福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

アサガオ

2008-07-14 18:16:58 | 日記・エッセイ・コラム

朝方だけ花開くアサガオ。その咲き様を見ていると、今、生あることに感謝したくなります。そして、今日一日、爽やかに生きようと思うのです。

今朝、大学院の同期だったTの訃報を受ける。朝から、とても、やるせない思いです。

私が入学した頃の東京都立大学の生物学教室は、13の研究室があり、たしか8講座分だったでしょうか。修士入学者は8名。当時も、大学院を修了したからと言って、アカデミックポジションに就くことは困難でした。私の同期では最終的に5名がその職に就き、うち2名が大学、残りの3名が国立研究所です。アカデミック以外の就職として、民間の研究所の研究員、高校の生物教員、そして私立大学の図書館員です。

同期が8名と言う少人数でしたので、事あるごとにコンパで盛り上がりました。サイエンスの議論をしたり、今後の生物学の動向を話し合ったり。時には、人生哲学を語り合ったりと。本当に充実していた時代です。

卒業後はそれぞれの道を歩んでいるので、同期会を開く機会はほとんどありません。年に一度の賀状の交換で、互いの現在を察する程度です。

十数年前に同期のSが突然死。そして、Tは、勤務先の大学へ通勤途上、くも膜下出血で倒れ、帰らぬ人となりました。早すぎます。

Tは、アサガオの花芽が分化していくメカニズムを分子生物学的に解明しようと、情熱的に研究を行ってきました。その研究が半ばで閉じてしまうことになり、さぞかし無念だったと思います。

我が身も明日は研究できない状況に陥るかもしれない。その時が突然やってくるかもしれない。悔いのないように、今できることをやっておきたいものです。

そう言えば、アサガオの花言葉は『明日も爽やかに』とか。