映画「レッドクリフ」

  11月1日から前編が公開されます。観るつもりですが、一足先に試写会に行ってきた人から感想を聞きました。

  「レッドクリフ(Red Cliff)」という題名は「赤壁」の直訳で、この映画は『三国志』で有名な「赤壁の戦い」(紀元208年)を描いた作品です。ちなみに赤壁とは戦場となった土地の名前です。

  曹操の率いる魏の大軍勢が南下し、それを呉の孫権・荊州の劉備率いる連合軍がはるかに少ない軍勢で迎え撃ち、魏軍に壊滅的打撃を与えて大勝利する、という話で(←これは実際に起こった歴史的事件であり、かつ小説などでもおなじみの超有名な話なのでネタバレではない)、『三国志』の中で最も盛り上がるくだりです。

  試写会を見た人の話によると、映画「レッドクリフ」は『三国志』の原話をかなり歪曲・・・いや、巧みにアレンジしており、更に原話にはないオリジナルのエピソードをいくつか盛り込むなど、なんでもアリな・・・いや、斬新な作品に仕上がっているそうです(大河ドラマ「篤姫」みたいですな)。

  出演者は中華人民共和国、香港、台湾、日本と多岐にわたっています。なんと中村獅童が呉の武将役で出演しているそうです。セリフはふたつだけですが、ちゃんと中国語(北京語)をしゃべってたということです。吹き替えなしの地声だったということで、大したもんです。

  赤壁の戦いで最も活躍するのが、呉軍の総司令官である周瑜という武将です。周瑜は世に聞こえた美男子で、文武両道に秀で、音楽にも造詣の深い風雅な人物であり、更には呉で一、二を争う美女といわれた妻を持ち、30代の若さで病死したという、女子心をくすぐりまくりなキャラクターです。香港の超人気俳優、トニー・レオンがこの周瑜役です。

  ですが残念なことに、トニー・レオンは北京語があまりできないらしいのです。「ラスト・コーション」では北京語で頑張ったそうですが(私は観てない)、それでも聞いてるほうがかなりヒヤヒヤする発音だったらしいです。

  トニー・レオン演ずる周瑜は、この「レッドクリフ」の事実上の主人公です。なので、もちろんセリフがいちばん多いです。でも、トニー・レオンの声はすべて吹き替えになっていたそうです。やはり彼の北京語がネックになったのでしょう。

  「赤壁の戦い」で周瑜の次に活躍するのが、日本でも有名な諸葛孔明です。劉備の使者として呉に派遣され、魏との戦争をためらっていた呉の君主である孫権を説き伏せて、徹底抗戦の道を選ばせたといわれています。諸葛孔明役は金城武です。日本のテレビのドラマやCMにもちょいちょい出ていますね。

  金城武も北京語でしゃべり、吹き替えなしだったそうです。ただし、中国で諸葛孔明といえば、偉大なる理想的政治家とみなされており、現代でも大きな尊崇と人気を集めている人物です。これまでの『三国志』関連のドラマや映画で諸葛孔明を演じてきたのは、いずれも中国を代表する名優ばかりでした。

  まだ若造の金城君が諸葛孔明という威厳ある人物を演じるには、中国四千年早いせいか、「レッドクリフ」には、諸葛孔明の伝統的イメージから敢えて外れるような、新しい諸葛孔明像を創出する(ことを狙ったらしい)エピソードが盛り込まれていたそうです。そのエピソードの内容を聞いたら噴き出してしまいました。いくらなんでもそりゃありえねーだろ、みたいな話でした。

  試写会を観た友人は総括して、前編・後編という構成にしないで、一度で最後までやっちゃったほうがいいんではないか、と言ってました。今回公開される前編だけで2時間半あるそうです。

  聞いたところによると、日本では、前編の興行成績によって、後編を公開するかどうか決めるらしいです。つまり、前編の興行成績がよくなければ、後編が公開されないかもしれないということです。中国ではすでに北京オリンピック前に前編が公開され、今年の12月に後編が公開されるそうです。

  『三国志』や『三国志』ゲームのファン、トニー・レオンのファン、金城武のファンのおかげで、一定の興行成績は期待できるのではないかと思います。私も混雑が緩和された頃を見計らって観に行きます。金城君の諸葛孔明なんてステキだし(歴代の諸葛孔明を演じた俳優はオヤジばっかしだったから)、金城君演ずる諸葛孔明の超爆笑エピソードもぜひ見たい。

  他に「ブーリン家の姉妹」も観たいし、バレエも観る予定だし、11月は「芸術の秋」で忙しくなりそうです。  
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コメント
 
 
 
楽しみ~ (レモン)
2008-10-24 20:33:18
レッドクリフ、家族も数ヶ月前から楽しみにしているようで、封切りになったら私も一緒にすぐ行くと思います。
近所にいつもすいてるM@VIXがあるんです(笑)
家では何年も前から三国志のDVDが欲しいのですが、あまりに高価で買えないのです。。。
11月はアラジンもあるので、私もしばらくぶりにがんばって初台まで行きます。
新宿の乗り換えが慣れないので大変なのですが、どうしても観たいので。
シュトゥットガルドは買ってないのでまだわかりませんが、オネーギンは観られないような気がします。
心にわだかまりがあるというか、なんだかつらくて。
それでいながら気になって、ね。
どちらにしてもチャウさんの感想は大期待しています!





 
 
 
ほんとですね♪ (チャウ)
2008-10-25 12:49:31
最近はゲームやマンガなどで『三国志』を好きになった若い人が多いみたいですし、キャストも豪華なので、最初はかなり混みあいそうですね。

私も穴場な映画館を探してみます。

『三国志』のDVDですが、中国もしくは中国の通販サイトで買うと若干お安いです。でも、日本語の字幕はついていないと思われます。
日本語の字幕付きなら、ぜひおすすめするところなのですが。

シュトゥットガルト・バレエの「オネーギン」、私も楽しみな一方で、少し複雑な気持ちも抱いています。
結局のところ、アダム・クーパーのオネーギンでなければ満足できないことは、最初から分かりきっているんですよね。

でも、私が観る回でオネーギンを担当するダンサーのインタビューを読んだら、そのダンサーは若いながらも、オネーギンの役作りについて、非常に真摯な姿勢で取り組んでいる人だという印象を受けました。

だから前回のシュトゥットガルト・バレエ日本公演の「オネーギン」ほど、不満の残る舞台にはならないだろうと予想しています。
 
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