テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 旅路は遠く ~

2024-09-08 22:03:39 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♪るるゥ~♪ここはァ~よこはまァ~♪」

「がるる!ぐるるがるぐる~!」(←訳:虎です!出発の銅鑼だよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 1900年(明治33年)の9月8日、

 夏目漱石さんは横浜港から2年間の英国留学へと出発しました。

 日本の文学史に多大な影響を与えた旅の始まりを祝しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― リラの花咲くけものみち ――

 

 

 著者は藤岡陽子(ふじおか・ようこ)さん、

 2023年7月に発行されました。

 20世紀の幕開けを告げるかのような漱石さんの旅から、

 およそ120年余……

 ここに、ひとりの女の子の

 旅が始まろうとしています。

 

「うわァ、ひろいィ~!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:北海道だもんね!)

 

 北農(ほくのう)大学。

 

 岸本聡里(きしもと・さとり)さんは、

 白樺の並木道で目を丸くしています。

 

 3月の終わりの北海道は、

 ぴりぴりと冷え切った空気で、真冬のよう。

 

 同行している祖母は、

 気持ちの良い場所だと言いますが、

 聡里さんは……

 

「かおいろォ、よくないィでスよゥ?」

「がるる?」(←訳:大丈夫?)

 

 獣医学部で学びたい。

 

 その願いに突き動かされ、

 聡里さんはここ北海道にやって来ました。

 

 白樺の道を辿って、

 大学の寮に着いて、

 同室になった学生さんたちと顔合わせをし、

 家から持ってきた荷物を片付けながら

 聡里さんが思い出すのは、

 愛犬のパールのこと。

 

 小学4年生で母を失くした聡里さん、

 父が再婚した女性とうまくゆかなくて

 家庭内で孤立し、

 不登校になった時期がありました。

 そのとき、聡里さんを支えてくれたのが

 パールの存在。

 

 けれど今、

 パールはいません。

 大好きな祖母も、あと数時間で

 東京の自宅へと帰っていってしまう。

 

 見知らぬ人と、

 見知らぬ土地で、

 たったひとり、始めなければならない。

 新たなくらしを。

 

「うむむゥ~…たいへんなァべんきょうゥ、なのでスゥ……」

「ぐるるがるるるぐるる……!」(←訳:生命と向き合うお仕事……!)

 

 不安と、孤独、重圧。

 祖母をバス停で見送った聡里さんの顔色は

 いよいよ冴えません、が……あらっ?

 

「むむッ?」

「がるぐる!」(←訳:何かいる!)

 

 道端に、茶色い箱が落ちている?

 いえ、箱じゃなくて、

 あれは……。

 

「むくむくゥ?」

「ぐる??」(←訳:毛玉??)

 

 不安の只中、

 聡里さんが見つけた

 小さな希望の灯とは?

 

 名作コミック『動物のお医者さん』や

 『銀の匙 Silver Spoon』が大好き!

 という方々に激おすすめの小説作品です。

 聡里さんの旅路へ、

 ともに皆さまも、ぜひ♪

 

コメント
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