夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「おおかみこどもの雨と雪」(その4)

2012-09-25 18:36:28 | 映画
初めての冬。ある日起きると、外は一面の雪。こどもたちは大喜びで、雪に覆われた山を駆け回る。

翌年、雪は町の小学校に入学して、スクールバスで通い始める。入学式の日こそ、雪は大勢の人間に囲まれるのは初めてで怖がっていたが、すぐに慣れて、元気に学校に通うようになる。一方花は、以前から貯金を切り崩しての生活が不安で、現金収入が得られる仕事に就かなければいけないと思っていたが、この地域の山や自然のことをもっと知るために、自然観察員を志すようになる。

ある日、雪は学校で衝撃を受ける。友達と外で遊んでいて、たわむれにアオダイショウを腕に巻き付けて引かれ、宝物の見せっこをしていて、小動物の死骸などがたくさん入った箱を得意げに見せて友達が悲鳴を上げ……。雪はこれからはおしとやかにしなければならないと決心する。

翌年、雨も小学校に入学するが、勉強にも運動にも積極的な雪と違い、おとなしく気弱な性格のため、さっそく上級生に目をつけられていじめられ、姉の雪に助けられたりしている。その後も登校したり、ズルして休んだりで、友達もなく、なかなか学校になじめずにいるようだ。

数年後。雪のクラスに転校生の草平がやって来るが、草平は雪に近づくなり、「獣くさい…。君んち犬飼ってるの?」。ショックを受けた雪が、草平を避けようとすると、草平は「オレが何かしたか?」としつこくつきまとい、雪は思わずオオカミの本性を蘇らせ、草平を傷つけてしまう。草平の耳に痕が残るほどのケガを負わせてしまった雪は、もう絶対にオオカミには戻らないと決心する。

一方、雨は山で老オオカミと出会い、「先生」と呼んで慕い、学校よりも山で過ごす方が多くなっていく。「先生」は、この辺り一帯の山を治める主で、雨に狩りの仕方や山、谷の地形、天気の読み方など、オオカミとして生きる知恵の全てを教えてくれる。

この頃から雪と雨はオオカミとして生きるか、人間として生きるかで対立するようになり、ある日オオカミの姿で、家の中で本気でケンカをしてしまう。以前は姉に、川に転落して救ってもらったり、いじめられて助けられたりしていた雨だったはずなのに、今は力で姉を圧倒し、もう敵わないことを知った雪はふさぎこんでしまう。

その様子を見た花も、思い悩む。ここに来たそもそものきっかけは、こどもたちにオオカミでも人間でも、どちらの生き方を選んでもよいように、と思って来たはず。望んでいたことのはずなのに、なんでこんなに不安なんだろう。