夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

中秋の名月

2012-09-30 20:20:29 | 日記
台風が思いのほか早く過ぎ去ってくれたので、今日の朝まではあきらめていた中秋の名月を見ることができた。

外出の後で、旭川に沿って帰って来ると、夜空に浮かぶ満月もそうだが、川面に月の光が映っているのが、宝石のかけらを敷きつめたようで、とてもきれいに見えた。

  川面には玉と見えつつ吹く風にくだけて寄する秋の月波


『後撰集』撰者の一人、源順(みなもとのしたごう)に、
  水の面(おも)に照る月なみをかぞふれば今宵ぞ秋の最中(もなか)なりける
という歌がある。「月なみ」は「月波」(月の姿を映した池の水面の波)の意味と、「月次」(月の順序)の意味を掛けている。陰暦八月十五夜は、三月ある秋(七・八・九月が秋)の最中にあたるので、こう詠んだもの。

この歌を思い出して作ってみたのだが、あやしの腰折れ歌になってしまった。