夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「ブログはじめました」

2012-09-05 13:36:53 | 日記
今日、1年生のクラスで古文の授業をし、『徒然草』序段を教えた。

みなさんご存じの、「つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、~」というヤツである。

型のごとく、作者・作品の説明から、文法事項や内容について質問・板書・作業指示・説明し終えたところで、残り時間がなくなった。

宿題として、語句の意味調べと口語訳をやってくるよう指示し、机間巡視しながら、みんなちゃんとノート書いたかな、と点検していると、口語訳のスペースに、すでに何かを書いている生徒がいる。

「?」

と思ってのぞき込むと、

「ブログはじめました」

と書いてある。

「おまえは何を書いてるんだ!?」

と注意しつつ、思わず大笑いしてしまった。

確かに、そんな感じの文章だよなあ。兼好法師が現代に生まれていたとしたら、きっとmyブログを書いていただろうと思う。

清少納言の『枕草子』は、中宮定子サロンの公開ブログみたいなものだという人もいるし、鴨長明の時代にブログがあったら、きっと方丈庵の日常を毎日記事更新していただろうという人もいる。

そういえば、現在では、ブログのタイトルに「○○のつれづれ日記」とか「○○つれづれ」と名付ける人も多い。

清水義範さんが、『身もフタもない日本文学史』(PHP新書)の中で、兼好法師の『徒然草』は、日本人がエッセイを書くときの文体や記述態度を定めた、というようなことを書いていた。清水さんによれば、昔の貴族たちの和歌のやりとりは現代のメールで、随筆や日記はブログ、物語はケータイ小説なんだ、と言っていたと思う。そして、日本文学の伝統の力はすごいということを強調しておられた。

私が教える以上に、生徒がハートで古典の本質をつかんでいることもある。そんなことを感じた今日の授業だった。

今回の画像は、教科書にも出てくる『徒然草画帖』のもの。ここに描かれた状景について生徒に説明させたら、珍解釈が次々に出てきて、楽しかった。