▼私の家から車で15分程のところに、65歳以上の入浴料が、50円の温泉がある。近所の人たちは毎日入っている人も多いようだ。
▼「自宅の風呂は使わないうちに、ボイラーが壊れてしまった」という話も聞こえてくる。浴槽は大きな方が気分がゆったりでき、疲れもとれる。
▼時間帯で顔ぶれが固定されている。高齢者が多いので、数日来なければ、死亡説?さえ出る始末だ。漁業地域なので、漁の話とパチンコの話が多い。それと病院通いの話もだ。
▼温泉からの感染は聞こえてこないので「温泉でウイルスなんか流れ落してやる」という気持ちが、温泉好きの心の中にあるような気がする。
▼先日、80代の常連客が、自宅から救急車で運ばれたという情報が流れた。数週間情報が途絶えたので、たぶん死亡説?が流れたに違いない。
▼番台のお姉さんたちも、ほとんど顔見知りだ。救急車で運ばれた人の消息を尋ねると「たった今風呂に入りに来て、元気に帰った」という。5日間意識不明だったそうだが、今はまったくピンピンしていたという。
▼近年、個人情報云々で「ここだけの話し」という、スペシャルものも少なくなった。田舎の温泉の番台の親切なお姉さんの情報に、心があったまる瞬間だ。
▼温泉内のサウナは、蜜を避けるために4人までの制限がある。先日私も含め4人だったが、40代の若手漁師が扉を開け「5人じゃ密だな~」と、出ていこうとした。
▼すかさず、大先輩たちが「俺たちは2回接種完了したんで安全だから、数に入れなくてもいいんだ」といい、5人となった。
▼その若い漁師。「昼のニュースで、ワクチンがあまり効果がないと言ってたよ」といったので笑いが起きた。
▼他愛もない話だけど、なんとも身も心もあったまった温泉談義だった。
50円の温泉天国鄙にあり
三等下
※鄙(ひな)=田舎