モスクワ音楽劇場バレエ日本公演


  モスクワ音楽劇場バレエが今年の5月20日から24日まで日本公演を行います(詳細→ キョードー東京公式サイト )。演目はブルメイステル版『エスメラルダ』(5月20、21日)と同じくブルメイステル版『白鳥の湖』(5月23、24日)。

  そのチケットの一般発売日が先週の土曜日(1月24日)だったんです。モスクワ音楽劇場バレエの日本での知名度はそんなに高くないだろうから、チケット取りはさほど苦労せんだろうと思ってました。

  でも、ロシアのバレエ団による『白鳥の湖』は、チケットが確実に売れる鉄板演目です。となれば、『白鳥の湖』だけは早めに取っておかなくてはなりません。それで発売初日に主催元のキョードー東京の公式サイトでチケットを購入しようとしました。この日は土曜日でしたが、仕事で電話をする時間が取れなかったので、ネットで購入する(ほら、ネットならこそこそっとできるからw)しかありませんでした。

  主催元のキョードー東京なら良席を最も多く持ってると思いました。確かに発売開始直後のため、席には余裕があるようでした。ところが、購入前に席番が表示されません。不安になって購入手続きを停止し、試しにチケットぴあのほうを見てみました。

  ぴあは購入前に席番が表示されました。ところが、表示されたのは1列目35番。あのなー、いくら演劇的要素の強いブルメイステル版でも、『白鳥の湖』を1列目の超はじっこで観てどーする。これでは買うなと言ってるようなものです。もちろんキャンセル。

  仕方なくキョードー東京のサイトに戻り、S席を購入しました。でも後で気づいて、しまった!と思いました。会場は東京文化会館大ホールだったのです(購入前に確認しておくべきだった。大バカ)。私が買ったのはS席でした。おそらく1階席でしょう。東京文化会館大ホールの1階席。そう、悪評高いあの2、3、4列目が即座に脳裏をよぎりました。

  直近で東京文化会館に行ったのは、去年冬のボリショイ・バレエ日本公演でした。東京文化会館は改修工事のため長く閉館していて、あれが改修後初めての公演だったそうです。どこをどう直したのか、素人目にはほとんど分かりません。見えるところでは天井板が一新されたようでした。確かに、大地震が起こったときに最も怖いのは天井板の落下ですから。

  でも、1~5列目の傾斜に変化はないようでした。相変わらず1列目から4列目に向かって低く傾斜しているように見えます。

  軽率に買ってしまったけど、もし2、3、4列目の席だったらどうしよう、と一気に不安のどん底へ落ちました。ネットで購入の場合、3日後でないと発券できないそうです。発券までの3日間、もし2、3、4列目に当たったら、いったんキョードー東京に相談してみて、どうしても座席変更ができないのなら、そのチケットは捨てて買い直そうとまで思いつめました。

  そして3日後。セブンイレブンで発券して座席番号がようやく確認できたときの心の声。おお、神よ… 2、3、4列目より後ろの列でした。サイド席だけど中央寄り。わるくはない。しかし、発売直後に意気込んで買ったにしては割に合わん席だな、という感じ。先行で良いのをすでに出したのか、後からじりじりと良いのを出していくのか、一般には最初から良いのは出さないのか。

  結果オーライだけど、一応キョードー東京に電話して聞いてみました(電話は有料)。まず1階席2、3、4列目はS席だそうです。ネットでチケットを購入する場合、席番は購入と同時に決まるのではなく、購入後にあらためて席が割り振られるのだそうで、購入前に席番を知りたいのであれば、電話で購入するのがよいというお話でした。

  座席選択ができない、席番が事前に分からない、電話は有料、キョードー東京は日本の古き良きチケット・エージェンシーの姿を堅持しているようです。でもオペレーターさんのお話では、公演によって席番を事前に表示する場合としない場合があるのだということで、モスクワ音楽劇場バレエは後者の場合に当てはまるんだそうです。

  モスクワ音楽劇場バレエの今までの日本公演は、公演日程や会場に無理がある場合が多い印象です。私が以前に観たのは、2007年のド年末、東京国際フォーラムC(Aだったかな?)ででした。演目は『くるみ割り人形』とブルメイステル版『白鳥の湖』だったと思います。

  しかし、もう正月の帰省ラッシュが始まっていたような時期だったので、せっかくの良質な作品と舞台だったにも関わらず、客の入りがいささか寂しかったのを覚えています。私も帰省しなくちゃいけなかったから、ブルメイステル版『白鳥の湖』を1回しか観られませんでした。すごく見ごたえがあったので残念でした。

  その後にも日本公演があったと思うのですが、…2010年4月中旬らしい。新年度が始まったばかりで疲れ果てている時期で、このときは観劇そのものをあきらめました。

  今回は、公演時期と会場は良いと思います。『エスメラルダ』が上演されるのは5月20日(水)の昼夜2回と21日(木)の昼1回。昼公演は観に行けないし、夜公演も、仕事帰りに2時間50分もの舞台を観るのはきつい。ブルメイステルの作品はドラマ面でも非常に濃密なだけに、気軽に観られる類のものではありません。よって、今回も『エスメラルダ』は観に行くことができないと思います(でもまだ努力してみます)。

  週末の土日に上演される『白鳥の湖』も上演時間は3時間30分(実際には4時間近くになると思います)で、とにかく長い。しかも無駄に長いんじゃなくて、ブルメイステル版はまずドラマとしての構成と演出が良く、振付も良い。加えて、ダンサーたちの演技と踊りも良いでしょうから、とにかく特濃な舞台になると予想されます。テキトーに観て流すことができないので、観客のほうも疲労困憊すること必至です。もちろん思わず集中して見入ってしまうほど見ごたえがあるってことです。

  (ミラノ・スカラ座バレエ団によるブルメイステル版『白鳥の湖』DVDが出ていますが、主演のスヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレを除けば、ミラノ・スカラ座バレエ団の演技と踊りはあんまし良くないです。モスクワ音楽劇場バレエのほうが総合力では断然高し。パリ・オペラ座バレエ団のブルメイステル版のDVDは観たことないので分からん。)

  今度の日本公演の演奏はモスクワ音楽劇場管弦楽団。これも楽しみの一つ。バレエ団の現在の芸術監督はイーゴリ・ゼレンスキーで、マリインスキー劇場バレエの元プリンシパルです。ゼレンスキーの前任者がセルゲイ・フィーリン(現ボリショイ・バレエ芸術監督)なんでしょう?

  モスクワ音楽劇場バレエは良いバレエ団で、良いレパートリーを持っているのですが、このバレエ団にしかない特徴であり魅力であるブルメイステルの作品群の上演が、何かとせわしい日本には向かないところがあると思います。どうしようもないことですが…。

  チケットが確実に売れる『白鳥の湖』を平日に、マイナー作品である『エスメラルダ』を週末に配置すればいいのにと思いましたが、考えたら、『白鳥の湖』よりは上演時間の短い『エスメラルダ』のほうが、平日公演には適しているわけです。それに、楽日の演目はやはり『白鳥の湖』がふさわしいでしょうから。

  最後にもう一度。東京文化会館大ホール1階席の2、3、4列目は絶対に買ってはいけません。改修工事後も1~4列目の傾斜は変わってません。また5列目でも、すぐ前の4列目に座った観客の方がちょっと大柄だったり座高が高かったりすると視界が遮られます。6列目以降が無難だと思います。

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