テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

扉の奥には?

2009-12-18 23:01:15 | ブックス
 寒いの嫌ですっ! ハワイって暖かいのよね?小笠原もね?と
 現実逃避に走りたくなるネーさです。こんにちは。

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 むゥ~んッ? たしかにィ、さむいィかもッ!」

 こうなったら、んもぉ本格的に逃避いたしましょうっ!
 第20回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したこの御本の世界へ、
 さあ、どうぞ~!


 
                ―― 天使の歩廊 ――



 著者は中村弦さん、’08年11月に発行されました。
 『ある建築家をめぐる物語』と副題が付されています。

「ふむふむッ、けんちくかさんッ♪
 たのしィそうなァ、ごしょくぎょうッ、でスねッ!」

 テディちゃ、建築を甘く見てはいけませんわ。
 建築という分野には、魔がひそんでいるのです。

「まッ?
 まもののォ、まッ、でスかァ??」 (←ちょこっとビビリましたか?)

 そうです、魔物の魔、魔界の魔、ですよ。
 分かりやすい例を挙げれば……ルートヴィヒ2世さん、かしら。
 お城造り――城郭建築にのめり込んだ王さまは、
 バイエルン王国の国庫を空っぽにしてしまいました。
 戦争にも敗れ、
 政治力を失って退位を余儀なくされた王さまは、
 若くして亡くなります……。

「あうゥッ、おそろしィ……!」

 魔が棲む領域――建築。
 では、この御本の主人公、建築家の笠井泉二(かさい・せんじ)さんは
 悪の手先のような存在なのでしょうか……?

 いえ、それが。
 笠井さんが設計を手掛けた建物は、
 不思議と依頼人から愛され、
 大切にされるのでした。
 世間には笠井さんの悪口をいう者もいるのですが、
 依頼人さんはそうは思っていない模様です。
 私の願っていた通りの、いや、それ以上の、
 素晴らしい建物を造ってくれた……
 この地球上にふたつとない、私だけの、この世界、この空間……。

 まるで、破滅とは別の線上に、
 笠井さんの建築が在るかのように。

「むふゥ?
 へんてこォけんちくかさんッ、でスかァ~」

 笠井泉二とは《何者》なのか?
 彼の建築とは、いったい《何》なのか?

 ミステリアスな物語は時間と時代を行きつ戻りつしながら、
 『ある建築家』の素顔を追ってゆきます。
 明治、大正の日本に、
 ぽつり、ぽつり、と生まれいずる異風の建築物が持つ意味とは――

 中村豪志さんの美しい装画は、
 夢の建築への扉を想わせてブラヴォー!
 そして、夢の建築を紙の上につなぎとめる
 著者・中村弦さんの筆にも拍手を!
 ミステリ好きさん、
 歴史小説好きさんにも、おすすめの御本ですよ~!

「けんちくはァ、るいす・きゃろるもォまッさおのォ、
 わんだァーらんどォでスゥ!」

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