月に問う

  今日の夕方、月がすばらしい、というメールをもらったので(満月だった昨夜、東京は大雨でした)。李白の「酒を把りて月に問う」。


  青天有月来幾時、  紺碧の空に月が昇ってきてからどのくらい経ったか?
  我今停杯一問之。  杯を口に運ぶ手を止めて、ちょっと月に尋ねてみよう。
  人攀明月不可得、  人間は明るい月によじ登ろうとしてもできないのに、
  月行却与人相随。  月はなんと人の後を追うように空を自在に行くではないか。
  皎如飛鏡臨丹闕、  空飛ぶ白い鏡は朱の門に迫り、
  緑烟滅尽清輝発。  夕暮れの暗いかすみが尽きると清らかな光が射しこむ。
  但見宵従海上来、  夜の闇が海からせり上がってきて、
  寧知暁向雲間没。  暁の光はいつのまにか雲の間に消えてゆく。

  白兎擣薬秋復春、  月の中の白兎は一年じゅう薬をきねでつき、
  嫦娥孤棲与誰鄰。  月の中の仙女は独り住まいだが、お隣に「いいひと」はいるのか?
  今人不見古時月、  今の人々は昔の月を見ることはないが、
  今月曾経照古人。  今の月は昔の人々を照らしてきた。
  古人今人若流水、  昔の人間も今の人間も流れる川のように来ては去っていくが、
  共看明月皆如此。  みないつもこんなふうに明るい月を見つめてきたのだろう。  
  唯願当歌対酒時、  どうかお願いだから、歌と酒があるときは、
  月光長照金樽裏。  月の光が金の樽の中をいつまでも照らしていてはくれまいか。


  ……いかにも李白な詩だなあ。
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