昨夜は娘がやって来て、アオリイカとヤガラの刺身を「白鶴純米」の燗で呑みだした。
アオリイカは甘くて味わいが深く、ヤガラはさらに味が濃くて旨味が多く美味かった。
サミュエルのハードリカーの試飲も同時にやっていて、チーズトーストをウオッシュの古いのと白カビのチーズで大量に作り飲んだ。
ウオッカ、ラム、ホワイトアルマニャック、ウイスキー、ビオディナミのバザルマニャック、95年のカスクストレングス50.8°のバザルマニャックを行きつ戻りつ飲んだ。
ブイヤベースはヤガラ、アオリイカ、海老、アサリが入っていて、サフランがベースのところにウコンや庭の月桂樹やローズマリーを入れたバーブの風味が強いそれっぽいのになったが、途中で海老の殻を外したり、最後にアオリイカ入れたりと日本的な配慮のあるブイヤベースで大変美味かった。
モンペリエの港町の食堂で食べたのは、これぞ本物のブイヤべースと現地の友人に云われたが、雑な味もさることながらコケラが入っていて、もうそれだけで参った。
この日本的な繊細さを持つブイヤベースには、一番上品な味のビオディナミのバザルマニャックが良く合った。
8時過ぎに娘の旦那がワインを持って来たので、親しいディエゴが作ったボバルを久し振りに飲んだ。
このバレンシア北部の地場品種は決して世界の表舞台には現れないだろうが、その平坦でタンニンが強い赤を飲むと、友人の姿が目に浮かぶ。
白はムスカデのジェネリック、ヴィエーニュ・ヴィーニュ、樽を通した最上品の3種を飲み比べた。
軽い辛口が身上の白は、ハイグレードに作ってみたところでその本質は変わらないが、エレガントな味わいが作り出せたら日本人の舌に最も受けるワインになる。
そしてそれが一番難しく、道半ばと云えこの蔵のムスカデは、かなりのところまで来ていると感じさせた。
より強く造って評判を取るのは比較的容易で、それを高く販売するのが一般的な成功と考えられているが、強く造らないで奥行きだとか複雑さを加味するのはとっても難しく、ましてやそれを評価されることはさらに難しい。
軽みがあり薄っぺらじゃないワインの如何に難しいことか。
娘の旦那はビーフステーキを食べたが、最近、衰えたのか牛肉がそれほど美味いとは思わなくなり、娘にパスタを作るよう頼んだら、アオリイカとヤガラの刺身の残りとブイヤベースのスープ、茹でブロッコリーとミニトマトで絶品のスパゲティを作ってくれた。
お開きになったのが11時過ぎで、二階に上がり中森明菜をオンキョーのセットで一頻り聴いて寝た。