テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ どうぶつ百姿 ~

2024-09-09 22:03:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あれれッ? きゃくせきィ、がらがらァ~なのでスよゥ?」

「がるる!ぐる~??」(←訳:虎です!なぜ~??)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大谷翔平さんがめでたくも46‐46を達成した

 現地時間9月8日のドジャースタジアムは、

 華氏103度(およそ39.4℃)……!

 米国西海岸も猛暑なのね~と嘆息しながら、

 さあ、¨重陽の節句¨の日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 作家とけもの ――

 

 

 編者は野村麻里(のむら・まり)さん、

 2024年2月に発行されました。

 《動物》をテーマにしたアンソロジー作品です。

 

「わおォ! はばひろォ~いィ!」

「ぐるーるがるるる!」(←訳:ユニークなのです!)

 

 ええ、この御本に収録されているのは29作品、

 その著者さんたちの顔触れに唸らされます。

 

 正岡子規さん、

 吉家信子さん、

 田中小実昌さん、

 團伊玖磨さん、

 南方熊楠さん、

 金子みすゞさん、

 須賀敦子さん、

 朝永振一郎さん……

 

 と、いかにも動物について

 熱心に筆を揮いそうな御方もいれば、

 ノーベル賞を受賞した物理学者・朝永さんも。

 

 しかし、正直に言ってしまいますと、

 練り上げられたプロの著述家さんの作品を

 霞ませてしまうほど、

 鳥肌が立ったのは、

 

 澤田喜子さん著『動物園をおそう悲劇』。

 

「むかしばなしィ、じゃないィのでス!」

「がるるるるぐるるる!」(←訳:他人事でもないんだ!)

 

 著者・澤田さん(1918~2004)は、

 1940年から1982年まで

 上野動物園に勤務した動物園職員さんです。

 

 澤田さんがまだ新人職員だった昭和18年(1943年)8月、

 東京都長官から動物園に命令が出されました。

 猛獣の処分をするように、と。

 

 或る朝、出勤した澤田さんに、

 先輩職員さんは、

 もうみんなに会えなくなるかもしれないから、

 ゾウたちと記念写真を撮ろう、と誘います。

 

 澤田さんは問いました。

 ゾウたちを疎開させるんですか?

 

 返ってきた答えは……。

 

「にどとォ、だめェでス!」

「ぐるるるるぅがるるる!」(←訳:繰り返しちゃいけない!)

 

 戦争が動物たちに何をしたか。

 よく知られた話ではありますが、

 現在の世界情勢を見るにつけ、

 過去のことだと言い切れなくなってきます。

 

 そして、もう一編、

 読み手を打ちのめすほどに

 切々と哀しいのは、

 

 立原道造さん著『もし鳥だつたなら』。

 

「しじんさんッ、でスねッ!」

「がるるるるぐるがっるる!」(←訳:建築家さんでもあったよ!)

 

 結核のため、24歳で旅立った立原さんの、

 夢のような、

 慟哭のような

 一期の歌。

 

 動物好きな活字マニアさんに、

 詩歌好きな方々にも

 おすすめのアンソロジー作品です。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする