書道家Syuunの忘れ物

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「書学を学ぶ人のために」についての考察

2006-06-24 23:38:30 | ちまたの噂・雑記事

「書学を学ぶ人のために」についての考察



「書学を学ぶ人のために」は、「書道美術新聞」に大野修作(元京都女子大学教授)氏が連載している記事である。
正直言って毎回読むごとに、文字を羅列しているものの、こんなことは一言で済むと思わせる憤懣物の内容である。
随筆ならそれなりに楽しく読むことも出来ようが、全く異なった思想で書論を述べられてはヘキヘキする。
大野修作氏は書家ではなく、「中文研究」「書学研究」者と言うことらしい。
ところで「書学」などと言うのも小生には聞き慣れない。何故かと言えば「書学」などというのは「中文」なのである。

さて、今回掲載のなかに‥‥尚()は小生が補筆した。
「書と学問」を特に話題にしている。
「(有名な書家といいながら)全く書を解さないような人たちがいつまでも横行するのは、書が社会的に持つ力が弱まっているからでもあるからでしょう。」
「書は常に学問とともに歩んできたという隠然たる事実」
「その規制力が衰退すると、美術だ造形だ、いや線だ空間だという力学が強まる傾向が日本にはありますが、書は、ことに中国においては、文字を、漢字で書くものでありました。要するに言葉から離れられないものであり、‥‥‥」





結構悪文なのだが、こんな調子で書かれると読む方が嫌になる。
その後いろいろな書名が出てくるのであるが、一般論的に書かれると何が何だか分からない。
そして、結論的なところに行き着く‥‥‥

「今日の日本の書は、私にはどこか痩せ細っているようにも見えるのですが、その原因として、書が支えていた学問性、文学性が欠落し、書家は造形性にのみ頼り、結果的に筆と線でのみ勝負しようとするところからきているのではないかという気がします。」

このように書いてしまうと「はあそうか」と思ってしまうのであるが、中国(支那china)の「書」に関する感覚と、日本での感覚の決定的な違いがあるのを忘れてはならない。
読売書法展で何年か前に中国で展覧会を開いたことがあった。
このとき、中国の書家は芸術的で綺麗であるが、評価しないといった。
即ち、中国での「書」は「教養」であって芸術ではない。だから一文字より多文字。出来れば沢山文字が書いてあれば、それだけ勉強したということで良い。しかも、所謂「展覧会の審査員の大先生」などは意味がなくて、有名な政治家など「肩書き」がないものは「紙くず」と同じと言うことらしい。

ところが、日本では「教養」の部分は「書写」として国語の一部として学び。高校の「芸術科」で「書道」として学ぶ。
「書道は勉強(教養)でなく芸術である」と戦後一環として主張してきたことで何とか現在も保ってきた。
「教養」であったならばとっくの昔に中国のように衰退したであろう。
「書が支えていた学問性、文学性が欠落し、‥‥」
‥‥とは言うが、戦前に教育を受けた人はともかく今「漢文」を、特に書作として書かれた「条幅」を簡単読める一般人がいるのか!ということである。
楷書で書かれれば、その素養のある人は多少読めたりもする。しかし、一般には無理である。
即ち、現代において「漢文」は言葉として、伝達能力を欠如した。‥失った。
と言わざるおえない。
その結果として、現在の書家の分類も純然たる「漢字部」という部門に属する人は益々減少傾向にあるし、実際展覧会でも減っている。
一方、高等学校の「書道科」としても第一に教える、「読める書」としての「調和体」「近代詩文」が、書としての中心となっている。
「書道」は元々中国から入ってきたものではあるが、既に日本国内で発展し本家中国とは全く別の道を歩んでいる。
書画全体をとってみても、戦乱に明け暮れた中国からの亡命知識人によってその粋を日本で吸収している。
未だ大陸的なものを見て今更「本家本元だ」、と思うのは間違いなのではないかと思う。

この大野修作氏は、若くして中国に留学し今「道教研究会」などに所属している。日本人でありながらDNAは「中国人」である。
当然ことながら、日本の書道を論じるのは「漢字」のみであって中国にない他の部門は全くの無視。
「かな」も「近代詩文」も眼中にない。
まして、「刻字」や「前衛」などというのは存在していないし書道とは認めていない。
もっとも、「前衛書道」を消えて無くなったと雑誌で公言する「伝統書」の書家がいるから、仕方がないかもしれない。
尚、読売書法展の「書法」も中文である。
日本の書家が中国へ訪問する訪問団に「秘書長」なる役職が存在することがある。
この「秘書長」なんて言葉も日本語ではなくて「中文」である。
こんなところでの朝貢は止めてもらいたいと思うのだが‥‥‥


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