goo blog サービス終了のお知らせ 

函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

寒修行

2009年01月06日 16時16分02秒 | えいこう語る
1月6日、生まれて初の寒修行に参加した。
寒修行とは、私の地域では檀家のおばさんたちが、担当地域の家々を回り『南無阿弥陀仏』を唱え、お布施をいただいて歩く、お正月恒例の行事だ。
男性の私が参加するのは、たぶん村始まってのことに違いない。私はお寺の役員として、一度寒修行の実態を体験しておきたかったからだ。
午前8時30分。寒村に打ち鳴らす鐘の音が響き渡る。その鐘の音を待っていたかのように、突然雪が降ってきた。
最初の家は昨年亡くなった、私の寺の役員、Kさんの家だ。
頑固一徹の無口な漁師だったが、お寺参りには、たくさんの魚を寄贈してくれた方だ。私はお寺を代表し、感謝の弔辞を述べさせていただいた。
きっとそのお礼に、雪を舞わせてくれたに違いないと、出発時点から胸に熱いものがこみ上げてきた。
お釈迦様の言うように、どの家も死者を送り出さない家など無いのだと言うのを、あらためて実感する。
4日の夜、いつもの酒友が集まり新年会があった。
一人暮らしの民謡名人Sさんの、祝いの歌で盛り上がる。
Sさんも高齢なので、その時が来た時、たぶん弔辞を上げてくれるような友達もいないはずだ。
正月のお目出度い酒の席である。
「私が民謡のお礼に、弔辞を上げさせていただきますよ」と言ったら「君たのむよ」と、素直に喜んでくれた。
その目には光るものが溢れていた。
そんな事も思い出しながら、高齢化する地域の人たちが、元気で一年を過ごしてほしいと、一身に鐘をたたいた初の寒修行だった。