輝きを取り戻せ!




その魅力はいつまで経っても色あせることは無く、人々の心をとらえて離さないZ32型フェアレディZ
最近依頼が来るZ32の傾向を見ていると、何か大幅なモディファイやエンジンチューンをドカンッとやるのではなく、
これからも長く付き合うことが出来る、優しい優しいカスタマイズが目につきます。
例えばエンジンを一旦下ろして、全ての水ホースやオイルラインを総取り替えする そのついでにエンジンルームをクリーニングすると言った作業や、ブレーキ廻りを完全にオーバーホールをしたり、腐食が激しいExhaustを全て交換したり。
「レストア」と言えば大げさかもしれませんが、事実レストアに近い依頼を数多く請けています。

今回オーナーさんから頂いたZ32のご依頼はオールペイントとExhaust系のRefreshでした。
俗に言う「後期型」から新色となったホワイトパールですが、さすがに15年の歳月と今まで行った傷補修は既に限界に達しているようでした。
FRP製のエアロパーツは所々欠けてしまいヒビも多く目立つ。 肝心のボディは紫外線の影響からか、クリアー塗料が浮いてしまい「かさぶた」のような跡が目につく部分にありました。
他にも小さな「えくぼ」も数知れず。 
しかし、その数々の傷や痛み それは車を置物として保有するのではなく乗る為に保有しているのであれば、それは当然の事でしょう。それが15年 オーナーと共に走ってきた証でもある訳ですから。 それはそれで傷が多い事も当たり前の話です。

だけどZ32最大の特徴でもあるグラマスなボディがくすみ 痛みが目立つようになってからは、正直 オーナーの心には愛車の存在が痛々しく思えることもあったのだと思います。
人も物も一生 永遠に何時までも綺麗で居続ける。 と言うことはメンテナンス無しではできません。
それだったら、少なくとも自分が乗る間はパートナーには綺麗でいて欲しいと思うことも これも当然の感情でしょう。

オーナーさんと打ち合わせを行い、異色に変更するのではなくホワイトパール⇒ホワイトパールへ同色オールペイントにする事にしました。
但し、このホワイトパール 3コートパールと呼ばれている大変手間のかかるペイントです。 ベースコートを吹き付けた後にパール剤を吹き付け、そしてクリアーで抑えると言う。 1色出すために3工程の塗装を行う本当に大変なペイントですから、きちんと仕上げる為にも納期だけは45日ほど頂戴しました。
CFRPボンネットもUVカットクリアー+GZOXリアルガラスコートを3層に渡りペイントしている点も大きな特徴です。

そして45日ぶりに再開しピカピカに光り輝き完成した愛車を見て「おお~~~ おお~~~~~ 」と、ただただ驚き続けるオーナーさん。
「あそこも綺麗になってる あっここもだ」って感情が高まり過ぎて、うまく言葉にできない様子でした。
車の全塗装を行った 普通の人にしてみれば、たったそれだけの事なのかもしれませんが、その間車を使えない現実や、他の機関で発生するかもしれないトラブルの事、勿論今回のオールペイント費用等を考えると誰もが「やろう」と簡単に依頼できるような内容ではありません。
だけど、そこまでの思いを情熱を胸に忍ばせて待ち続けた45日間と言う長い工期は、愛車Z32の輝きを蘇らせると同時にオーナー自身の直向きな姿勢にも輝きを与えてくれ、自分を奮い立たせるような そんな大切な時間であったのかもしれません。
この生まれ変わり新たな感情を抱く両者の対面の瞬間に立ち会えた事を「やまもと」は嬉しく思います。

« ATS & ACROSS ... TE37 Super ... »