夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「ベティ・ブルー~愛と激情の日々~」(その1)

2012-09-16 16:38:35 | 映画
あらすじ

1987年のフランス映画。今回の上映は、その25周年デジタル・リマスター版。

「嵐の前触れだった」
「彼女は特別な感性を持つ奇妙な花だった」

野性的な女性を愛して、嵐のような日々に巻き込まれた男の話。

海辺の村のバンガローハウスで暮らす修理工の男・ゾルグ(35歳)のもとに、ある日いきなりベティという少女(19歳)が訪ねてくる。1年も勤めていた店から逃げだし、住むところもないという彼女に同情して、一緒に暮らすことにするが、2人はたちまち激しい恋に落ちる。ベティはある日、ゾルグが以前書いていた小説のノートを発見して読みふけり、以後、彼が必ず小説家として成功すると思い込む。

ベティは美しく魅力的な女性だったが、子供のまま大きくなってしまったようなところがあり、1たび激すると、自分の感情や行動を制御することができなくなる。

家主が、ベティとの同棲を見逃す代わり、他のバンガローハウス全部(500棟!)のペンキ塗りを命じたときには、家主のベンツにピンクのペンキをぶちまける。2人は次に、ベティの親戚のリザの家に転がり込み、リザの彼氏・エディが経営するピザ・レストランで働かせてもらうことになるが、ベティは客と口論していてカッとなり、フォークを突き立ててしまう。また、エディの小説を酷評して送り返してきた作家の自宅に押しかけて文句を言い、櫛で顔を切りつける。

ある日、ベティが妊娠したと告げ、ゾルグと大喜びしたのもつかの間、病院で正式に検査を受けると「陰性」との結果が。ベティはこの頃から次第に、精神に変調をきたしていく。睡眠薬の量が増え、「頭の中で声がしたの。変になりそう。もうたくさん」とゾルグに訴える。ゾルグがある日家に帰ると、家の中が血だらけになっていた。ベティが錯乱し、片目をえぐり、病院に運ばれたらしい。幸い、命に別状はなかったものの、ベティの精神状態は回復しないまま、退院させてもらえない日々が続く。

その頃、出版社からゾルグに電話があり、君の小説を本にしたいという。ゾルグが病院に喜びの報告に行くと、ベティがベッドに縛りつけられている。担当の医師は、「ベティのショック状態は重症で、どうなるかわからない」という。また、ベティが暴れないように薬漬けにされていることにゾルグは抗議し、家に連れて帰ると主張するが、医師達とトラブルになった挙げ句、「2度と来るな」と病院を追い出されてしまう。

ゾルグには、愛するベティが生ける屍になっていることが耐えられない。雨の夜、ゾルグは他人になりすまして病室に忍び込み、眠っているベティの顔を枕で強く押さえつける。「ベティ、いつでも一緒だ。誰もぼくらを引き離せはしない」。

映画は、ゾルグがベティと過ごした嵐のような日々を思い出しつつ、2作目の小説を書き上げようとしているところで終わる。