「こんにちわッ、テディちゃでス!
きがつけばァ~しんがッきィ?」
「がるる!ぐるがるぐる~!」(←訳:虎です!9月だよねえ~!)
こんにちは、ネーさです。
台風との闘いにアタフタしているうちに、
ハッと気付けば9月じゃありませんか。
慌てて手帳の予定欄を確認しながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪
―― 大江戸恋情本繁盛記 ――
著者は ゆうき りん さん、2024年3月に発行されました。
『How to Reiwa editor girl made a best seller book in the Edo period』
と英語題名が、
『天の地本』と日本語副題が付されています。
「どッかァ~んッ!」
「ぐるるっるぅ~る!」(←訳:がらがっしゃ~ん!)
物語開幕の合図は、おそらく↑こんな音だったでしょうか。
文政十一年(1828年)の、晩夏のこと。
突如、雲もないのに天がカッと白く輝き、
凄まじい雷鳴が轟いて、
お江戸の街角に雷さまが落っこちてきました!
「ちがいまスゥ!」
「がるるるるぐぅるるがる!」(←訳:カミナリ様じゃないです!)
あら、ホントですね。
どこからともなく現われたのは、
人間……のよう、なんです、けど……
摩訶不思議な外観をしています。
この時代にはあり得ないほど
髪の毛が短くて、色も明るい?
袖なしの上着に、筒袴?
草履ではなく、沓(くつ)を履いている?
「みなさんッ、びッくりィ~!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:するよね普通は!)
実を申せば。
雷鳴とともに降ってきたのは、
紛れもなく21世紀――令和の日本に生まれ、
出版社にお勤めしている
小桜天(こざくら・そら)さん。
そして、
これ、どうなってるの?
と、見慣れぬ景色に度肝を抜かれ、
呆然としているうち、
番屋のお爺さんが彼女に突きつけたのは、
刺叉(さすまた)。
これがピンチでなくて何でしょう?
「へるぷゥ~!」
「がるる~!」(←訳:助けて~!)
天さんを窮地から救い出してくれたのは、
通りがかりの、お武家さまでした。
遠野の旦那、と番屋のお爺さんに呼ばれる、
謎めいたお武家さまに、
信頼できる女性を紹介してもらった天さんは、
程なく、自分の身に起きた出来事を知ります。
すなわち……
異世界転生!
「ぼふッ!」
「ぐるるるぅ?」(←訳:そうなのぉ?)
天さんの解釈は、まあ仕方ないですね。
20世紀のSFだったら、
タイムトリップしちゃったんだ、わたし!
となるところですけれど、
今は21世紀。
勤務している出版社さんのヒット作が
《異世界転生》モノである天さんの場合、
ここは異世界なんだ!
って考えてしまうのは、
”編集者あるある”なのかもしれません。
しかし、困ったことに。
天さん、
勇者でもエルフでも魔法使いでもなく。
開け、と念じても、
ステータスウィンドウは宙空に出現せず。
……どうやら、
自分ひとりのチカラで、
この異世界を生きてゆかねばならない、らしい?
そうはいっても、
わたしに出来ることって……
出来ること……出来るのは……。
「あはァ!」
「がっる!」(←訳:あった!)
時代は、文政(1818~1830)。
ええ、そうです、
かの北斎さん、現役です!
バリバリ描いちゃってます!
喜多川歌麿さんは残念ながら亡くなっておられますが、
歌川広重さん、十返舎一九さん、それに
曲亭馬琴さんも御存命ですよ!
日本史上最盛期とさえ言える、
文政期の出版世界へ、
天さん、引き寄せられるように
飛び込んでゆきますが――
「ふァいッ、そこまでェ~!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ネタバレ厳禁!)
天さんの異世界生活、いえ、
お江戸生活は、どうなる?
シリアスとコメディが混在する
文政×令和の《転生》譚は、
SF好きな活字マニアさんに、
シャレが分かる歴史好きさんにもおすすめですよ。
江戸アート好きな方々も、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪