▼映画監督森達也著【すべての戦争は自衛意識から始まる】「ダイヤモンド社」を読み返している。その中に「自衛の意識は簡単に肥大する」という文章がある。
▼自衛の意識は解釈次第でどうにでもなる。かつて日本が戦争の大義にしたのは、欧米列強からのアジアの開放だ。
▼ナチスによるポーランドへの侵攻は、祖国防衛が目的だった。ユダヤ人の虐殺はゲルマン民族を守るためだった。
▼ブッシュ政権のイラク侵攻も、大量破壊兵器を持つテロリストから、世界の平和を守ることが大儀だった。
▼人は自衛を全面に持ち出し、都合の良い大義をつくり人を殺す。巨大な軍事力を持っていては、過剰防衛になりやすい。そこで敗戦後武器を捨てようと、日本は憲法に明記した。
▼我が国は米国に追従するように、躊躇せずロシアに経済制裁を加えた。ゼレンスキー大統領は、日本がアジアで一番先に経済封鎖をしたことを感謝した。その瞬間ロシアは日本を敵とみなした。
▼もし私がプーチンなら、ウクライナ侵攻に集中している最中に、日本は北方領土を奪還するに違いないと考えるだろう。日本は世界有数の“軍事力”を有し、日米同盟を維持しているからだ。
▼案の定、ロシアは北方領土問題を含む【平和条約締結交渉を拒否】してきた。だが、日本には攻めてこないだろうと考えるのは、プーチン政権下では安易な考えではないだろうか。
▼日本が北方領土奪還で侵攻してくる恐れがある。なので自衛のために北海道に侵攻する。そんな大義をプーチンが考えていやしないだろうか。
▼終戦後、ソ連は北海道を分割統治する考えがあった。それを思い出させるように、ウクライナ侵攻中にも関わらず、北方領土海域でミサイルの発射訓練や、津軽海峡をロシア艦隊が通過している。
▼私は懸念する。「北方4島」が【北方5島】になりはしないかと。万が一はないというが、万が一を平気で行うのがプーチンだからだ。
▼27回もの出会いで「ウラジミール」「シンゾウ」と、まるで親友の様に呼び合っていた仲なのに、ウクライナ侵略を機に、米国と「核共有」すると脅かす。
▼ウラジミールは、青筋を立てて怒っているに違いない。ウクライナの次に、北海道にも一発落としてやろうかと。
▼防衛省防衛研究所室長の高橋杉雄は、外交と軍事は一体化し「軍事力の復権」を期待することを唱える。政治家にも国民にも、軍事力をめぐる深い知識と理解が求められると話している。(24日北海道新聞)
▼ウラジミールは、シンゾウを裏切り者と罵るだろう。日露戦争の敵を討ってやると、国民に訴えるかもしれない。妄想は果てしなく続く。
▼24日の北海道新聞の川柳欄に、こんな句が載っていた。
蜜月を誇示した島のカエラ手形
加藤悟
それを受けて、こうつないだ。
日本外交ガキの使いか
三頭下