夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「おおかみこどもの雨と雪」(その1)

2012-09-22 21:48:47 | 映画
あらすじ

「おとぎ話みたいだって、笑われるかもしれません。そんな不思議なこと、あるわけないって。でもこれは、確かに私の母の物語だったのです。…母の好きになった人は、おおかみおとこでした。」

主人公の花は、東京の外れにある国立大学(おそらく一橋大学)の学生。苦学生で、バイトをかけもちしながら勉強している。

初夏の頃、花は講義室の窓際の席に、他の学生とはまったく雰囲気の違う男を見かける。彼は、襟の伸びたTシャツを着て、教科書も持たず、ひたすら熱心にノートをとっていた。

講義が終わった後で、彼が出席票を出していないのに気づいた花が、廊下で呼び止めると、彼は、
「オレ、ここの学生じゃないから。目障りなら、もう来ない。」
「あの講義は、教科書がないと難しいですよ。よかったら、一緒に見ませんか?」

やがて、二人は講義室で並んで授業を受けるようになり、その後は図書館で本を読んだり、一緒に帰ったりするようになる。そして、自然に付き合うようになる。

クリスマスの夜、いつものように喫茶店の「白十字」の前で待ち合わせするが、閉店時間を過ぎても、彼はやって来ない。深夜になってようやく現れた彼は、難しい顔で、
「花に言っておかなければならないことがある。」
と言い、自分の正体を打ち明ける。

彼は、100年前に滅びたニホンオオカミの末裔で、祖先が人間と交わり、オオカミ族となって生き延びてきたのだという。成人した彼は、オオカミでなく人間として生きていく道を選び、田舎で運転免許を取り、東京に出てきて、今は引っ越しの手伝いの仕事をして暮らしている。

二人は同棲を始め、やがて花は妊娠。しかし花は、病院には行かず、本で勉強しながら自宅で出産する道を選ぶ。もし生まれてくるのがオオカミのこどもだったら、病院で周りの人を驚かせ、迷惑をかけてしまう、という理由だった。

雪の降る日に生まれた女の子は「雪」と名づけられ、翌年生まれた弟は、雨の降る日だったので「雨」という名になる。

そのころ、彼の姿が急に見えなくなる。ある日、ドアの前に食品と彼の財布の入ったスーパーのレジ袋が置いてあり、不思議に思った花が、あたりを探しに行くと、近くの川で、彼がオオカミの姿で死んでいた。産後の花に、何か滋養のあるものでも食べさせようと狩りをしようとして事故に遭ったのかもしれない。彼の死体が、ゴミ処理業者の手によって収集車に投げ込まれるのを見て、花は号泣してしまう。