福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

Glück:グリュック(幸福)

2010-08-05 06:27:26 | 日記・エッセイ・コラム
ドイツのブレーメンにある研究所で微生物生態学研究を始めたばっかりのころ。33歳だったが、ドイツ人大学院生たちが随分と声をかけてくれた。それは、おそらく私が研究所で唯一の東洋人だったかもしれない。 「マナ~ブ、君の名字のフク~イって、どういう意味なの?」とクリスチャンが訊いてくる。 「へえ~。いい名前だね。君一緒だと、何だか人を幸せにしてくれそう」 「そうだろう!」 それ以来、ドイツ人に「福井」の意味を説明する時は、「(グリュック)」と表現することにしている。そのたびに、「いい名前だね」と返ってくる。お世辞かもしれないが。 研究所には、大学で日本語を勉強し、1年間横浜の会社で研修経験のある秘書さんがいた(今でもいるが)。彼女の日本語学科時代の友人マリオン(仮名)が、北海道帯広地方の『グリュック王国』で研修していたとのこと。いわゆる廃線となった『幸福駅』の近辺だ。その『グリュック王国』は、今はもうない。マリオンは、その後幸せになったのであろうか? ところで、ドイツ人の名字も興味深いものがある。クリスチャンに訊いてみた。 クリスチャン、君の名字Knoblauchクヌーブラウフって、どういう意味なの?」と私。 クリスチャンはニヤリとしながら、「ニンニクって言う意味だよ」 私は肺腑をえぐるような笑いを堪えながら、言葉をふり絞って、「えっ? 君は、クリスチャン ガーリック(日本語だと、ニンニク タロウ)だったの!」と。 クリスチャンは再び笑みを浮かべ、極めて強い印象を私に与えて実験に戻っていった。その実験結果が下記の通り。 記のエピソードを思い浮かべながら、クリスチャンの論文を読み込めば、なお一層印象深くなる、でしょ?