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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Mar_19】ネネに思いを寄せて

2019-03-21 | OKINAWA
詩人の望みはただ高揚と拡大である。
世界の中にのびのびと身を伸ばすことだけだ。
詩人はただ天空の中に頭を入れようとする。
ところが論理家は自分の頭の中に天空を入れようとする。
張り裂けるのが頭のほうであることは言うまでもない。

        (G.K.チェスタトン著『正統とは何か』福田恆存訳)

天は地を蓋ひ、
そして、地には偶々池がある。
その池で今夜一と夜さ蛙は鳴く……
ーーあれは、何を鳴いてるのであらう?

その声は、空より来り、
空へと去るのであらう?
天は地を蓋ひ、
そして蛙声は水面に走る。

よし此の地方が湿潤に過ぎるとしても、
疲れたる我等が心のためには、
柱は猶、余りに乾いたものと感はれ、

頭は重く、肩は凝るのだ。
さて、それなのに夜が来れば蛙は鳴き、
その声は水面に走つて暗雲に迫る。

           (『四季』中原中也)

これは何も詩人に限った話ぢゃない。
四十七年という余りに短き一生を終えた友を想うと、
この地に偶々出来た池である私は、
その地を蓋う天に向かって蛙の慟哭を走らせる。

友の望みは、ただ高揚と拡大であった。
世界の中にのびのびと身を伸ばすことだけだった。
天空の中に頭を入れ、世界の脈動を肌で感じ、
生きている歓喜を謳歌したかっただけだった。

しかし人間社会は何故か、
頭の中に天空を入れろと強要する。

世界は頭の理解を超えては存在せず、
人間の思考に勝るものは無いと断言する。
この落差が友を追い込んだ…とボクは奮える。

間違ってる、間違ってる、間違ってる。

ひとつの命は等しく賞賛されるべきで、
システム内の優劣で落とし込められる謂れはないのだから。
暗澹たる思いで、今夜も蛙声は水面を走る。

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