フェデラー優勝!


  ウィンブルドン選手権男子シングルス決勝で、ロジャー・フェデラーがアンディ・マレーに3-1で勝利し、7回目のウィンブルドン選手権優勝を果たしました。

  すごく良い試合でした!特に第3セットからの展開が物凄くて、最終セットまで一時もテレビから目が離せませんでした。

  フェデラーは第1セットを落しました。フェデラーはあまり調子が良くないようだったので、マレーが第1セットを取ったときには、これはひょっとしたらマレーが勝っちゃうかも、と思いました。

  しかし。

  フェデラーは本当に恐ろしい、と思ったのが、第3セット第6ゲーム(ゲーム・カウント3-2)で、フェデラーがマレーのサービス・ゲームをブレークした過程です。

  マレーは好調で、0-40と一方的にリードしていました。あっさりキープしてゲーム・カウント3-3になるかと思われたのですが、フェデラーがそれから3ポイントを連取して、デュースに持ち込みました。

  そこからが凄かった。フェデラーとマレーはお互いにデュースとアドバンテージを繰り返しました。それだけで10分以上もかかったと思います(後でニュース読んだらなんと20分!だって)。

  そのうちに、明らかにマレーが苛立ってきて、ミスが多くなってきたのです。あ、フェデラーは意図的にゲームを長引かせて、マレーを焦らせることでマレーのプレイの質を低下させ、このゲームをブレークしてマレーをじりじりと追い込もうという作戦に出ているな、と感じました。

  そしてついに、フェデラーがマレーのサービス・ゲームをブレークし、そのまま自分のサービス・ゲームは超速サーブ(とマレーのタイミングを外すためにわざとスピードを落としたサーブ)と怒涛の攻撃でキープして、第3セットも取りました。

  第4セットで、マレーのミスが更に多くなりました。まず、ファースト・サーブがほとんど入りません。また、容易にポイントを取れたはずの、しかも大事な局面で信じられないミスをする場面が目立ちました。

  フェデラーは容赦しませんでした(当たり前ですが)。マレーはコートの右から左、前から後ろに文字どおり振り回され、2回も転倒してしまうほどでした。

  マレーは動揺し、ミスをしたりポイントを取られたりすると、苛立ちや落胆の表情を浮かべ、天を仰いだり、首を振ったり、両腕を広げたりと仕草が大きくなりました。また、チャレンジ(審判の判定の再確認要求)を頻繁に行なっては退けられ、精神的な余裕がなくなっているのが明らかでした。

  一方、フェデラーは、あの冷静沈着な表情と態度をまったく崩しません。まさに「岩のようなメンタル」(By ジュリアン・ベネトー)。

  おまけに、フェデラーのプレイも凄まじかったです。マレーのプレイは「おお、すげー!」程度なんですが、フェデラーのプレイは、「何なのこれ!?人間!?神!?」なんです。アップのスロー再生で見ると、その動きは往年のシュテフィ・グラフを彷彿とさせる美しさです(ちなみにシュテフィ・グラフはある試合で、解説者に「まるでダンスのような美しい動きですね」と言われていた)。

  フェデラーは第4セットの冒頭で、早々にマレーのサービス・ゲームをブレークすると、やはり自分のサービス・ゲームは鉄壁で守り続け、最後はマレーのリターンがアウトになって優勝しました。

  テニスはパワーや技術だけじゃなくて、精神的に対戦相手を崩すことも必要なんですね。フェデラーの戦略の巧妙さとメンタルの強靭さに驚嘆しました。

  また、フェデラーは試合中、コイツ一体ナニ考えてんの!?感情ないの!?ってくらい全然表情を変えないのに、優勝して試合が終わると、ばったりとコートに倒れて笑ったり泣いたりするのが、ギャップ萌えなのよ~ 今回もばったり倒れてました(笑)。

  でも、マレーも閉会式で、泣いて声を詰まらせながらスピーチしていて、今どき珍しい素直な良い子だなあ、と思いました。「(優勝まで)もうちょっとだったんですが」、「これからも(グランド・スラム優勝に)挑戦しますが、…でも、簡単じゃないんです」と泣きながら言ってました。

  マレーはすでに、フェデラー、ジョコヴィッチ、ナダルらの向こうを張るトップ・プレーヤーなのに、まるで新人選手のような初々しさ。おばさん、思わず胸きゅんしちゃったよ。

  ともあれ、本当に良い試合でした。マレー、あなたはまだまだ次の機会があるよ。そしてフェデラー、本当におめでとう!会場中がイギリス人であるマレーを応援していた中で、孤独に、しかし強靭な精神力とすばらしいプレイで勝利したあなたは、本当に偉大です!

  これで一ヶ月はゴハンがおいしく食べられます~。
 
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