テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 樹座、その熱狂の日々 ~

2024-09-13 22:03:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うむむゥ! れんきゅうゥ~なのでス!」

「がるる!ぐるがるぐるる!」(←訳:虎です!でも油断すまじ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 晴天から豪雨!という、お天気の急変が続いていますね。

 お出掛け時も在宅時も、

 雨雲レーダーでお天気の変化をこまめにチェックしたら、

 さあ、本日の読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 遠藤周作と劇団樹座の三十年 ――

 

 

 著者は宮部尚(みやべ・なお)さん、

 2024年7月に発行されました。

 『Japan's Best Amateur Theatrical Group KIZA』

 と英語題名が付されています。

 

「ふァ? きざッ??」

「ぐる……がるる?」(←訳:きざ……だよね?)

 

 ええ、そうです、

 『樹座』と書いて、『きざ』。

 

 劇団の名前としては変わっていますけれど、

 一度耳にしたら忘れない名前、でもありますね。

 

 劇団樹座を立ち上げたのは、

 作家の遠藤周作さん(1923~1996)。

 

 『沈黙』『海と毒薬』他、代表的な著作は、

 ローマ法王庁でもよく知られているというほどの、

 昭和の偉大なる文豪さんです。

 

 そんな名作家さんが創ったのだから、

 樹座はきっと、ガチガチの正統派で大真面目な

 ストレートプレイ劇団だったことだろう、と

 想像するのも無理はありません、が。

 

「……もしかしてェ?」

「がるる??」(←訳:違うの??)

 

 素人劇団。

 

 いえ、言い直しましょう、

 華麗なる素人劇団!

 

 遠藤さんが率いる劇団樹座で演じられたのは、

 『ロミオとジュリエット』『ハムレット』

 『夏の夜の夢』『カルメン』……と、

 昔から人気の、特に奇妙な点もない作品でした。

 

 ところが。

 遠藤さんの演出理念が、

 変わりに変わっていたのです。

 

 お芝居の幕ごとに、

 主役を演じる役者さんが交代する。

 

 脇役さんも、同じように、役者さんが交代。

 

「ええェ? それッてェ~??」

「ぐるるるがるぐるる!」(←訳:観ている方は大混乱!)

 

 はい、まさに。

 衣装こそ違え、

 第一幕で主役を演じた役者さんが

 第二幕では脇役や準主役に回り、

 或いは敵方に回ったり。

 第三幕では、また別の役になったり。

 カーテンコールでは、主役の衣装に戻ったり。

 

 観客さんが混乱するのは当然です。

 では、お客さんたちが怒り狂ったかというと、

 まったく逆でした。

 

「みんなァ、おおよろこびィ?」

「がる~!?!」(←訳:なぜ~!?!)

 

 なぜって、

 主役を演じるのは、

 座長の遠藤さんをはじめ、

 北杜夫さん、平岩弓枝さん、

 佐藤愛子さん、山崎陽子さん他、

 ベストセラー作家さんたち。

 

 そこに、オーディションに合格して入団した

 主婦さん、学生さん、銀行マンさん、

 大学の教授さん、といった

 ¨一般市民¨さんたちが加わります。

 

 また、素人役者さんたちとは対極に位置する

 超一流のプロフェッショナルさんも、

 樹座の舞台に参加していました。

 美術や照明は、劇団四季さん。

 バレエの振り付けは、森下洋子さんと清水哲太郎さん。

 松坂慶子さん、名取裕子さんが演出に参加し、

 音楽は黛敏郎さん等々……!

 

「しんじィられないィ!」

「ぐるるるーがる!」(←訳:クレイジーだよ!)

 

 著者の宮部さんは、

 新潮社で遠藤さんの担当をしていた編集者さんでした。

 それが、或る日、遠藤さんが発した一言で

 人生が一変した、といいます。

 

  『君、芝居に出ないか』

 

「むむむむッ!」

「がるるぐるるる~!」(←訳:魅惑の名台詞だ~!)

 

 遠藤さんの途方もない発想に巻き込まれ、

 劇団の屋台骨を担う羽目になった宮部さん。

 はたして、宮部さんが体験した

 樹座での日々とは……?

 

 遠藤周作さんのファンの方々に

 激推し!な一冊です。

 樹座の舞台を御存知の方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

コメント
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