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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【May_22】ギリシャ人は世界をコスモスという語で呼んだ。

2020-05-22 | BOOKS&MOVIES
ギリシャ人は世界をコスモスという語で呼んだ。
「よく整えられたもの」を意味する。
理性とはまず神の事柄である。
人間にできることは、
自然の秩序に従うことである。
自然の秩序に学び、それに従うのが、
人間の理性というものである。
それとて、常に中途半端で、
間違ってばかりいる。
しかし、だからこそ、
中途半端であるという自覚をもって、
より優れた理性を磨かないといけない。
優れた理性とは、
自分がどれだけ多くのことを知らないか、
ということを正確に自覚するものである。

  (『キリスト教思想への招待』より田川建三)

キリスト教を宗教として色眼鏡で語るのではなく、
イエスから生まれた思想として解きほぐそうとした田川建三の書。
一言一言が平易かつ実直な言葉で綴られていて突き刺さる。
人間は被造物である…というまごうことなき事実を、
77億人のうちの多くの民は体感しているのに、
一部の権力者やエスタブリッシュメントたちが、
大きなカンチガイで、世界を牛耳ろうとしているから、こんな時代になった。

人間の感性は、その人の経験の範囲にしかない。
考えなくともおのずと感じることが出来ることは、
その人がこれまで生きてきて、
自分の中に蓄えてきたことの範囲でしかない。
世の中には、自分が経験しなかったこと、
自分が接することのなかったもの、未知のものが大量にある。
未知のものは、自分の感性の中だけでは捉えきれない、
と知ったら、理解する努力をしないといけない。
それが理性、知性というものである。

そのことがよくわかるのは、
人と人との間の関係である。


感性を基礎にしてつきあって、
その人に対して隣人愛を持つことが出来るのは、
その人をある程度以上よく知っている場合、ないし、
その人と自分が非常によく似た生まれ育ちであり、
今生きている環境も似たり寄ったりというのでないと、
ありえないことである。
まったく未知の人たちに対して、
それもよく知らない他民族の人たちに対して、
温かい関係を築きうるには、
まずその人たちのことを
かなり多く知る努力をしないといけない。

人間どうしでさえ、そういうものである。
ましてや、人間を囲む自然世界に対しては。

  (『キリスト教思想への招待』より田川建三)



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