「こんにちわッ、テディちゃでス!
♪るるゥ~♪さいたァ~さいたァ~♪」
「がるる!ぐるるるがる~♪」(←訳:虎です!銀木犀の花が~♪)
こんにちは、ネーさです。
今朝方、玄関のドアを開けたら……おお、香りが!
ええ、今年も銀木犀の花が咲きましたよ。
秋の香りに包まれて、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― アンソロジー 嘘と約束 ――
著者はアミの会の皆さん、
単行本は2019年に、画像の文庫版は2023年10月に発行されました。
各ジャンルで活躍する女性作家さんたちが集う
『アミの会』から、
このアンソロジー作品に参加しているのは、
収録順に、
松村比呂美さん、
松尾由美さん、
近藤史恵さん、
矢崎存美さん、
福田和代さん、
大崎梢さん。
「にんきのォさッかさんッ、なのでス!」
「ぐるがーるるぐるる!」(←訳:でもテーマが怖いよ!)
6つの作品をつなぐ糸は、
御本の題名にもありますように、
『嘘と約束』です。
『嘘』、そして『約束』。
どう頑張っても相性が良くなさそうなこのふたつが、
どんなタッチで、どう描かれるのか――
ここでは、6作品の中から、
大崎梢(おおさき・こずえ)さん著
『いつかのみらい』
をちょっとだけ御紹介いたしましょう。
「ぶたいはァ、とうきょうッ?」
「がるるる!」(←訳:季節は春!)
市村晴美(いちむら・はるみ)さんは、
東京・飯田橋にある
小さな編集プロダクションで働いています。
そこに、春の或る日、
市村さんにお会いしたいと
ひとりの女性がやって来ました。
誰だろう? 見覚えは無いけれど?
と首を傾げる晴美さんに、
差し出された名刺には……えっ?
リサーチ会社?
「ふむむゥ! それはァ、いわゆるゥ~…」
「ぐるるがるる~!」(←訳:探偵の会社だ~!)
リサーチ会社の調査員・吹雪菜々子(ふぶき・なおこ)さんは、
晴美さんに説明し、懇願します。
老婦人が一人、
行方不明になっている。
依頼主立会いのもと、
彼女が暮らしていた部屋を調べてみて、
手掛かりになりそうなのは……
これ以外になくて。
「がようしィ?」
「がるぐるるるるる!」(←訳:絵が描いてあるよ!)
子どもが描いたものと思われる、
明るい色合いの絵の裏側には、
『いちむら はるみ』
の署名がありました。
晴美さん、驚かずにはいられません。
小学校の頃の、私が描いた絵?
晴美さん自身もすっかり忘れていた絵を、
ずっと、誰かが大事に持っていた?
そして、
その誰かは、行方知れずになっている?
ぼんやり霞む記憶の森へ、
晴美さんは踏み入ってゆきます。
小学生の私は、
あの絵を誰かに渡した?
その誰かの、名前は? 顔は?
「ううゥ、こどもじだいのォ、きおくゥ??」
「ぐるるるるがるるぐる~…」(←訳:思い出せる自信がない~…)
晴美さんの物語のどこに、
『嘘』と『約束』が隠れているのか。
ほんのり甘かったり、
薄ら苦かったり、
光の当て方ひとつで
表情を変えてゆく6つの作品は、
短編好きな活字マニアさんにおすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいね~♪