夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「おおかみこどもの雨と雪」(その3)

2012-09-24 17:32:26 | 映画
花たちが引っ越したのは、彼の故郷の田舎の村。(立山連峰やみくりが池らしい場所が出てきたので、富山県だと思う)。空き家に住む人を町役場で募集していたのに、花が申し込んだらしい。

山の中の村はずれにある古民家は、電気や水はあるが、家の中は荒れ放題。雪は家も庭も広いのに大喜びするが、雨は「もう帰ろうよ…」と元気をなくしている。

古く大きな家は、荒れるに任されたままで、修繕だけでも大変で、雨が降ると家の中は雨漏りだらけ。畑はあるが作物はすぐに野生動物が食い荒らしてしまうので、この家には誰も住み着かなかったのだという。村人は、都会から来た花たちも、すぐに音を上げて逃げ出すのではないか、と冷ややかな目で見ている。

花が毎日修繕と掃除を繰り返したおかげで、家はようやく人が住める環境になってくる。花は村に来る巡回図書館で本を借り、畑作りを始めるが、種から作った野菜は、実る前に枯れていたり、病気になってしまったり。田舎での暮らしにすっかり適応した雪も、さすがに心配になり、「私たちこれからどうなるの?」と、食べるものもなくなる不安を口にする。

しかし、そんな花たちを見かねて、村にいる韮崎のおじいさんが助け船を出しにきてくれる。おじいさんは、ぶっきらぼうな言い方ではあるが、「土からやり直すんだ。枯れ草を鋤き込めば、肥料はいらん。畝を作れ、もっと間を開けて、もっと広く。」などと、的確な助言をしてくれる。花は夏の炎天下、一日中畑を耕し続ける。

花の畑には、韮崎のおじいさんだけでなく、村の他のおじさんやおばさんたちもやって来て、栽培の仕方を教えてくれるようになる。「決して住みよい土地じゃないから、助け合っていかなければいけないんだ。」秋になり、花の畑のジャガイモは大量の収穫。村人たちに、お世話になったお礼とお裾分けすると、そのお返しに大根やお米をたくさんもらう。花は、人目を避けてここにやって来たはずなのに、今では大勢の人にお世話になり、助け合って生きていることに感謝する。