夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

体育祭

2012-09-26 18:41:36 | 日記
今日は本校の体育祭。雲一つない快晴で、まさにスポーツ日和の1日だった。こういう行事のときは、ふだん教室で見られない、生徒たちの生き生きとした表情が見られるのが心楽しい。

私の担任するクラスの生徒たちは、どの競技にも真剣に取り組み、手を抜いたり、ズルをしたりは決してしないのが見ていてえらいと思った。また、普段からとても仲がよく、委員長も、昨日の予行で誰がどの種目に出るかなどをきちんと指示したりしていたので、そういうクラスとしてのまとまりもあって、学年3位という好結果につながったのだと思う。

閉会式で、委員長たちが呼ばれて、校長先生から賞状を手渡され、賞品のジュースの入った箱などを受け取って喜んでいる様子を見ていると、私のほうまで嬉しくなってしまった。

今日の学級日誌に、日直が書いていたのだが、最後の種目となったクラス選抜リレーでは、アンカーのM君がゴールするまで、クラス全員で応援していたのだとか。「クラス全員で勝ち取った3位です」とあるのを見て、なんだか胸が熱くなった。

こういうスポーツ行事のときには、入賞したら「おめでとう」、逃しても「残念だったね」という気持ちで、担任からジュースを用意しておくのだが、今日は「おめでとう」のほうになってよかった。

保護者の方にもこの喜びを分かち合ってほしくて、さきほど学級通信を作った(明日配布予定)。写真をいっぱい載せたので、平日のため来られなかった方にも、少しは体育祭の雰囲気を味わっていただけると思う。

「おおかみこどもの雨と雪」(その4)

2012-09-25 18:36:28 | 映画
初めての冬。ある日起きると、外は一面の雪。こどもたちは大喜びで、雪に覆われた山を駆け回る。

翌年、雪は町の小学校に入学して、スクールバスで通い始める。入学式の日こそ、雪は大勢の人間に囲まれるのは初めてで怖がっていたが、すぐに慣れて、元気に学校に通うようになる。一方花は、以前から貯金を切り崩しての生活が不安で、現金収入が得られる仕事に就かなければいけないと思っていたが、この地域の山や自然のことをもっと知るために、自然観察員を志すようになる。

ある日、雪は学校で衝撃を受ける。友達と外で遊んでいて、たわむれにアオダイショウを腕に巻き付けて引かれ、宝物の見せっこをしていて、小動物の死骸などがたくさん入った箱を得意げに見せて友達が悲鳴を上げ……。雪はこれからはおしとやかにしなければならないと決心する。

翌年、雨も小学校に入学するが、勉強にも運動にも積極的な雪と違い、おとなしく気弱な性格のため、さっそく上級生に目をつけられていじめられ、姉の雪に助けられたりしている。その後も登校したり、ズルして休んだりで、友達もなく、なかなか学校になじめずにいるようだ。

数年後。雪のクラスに転校生の草平がやって来るが、草平は雪に近づくなり、「獣くさい…。君んち犬飼ってるの?」。ショックを受けた雪が、草平を避けようとすると、草平は「オレが何かしたか?」としつこくつきまとい、雪は思わずオオカミの本性を蘇らせ、草平を傷つけてしまう。草平の耳に痕が残るほどのケガを負わせてしまった雪は、もう絶対にオオカミには戻らないと決心する。

一方、雨は山で老オオカミと出会い、「先生」と呼んで慕い、学校よりも山で過ごす方が多くなっていく。「先生」は、この辺り一帯の山を治める主で、雨に狩りの仕方や山、谷の地形、天気の読み方など、オオカミとして生きる知恵の全てを教えてくれる。

この頃から雪と雨はオオカミとして生きるか、人間として生きるかで対立するようになり、ある日オオカミの姿で、家の中で本気でケンカをしてしまう。以前は姉に、川に転落して救ってもらったり、いじめられて助けられたりしていた雨だったはずなのに、今は力で姉を圧倒し、もう敵わないことを知った雪はふさぎこんでしまう。

その様子を見た花も、思い悩む。ここに来たそもそものきっかけは、こどもたちにオオカミでも人間でも、どちらの生き方を選んでもよいように、と思って来たはず。望んでいたことのはずなのに、なんでこんなに不安なんだろう。


「おおかみこどもの雨と雪」(その3)

2012-09-24 17:32:26 | 映画
花たちが引っ越したのは、彼の故郷の田舎の村。(立山連峰やみくりが池らしい場所が出てきたので、富山県だと思う)。空き家に住む人を町役場で募集していたのに、花が申し込んだらしい。

山の中の村はずれにある古民家は、電気や水はあるが、家の中は荒れ放題。雪は家も庭も広いのに大喜びするが、雨は「もう帰ろうよ…」と元気をなくしている。

古く大きな家は、荒れるに任されたままで、修繕だけでも大変で、雨が降ると家の中は雨漏りだらけ。畑はあるが作物はすぐに野生動物が食い荒らしてしまうので、この家には誰も住み着かなかったのだという。村人は、都会から来た花たちも、すぐに音を上げて逃げ出すのではないか、と冷ややかな目で見ている。

花が毎日修繕と掃除を繰り返したおかげで、家はようやく人が住める環境になってくる。花は村に来る巡回図書館で本を借り、畑作りを始めるが、種から作った野菜は、実る前に枯れていたり、病気になってしまったり。田舎での暮らしにすっかり適応した雪も、さすがに心配になり、「私たちこれからどうなるの?」と、食べるものもなくなる不安を口にする。

しかし、そんな花たちを見かねて、村にいる韮崎のおじいさんが助け船を出しにきてくれる。おじいさんは、ぶっきらぼうな言い方ではあるが、「土からやり直すんだ。枯れ草を鋤き込めば、肥料はいらん。畝を作れ、もっと間を開けて、もっと広く。」などと、的確な助言をしてくれる。花は夏の炎天下、一日中畑を耕し続ける。

花の畑には、韮崎のおじいさんだけでなく、村の他のおじさんやおばさんたちもやって来て、栽培の仕方を教えてくれるようになる。「決して住みよい土地じゃないから、助け合っていかなければいけないんだ。」秋になり、花の畑のジャガイモは大量の収穫。村人たちに、お世話になったお礼とお裾分けすると、そのお返しに大根やお米をたくさんもらう。花は、人目を避けてここにやって来たはずなのに、今では大勢の人にお世話になり、助け合って生きていることに感謝する。

「おおかみこどもの雨と雪」(その2)

2012-09-23 23:20:41 | 映画
花が部屋に帰って来て泣き明かしながら見た夢に、生前のままの彼が現れる。
「こどもたちを頼むよ」
彼はそう言ったように聞こえた。

花の子育ては、悪戦苦闘の日々。雪は怒ったりぐずったりするとすぐ、毛を逆立ててオオカミの姿になってしまう。大学は子育てのため休学し、アルバイトもやめざるをえなくなり、彼の残した貯金でなんとか暮らしている。

子育ても、誰にも相談するわけにもいかず、人間のこどもの分と、オオカミのこどもの分と、両方勉強しながら必死で二人の子の面倒を見ているが、花はみるみるうちに憔悴していく。こどもたちも、オオカミとしての生き方か、人間としての生き方をとるか、迷っているように見えた。

困るのは病気のとき。雪が誤ってシリカゲルを飲んでしまったときなど、小児科に行くか、動物病院に行くかで迷って、双方に病状を問い合わせているうちに、雪が回復してしまったこともあった。

こどもたちは、いつオオカミの姿になるかもわからないので、花は外出も憚られ、外に出てもママ友の輪にも入れない。夜泣きの絶えない雨に、隣人が苦情を言ってきたり、雪の遠吠えの癖のせいで、大家がペットを飼っていると誤解し、「このままだったら出て行ってもらいますよ。」と脅されたり。あるときは、地域の児童相談所から相談員がやって来て、「お子さんに定期検診や予防接種をまったく受けさせていませんね。お話を聞かせてもらえませんか?」と言われてしまったり。花はしだいに追い詰められていく。

ある日、花はこどもたちに尋ねる。
「ねえ、これからどうしたい?引っ越そうか?人間か、オオカミか、どちらでも選べるように。」

「おおかみこどもの雨と雪」(その1)

2012-09-22 21:48:47 | 映画
あらすじ

「おとぎ話みたいだって、笑われるかもしれません。そんな不思議なこと、あるわけないって。でもこれは、確かに私の母の物語だったのです。…母の好きになった人は、おおかみおとこでした。」

主人公の花は、東京の外れにある国立大学(おそらく一橋大学)の学生。苦学生で、バイトをかけもちしながら勉強している。

初夏の頃、花は講義室の窓際の席に、他の学生とはまったく雰囲気の違う男を見かける。彼は、襟の伸びたTシャツを着て、教科書も持たず、ひたすら熱心にノートをとっていた。

講義が終わった後で、彼が出席票を出していないのに気づいた花が、廊下で呼び止めると、彼は、
「オレ、ここの学生じゃないから。目障りなら、もう来ない。」
「あの講義は、教科書がないと難しいですよ。よかったら、一緒に見ませんか?」

やがて、二人は講義室で並んで授業を受けるようになり、その後は図書館で本を読んだり、一緒に帰ったりするようになる。そして、自然に付き合うようになる。

クリスマスの夜、いつものように喫茶店の「白十字」の前で待ち合わせするが、閉店時間を過ぎても、彼はやって来ない。深夜になってようやく現れた彼は、難しい顔で、
「花に言っておかなければならないことがある。」
と言い、自分の正体を打ち明ける。

彼は、100年前に滅びたニホンオオカミの末裔で、祖先が人間と交わり、オオカミ族となって生き延びてきたのだという。成人した彼は、オオカミでなく人間として生きていく道を選び、田舎で運転免許を取り、東京に出てきて、今は引っ越しの手伝いの仕事をして暮らしている。

二人は同棲を始め、やがて花は妊娠。しかし花は、病院には行かず、本で勉強しながら自宅で出産する道を選ぶ。もし生まれてくるのがオオカミのこどもだったら、病院で周りの人を驚かせ、迷惑をかけてしまう、という理由だった。

雪の降る日に生まれた女の子は「雪」と名づけられ、翌年生まれた弟は、雨の降る日だったので「雨」という名になる。

そのころ、彼の姿が急に見えなくなる。ある日、ドアの前に食品と彼の財布の入ったスーパーのレジ袋が置いてあり、不思議に思った花が、あたりを探しに行くと、近くの川で、彼がオオカミの姿で死んでいた。産後の花に、何か滋養のあるものでも食べさせようと狩りをしようとして事故に遭ったのかもしれない。彼の死体が、ゴミ処理業者の手によって収集車に投げ込まれるのを見て、花は号泣してしまう。