ロバート・ハインデル

  土曜日の夜10時から始まるテレビ東京の『美の巨人たち』、今日はロバート・ハインデル作「メシアを待ちながら」でした。

  ロバート・ハインデルという画家について、恥ずかしながら私はまったく知りませんでした。番組をなんとなく観ていたら、ハインデルはバレエ・ダンサーを主に描いた「現代のドガ」と呼ばれた画家だったという説明とともに、いきなり英国ロイヤル・バレエ団のタマラ・ロホとデヴィッド・マッカテリがリハーサルしている様子が映ったのでびっくりしました。

  ハインデルはアメリカ人で、元は広告や宣伝のポスター専門のイラストレーターだったそうです。それが英国ロイヤル・バレエ団のアメリカ公演で、マーゴ・フォンテーンとルドルフ・ヌレエフとが踊る姿を見て衝撃を受け、以来、バレエ・ダンサーを題材に絵を描くようになったのだとか。ロートレックがドガになったわけですな。

  といっても、ハインデルが描くのは舞台上のダンサーたちではなく、スタジオでレッスンしているダンサーたちであり、またどうやら英国ロイヤル・バレエ団のダンサーたちを主に描いたようです。

  番組では、まだ若いダーシー・バッセルのリハーサル風景をカメラにおさめるハインデルの姿、そして英国ロイヤル・バレエ団の現芸術監督であるモニカ・メイスンへのインタビュー、ハインデルが描いたリハーサル中のモニカ・メイスンの絵、吉田都の絵などが紹介されました。

  モニカ・メイスンが言うには、ハインデルという画家は一瞬でそのダンサーの特性を見て取ることができたそうです。

  ハインデルはスコティッシュ・バレエ団でも取材を行ないましたが、当時、ハインデル自身がスランプに陥っていた上に、ハインデルの長男が不治の病に侵されて死を待つ身となり、公私ともにどん底の状態にありました。

  そんなとき、ハインデルはスコティッシュ・バレエ団のリハーサルで「メシアを待ちながら」という作品を目にします。それはモダン・バレエで、男性ダンサーと女性ダンサーがペアで踊る作品でした。

  この作品の中に、男性ダンサーがかがんで膝の上に女性ダンサーを乗せて支え、女性ダンサーは上半身を伸ばして両腕を天に向かって差し出す、というポーズがあります。ハインデルはダンサーたちに、特にこのポーズを何回かくり返させました。

  このポーズに想を得て、ハインデルは「メシアを待ちながら」を描きました。その2ヶ月前にハインデルの長男は病死していました。番組の説明によると、いまにも天に昇ろうとする人物は亡くなった長男であり、それにすがるように支えている人物はハインデル自身なのだそうです。

  番組の最後では、ハインデルの絵画展が開催されていることが紹介されました。
  検索してみたら、どうやらこれ↓のようです。  

   ロバート・ハインデル展
  会場:ヒルサイドテラス
  開催期間:2009年6月2日~2009年6月14日(11:00~19:00)
  入場料:500円(一般)
  住所:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町18-8
  問い合わせ:03-5489-3705

  来週末で終わっちゃうんですね。なんとか時間を作って観に行こうかしら。
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