2002年12月13日、第 1181話の「諦めない」でトヨタとホンダが燃料電池車を世界で初めて発売したことを取り上げました。あの 頃は、一台1億円なんて言われていて、実用化は当分無理だと言われていたものです。
その後も、プリウスなどハイブリッドの時代になり、排気が水なので寒冷地では凍結するのが問題などと言われて、燃料 電池車は話題にもならなくなっていたので、もう諦めたのかなとおもってました。
ところが、トヨタが今年の年末に発売を発表したようです。ちゃんと開発していたんですね。いよいよ実用化が近いので しょうか。
東京新聞より 2014年6月4日
ト ヨタ 燃料電池車発売へ 世界初、12月にも
トヨタ自動車は水素を使った発電で走り、水しか排出しない燃料電池車(FCV)のセダンを十二月にも発売する。次世 代エコカーとして世界の自動車大手がFCV開発を競う中、世界に先駆け市販に踏み切り、新市場を切り開く構えだ。
発売するFCVは一回重さ五キロの水素補給で五百キロ以上の距離を走行できる。水素ステーションの整備が進む東京、 名古屋、大阪、福岡の四大都市圏で 先行して売り出す。かつて一億円以上といわれた価格は一千万円を切る予定。補助金などが受けられれば購入価格はさらに低 下する。国や地方自治体、環境問題 に関心の高い企業や富裕層の購入を見込む。十二月から車両を生産し、当面、月五十台前後を生産する見通し。
FCVは、車に積んだ水素と空気中の酸素の化学反応で生じる電気で走る。普及に向けてはインフラ整備が欠かせず、政 府や関係業界は来年中に大都市中心に全国百カ所で水素ステーションを整備する計画だ。
ただ、現状では想定通りに建設が進んでいないため、市販を先行させ政府に整備を促す。日本発売とほぼ同時期に米国や 欧州でも売り出す。
1千万円を切るとはかなりコストダウンが進んできたんですね。このくらいなら物好きなお金持ちや売名行為でタレント あたりの購入があるのかも。
それにしても、まさか実用化されるとは思ってませんでした。
ところが、まだまだ可能性がありそうな記事がありました。
財経新聞より 2014年6月10日
ヒドロゲナーゼS-77と白金による水素 酸化の質量活性を示す図。研究グループが発見したS-77は、白金の637倍 の能力を持っていた(九州大学の発表資料より)
九州大学の小江誠司教授らによる研究グループは、白金触媒の637倍 の活性を示す水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77による電極の開発 に成功した。
水素と酸素を使用する燃料電池は、排出物が水だけであるため、クリーンなエネル ギー源としてさらなる活用が 期待されている。しかし、電極触媒に使用される白金は希少性が高く費用も高価であるという欠点があった。一方、水素 から電子を取り出す効率が白金よりも優 れている水素酵素(ヒ ドロゲナーゼ)は、酸素に対して不安定であるため実用化されてこなかった。
今回の研究成果は、阿蘇山で過酷な環境下にある水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77を 発見し、その性能を調べたところ、酸素に対して安定であること、さらに白金と比べて質量活性が637倍、 電流密度が1.8倍、電力密度が1.8倍 であることが明らかになった。
自然界には、ヒドロゲナーゼの主成分である鉄やニッケルが豊富に存在しており、今 後はさらに多くの高性能電極触媒が開発可能であると期待されている。
なお、この内容は6月4日 にドイツの学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」の オンライン版に掲載された。
参考:マイ ナビニュースより 2014/06/06
九 大、阿蘇山から発見した水素酵素「S–77」を 燃料電池のアノード電極に応用
これが実用化されれば、コストの問題が一気に解決されそうです。そうなると、燃料 電池車のコストダウンも進むでしょうから、案外、次は燃料電池車の時代が来るのかも。
トヨタが上手くこの波に乗れば、ハイブリッドに次いで燃料電池車でも世界を制することになるかもしれませんね。
いずれにしても、燃料電池が本物になればエネルギー問題も大きな変革が来そうです。
一体、どうなるんでしょう!