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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【吉祥寺sometime】SAXOPHOBIA

2010-12-22 | ACT!
12月21日。火曜日。
クリスマスウィーク。
久しぶりに降り立った吉祥寺も、
すっかりクリスマスの装い。
街全体が電飾で彩られ、微熱を発している。

「シラフじゃ生きていけねえってか」

20年ぶりに吉祥寺sometimeの地下に足を踏み入れる。
燻る紫煙とバーボンがよく似合う、アンバーな雰囲気。
20年前と何ら変わらない。よくもまあ、変わらずに達者で。

大学生時代のjazzに溺れていた(文字通り溺れていたと思う)
後頭部のしびれみたいなものが、仄かによみがえってくる。

「そうそう、この斜に構えた空気だな」

学生は社会に与しないのが特権みたいなもんだから、
この悪びれた琥珀色の世界にどっぷり浸かってても問題なかったのよね。
いまだに引き摺って生きてるけれども…。

そんな時代を共にした井上juju博之が率いるSAXOPHOBIAのライブ。

東京に来て一番初めに接したのがjujuのこのバンド。
そのときはとにかくお上りさん状態だったから、
sax4人の奏でるアンサンブルにひたすら失禁して、

ある種SAXOPHOBIAで、音楽が持つカルマというか
業の深さってものに気付かされたわけだけど、

それはつまり、自己陶酔が身上だった学生時代に、
jujuという人間のカルマを音にする希有な演奏者に
出逢い、心酔し、崇拝していった感覚が蘇ったためでもあり、
そのオーラを、20年後の再会でも失わずに持ち続けていたことへの
jujuへの改まったリスペクトが芽生えたからだとも言える。

だから、どうしてもSAXOPHOBIAには浮ついてしまう。
「ヤク切れした中毒患者みたいに音に垂涎してしまうのだ」

しかし、圧巻。
このレベルの高さ。
4人それぞれのカルマが
ドロドロで魅力。

高級珍味を食すあの背徳感に近い。
それでいて洗練されているから、面白い。

しかも最近はこどもたちとのセッションで生まれたアルバムも出していて、
ドロドロしたカルマが見事に昇華されている感。

今回のステージでは、ゲストに作曲者の中川ひろたかさんも交えて
世界中のこどもたちが」を奏でたのだけど、

ドロドロと梗塞寸前だったカルマが
サラサラと玉葱パワーで勢いよく流れ出したのか…と
思っちゃうぐらい、ストレートで生きる謳歌に溢れていて。

一関のこどもたちが参加した本作は、
そんな4人の童心がサラサラと音になって流れていて、
「汚れちまった哀しみ」の汚濁の涙が溢れ出す。

特に心の琴線をかきむしったのは、「雨ふり水族館」。

  街は雨ふり 不思議な水族館
  人も クルマも さかなに見えるよ
  赤い長ぐつ 黄色いレインコート
  ビルのガラスまどは
  さかなたちのステージ

  君の傘 ボクの傘 まわる雨の中
  君は船 ボクも船 海をすべるよ

  街は雨ふり すてきな水族館
  夢も 時間も シャボンにかわるよ
  青い自転車 緑のガードレール
  海の底のように
  だまりこんでゆれるよ

  君の傘 ボクの傘 おどる雨の中
  君はスキップ ボクはステップ 海をすべるよ

子供の眼に映った雨の情景が、
やさしい4人のsaxに後押しされて、迫ってくる。

「浄化される」とはこういったことを言うのだろう。
思わぬデトックス作用にわななく吉祥寺の夜だった。





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