夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「県庁の星」

2012-09-14 23:17:27 | 映画
このところ毎日、生徒の読書感想文を読んでは添削し、コメントをつけて返却している。その中に小説「県庁の星」で書いたものがあったので、つい映画の方を思い出してしまった。

高梁市がロケ地になったことでも話題を集めた映画「県庁の星」(2005)。私もそのころ観に行ったのだが、とても面白くてためになる映画だった。

県庁内での出世しか頭にない、嫌味なキャリア公務員の野村(織田裕二)が、突然、民間企業との人事交流研修のメンバーとして地元のスーパーに派遣され、挫折も経験するが、彼の教育係のパート店員・二宮あき(柴咲コウ)たちの協力を得て、つぶれかかったスーパーを立て直し、その中で真の公務員としての使命に目覚めるという話だった。

私がこの映画で最も感銘を受けたのは、主人公が自分の持てる力の全て(知識・スキル・情熱など)を注いでスーパーを再生させ、そこで働く人々を助けようとするところだった。男が本気で仕事をする凄さが伝わってきた。

もう一つ、私が強く感じたのは、大学での勉強は社会に出て役に立つ、ということだ。主人公の野村は、学校の成績は常に一番、県庁へもトップで入ったという設定だが、彼の法律や経営についての専門知識、情報処理能力、企画立案・文書作成能力などは、やはり大学で真剣に学び、働きだしてからも仕事の質を高めるために勉強を続けてきた人でないと身に付かないものだと感じた。

自分の生活の安定を求めるためだけに働くのは間違っている。男子たるもの、自分が大学で学んできたことを仕事に活かし、社会に奉仕することに生き甲斐を覚えるようでなくてはならない。改めて、そんなことを考えさせる映画だった。小説も映画も、生徒にすすめてみようと思っている。