函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

新選組血風録

2013年01月08日 13時34分09秒 | えいこう語る
長く世話になったが、年増のやり手ババアの金儲け主義に、いい加減嫌気がさした。垢抜けてはいないが、肌に張りがある真面目に働きそうな娘につい心変わりをしてみたが、あまりにもネンネだったので、飽きが来た。
若いのを追い出したら、腐れ縁の年増が戻ってきた。
以前と変わって、捨てられてみてちょいとは反省したのか、まめに心遣いはするが、そう簡単に持って生まれた性格などは変わりようがない。
「ちょいとの浮気なら、男の甲斐性」なんて懐の深いところを見せれば「ごめんよ、浮気なんぞして。騒々しいご時世だ。やっぱり長い付き合いのほうが肌が合うよな」なんて、またもとの泥沼生活に溺れてしまいそうだ。
そんな感じがするこの度の自民党圧勝劇だ。
選挙以降さっぱり気分がすぐれないので、暮れに10冊ほど本を購入し、読書正月と決め込んだ。
最近江戸ものにはまっている。殺伐とした今の世、江戸末期の武士の揺れ動く心や、庶民の人情が心地よいからだ。
司馬遼太郎の「新選組血風録」。
新選組の隊士を克明に描き出し、まるで歴史の現場に読者を引きずりこむ司馬の筆力は見事だ。
私の感想は、長くて取りとめがないので、司馬が第14回菊池寛賞を受賞した時の、尾崎秀樹の的確な評を参考にしていただきたい。
※獣の足跡の付いていない早朝の積雪地帯。とても新鮮な感じがする。


「司馬遼太郎の文学ほど、今日の大衆文学の性格を典型的に示すものはない。彼の作品は既成の秩序なりモラルがくずれ、新しい体制が模索されているような混乱の時代を背景にしたものが多い。それは変革期に現れる人間像に、彼が深い関心を寄せるからだ。動乱の時代には人間の持つ可能性がフルに現れる。しかも彼のユニークな乱世史観は、現代の世相とダブル・イメージになることで、強烈なパンチ力を生み出すのだ。彼の文学の魅力はこの独特な乱世史観を支える現代性と風土性だといっていい」

維新前夜と3:11以降の我が国。
日本人が命をかけて守らなければならないものと、日本人の新たな価値観の創設が問われているような気がしてならない。
この本は、私たちが知らない新選組の隊士や、一見歴史に汚点を残したような人物でも、なんだか妙に親しみのわく描き方をしている。
文学とは「人間を描き出すこと」だと、教わったことがある。
司馬文学とは、歴史上の人物を生き返らせ、読者との会話をさせてくれる文学なのではないかと思う。
今朝は今年初めてのウニ漁が中止になった。
昨夜布団の中で、この本を読み終え寝不足気味なので、中止になったことを少し喜んでいる私がいる。
こんな私が新選組なら、間違いなく仲間に粛正されている。
でも、そんな私でもちょっぴり魅力的に甦らせてくれるのが、司馬文学ではないかと思う。