「こんにちわッ、テディちゃでス!
♪るるゥ~♪ここはァ~よこはまァ~♪」
「がるる!ぐるるがるぐる~!」(←訳:虎です!出発の銅鑼だよ~!)
こんにちは、ネーさです。
1900年(明治33年)の9月8日、
夏目漱石さんは横浜港から2年間の英国留学へと出発しました。
日本の文学史に多大な影響を与えた旅の始まりを祝しつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― リラの花咲くけものみち ――
著者は藤岡陽子(ふじおか・ようこ)さん、
2023年7月に発行されました。
20世紀の幕開けを告げるかのような漱石さんの旅から、
およそ120年余……
ここに、ひとりの女の子の
旅が始まろうとしています。
「うわァ、ひろいィ~!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:北海道だもんね!)
北農(ほくのう)大学。
岸本聡里(きしもと・さとり)さんは、
白樺の並木道で目を丸くしています。
3月の終わりの北海道は、
ぴりぴりと冷え切った空気で、真冬のよう。
同行している祖母は、
気持ちの良い場所だと言いますが、
聡里さんは……
「かおいろォ、よくないィでスよゥ?」
「がるる?」(←訳:大丈夫?)
獣医学部で学びたい。
その願いに突き動かされ、
聡里さんはここ北海道にやって来ました。
白樺の道を辿って、
大学の寮に着いて、
同室になった学生さんたちと顔合わせをし、
家から持ってきた荷物を片付けながら
聡里さんが思い出すのは、
愛犬のパールのこと。
小学4年生で母を失くした聡里さん、
父が再婚した女性とうまくゆかなくて
家庭内で孤立し、
不登校になった時期がありました。
そのとき、聡里さんを支えてくれたのが
パールの存在。
けれど今、
パールはいません。
大好きな祖母も、あと数時間で
東京の自宅へと帰っていってしまう。
見知らぬ人と、
見知らぬ土地で、
たったひとり、始めなければならない。
新たなくらしを。
「うむむゥ~…たいへんなァべんきょうゥ、なのでスゥ……」
「ぐるるがるるるぐるる……!」(←訳:生命と向き合うお仕事……!)
不安と、孤独、重圧。
祖母をバス停で見送った聡里さんの顔色は
いよいよ冴えません、が……あらっ?
「むむッ?」
「がるぐる!」(←訳:何かいる!)
道端に、茶色い箱が落ちている?
いえ、箱じゃなくて、
あれは……。
「むくむくゥ?」
「ぐる??」(←訳:毛玉??)
不安の只中、
聡里さんが見つけた
小さな希望の灯とは?
名作コミック『動物のお医者さん』や
『銀の匙 Silver Spoon』が大好き!
という方々に激おすすめの小説作品です。
聡里さんの旅路へ、
ともに皆さまも、ぜひ♪