形態だ。大学の先生は自由裁量労働制だから、働く時間と場所は自分で決めなさいということ。つまり出社時間も退社時間も総労働時間も、そして毎日大学へ通う必要もない。大学の運営がスムーズ行われていれば自由であり、だれからも文句は言われない。

 それに日本学術振興会(つまりは文科省)をはじめとして多くの団体が行っている研究費の申請ができる。つわものは億の単位の研究費を申請している場合もある。もちろん申請した以上は、申請書に沿って使用しなければならないのが大原則だが。自分でやりたいテーマがあれば、大いに申請書を書くがよい。あたればまとまった研究費がおりてくる。そのための研究者番号を大学から与えられるのである。それがあるかぎりいつでも申請できる。

 では大学の先生になるためにはどうすればよいか。学部生の頃からよく勉強し先生の覚えがよいこと。それは大学院に進学しても、覚えられていれば指導教員になってもらえる可能性が高くなる。指導教員とは博士前期課程(つまり修士課程)、そして博士後期課程(博士課程)と連続して5年間は続く。そのとき大学の先生は選ばなければならない。同じ教授であっても博士後期課程の指導が組織的にできない先生は私立大学などでは多いからだ。そんな先生についたら悲惨である。将来はないと思ってさっさと企業に就職すべきだろう。だから博士後期課程を担当しているマル合教授につかなければならない。それは大学院のHPをみればわかる。ここが一番大切なポイントである。教授という同じ看板はぶら下げていても、研究面での実力は月とスッポンの差があるからだ。

 通例博士後期課程を担当できる先生は、文科省の教員組織審査あるいはこれに準じる学内規則に基づいて教授になっているので、自分の進みたい分野のマル合教授の指導をうけるべきだろう。ただし大学院の指導教員の研究室の定員が少なく、入れない場合もある。そのときは同分野の2番手か1年留年するほかない。

 またまれにだが研究能力の無い教員が力ずくで博士後期課程の論文審査などをしている場合もある。私も偶然そうした場面に居合わせたが、まず院生に指摘する事項が全く研究の視座をはずれていて、わたしは二の句がつげなかった。これでは博士の学位申請をしている院生が可哀想である。やはり査読付学術論文を数多く執筆している経験が無ければ、博士後期課程の指導は難しいといわざるを得ない。

 そうして博士の学位を取得したら、今度は大学の教員ポストの空きをさがさなければならない。さいわいJ-RECというサイトで全国の大学で毎年教員募集をしている案内が随時掲載されている。そこで応募し、当然応募者数は多いので勝ち残らなければならない。そのとき研究業績所の書き方があり、それは勉強しておく必要があるだろう。そうしないとオーバードクターで低賃金労働で研究所などで働きつつ教員ポストの空きを待つことになる。

 まとめると・・・

1)自分の興味ある分野のマル合教授をみつけ、その研究室に配属されること。

2)博士論文を書きあげ、論文審査に合格し、博士号を取得すること。

3)教員ポストをみつけ大学に採用されること。

 この3つの大きな関門をすべて通過すると、自由裁量労働制の教員になることができる。あとは研究申請を数多くだし、自分の興味ある分野の研究を進め論文実績を積み上げてゆけばよい。こう書くと処方箋みたいだが、やはりオリジナリティある新しい考え方なり、こうしたら新しい有意義な世界が開けるのではないかとするコンセプトが必要である。新しい分野というのは、それだけ教員採用の場面で魅力的だからだ。これからの大学の状況(学生数の減少)を思うと、これ意外の道はないと思っていただきたい。

 私の研究室で博士論文の指導を受け論文審査に合格した院生は、今はみな大学の先生である。そして社会的でも大いに活躍している。大学はそうやって時間と労力を使って次の時代の研究者を丹念に養成しているのである。

 

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